2006年に読んだ本の感想
2006年12月29日
村上春樹の「ひとつ、村上さんでやってみるか」を読みました。
村上朝日堂というホームページにメールされた読者からの質問に、村上春樹がメールで回答する形で書かれた問答集でした。
このシリーズは少年カフカを入れると4冊目だと思いますが、今回の「ひとつ、村上さんでやってみるか」と世間の人々が村上春樹にとりあえずぶっつける490の質問に果たして村上さんはちゃんと答えられるのか?が一番面白かったと思います。
質問の内容はたわいもないものから、小説の感想、音楽に関する質問、人生相談風の質問、女性とセックスについて、全裸主婦についてなど多岐にわたっていますが、それぞれの質問に対する村上春樹の回答を読んでいるうちに、村上春樹がどんな考えを持って小説を書いているのか、生きていこうとしているのか、がくっきりと現れてきます。
この本は結構おすすめだなあ、とkonnok的には思います。
まあ、村上春樹の小説が気に入っている人限定だとは思いますが。
2006年12月20日
諸星大二郎のスノウホワイトを読みました。
諸星大二郎と言えば暗黒神話や孔子暗黒伝など、暗めだけど妙に心に引っかかる物語が多い漫画家です。
一番気に入っている物語は題名を忘れましたが、東北の片田舎に、アダムとイブが食べてしまった知恵の木の実の代わりに、命の木の実を食べてしまった種族の末裔がいる、という物語でした。
この種族にも救世主が現れてみんなを天国に連れて行くのでした。
ちょっと物悲しい物語だったと思います。
で、このスノウホワイトですが、グリムの童話を諸星大二郎風に脚色したものでした。
この作者にしてはちょっと印象が薄い物語たちでした。
2006年12月11日
重松清のかっぽん屋を読みました。
重松清の初期作品集でした。
高校生の頃の性の目覚めやクラブ活動を描いた短編4編と「世にも不思議な物語」風の短編4編が収録されていました。
それぞれの短編はそれなりに面白かったのですが、それぞれの物語に共通するテーマがなかったので、ちょっと物足りない感じがしました。
最後に収録されていたインタビューで、重松清はプロのライターとしての誇りを熱く語っていました。
ちょっと泥臭い感じがしたのですが、このような人だからこそ、いじめを題材にした、のどがひりひりするような小説が書けるんだろうなあ、と納得する部分もあったのでした。
2006年12月7日
村上春樹のこれだけは、村上さんに言っておこうを読みました。
インターネットの村上朝日堂というページで、村上春樹への読者からの質問とそれに村上春樹が答えた内容を収録したものでした。
このシリーズは少年カフカを含めると3冊目で、いつも楽しく読んでいます。
村上春樹の人柄や、奇抜な回答に読みながらふきだしてしまうこともたびたびです。
今回印象に残ったのは、恋人に怒らせるようなことばかりしている女性からの、そのうち恋人が怒り出さないか、樽にナイフを突き刺すゲームをしているようでどきどきします、という内容の質問でした。
それに対して、村上春樹は小さなやかんと大きなやかんの例えを出して、人の性格にはすぐ沸騰するタイプの人と、なかなか沸騰しないけれど、逆に温まるとなかなか冷めないタイプの人がいます、と説明していました。
私は結構大きなやかんの性格のつもりなのですが、カミさんに言わせると、すぐに怒る、顔に表情が出る、と言われていて、自分で思っている性格と外から見える性格は違うんだなあ、とか考えたことを思い出しました。
2006年12月4日
スコット・フィッツジェラルドのグレート・ギャツビーを読みました。
村上春樹訳が出ていたので、買って読んでみました。
以前読んだときは、どのような事件が発生したかという流れはわかったのですが、なぜこんなことが起きたのかが良くわからない、という感想でした。
ところが、今回村上春樹訳で読んでみると、ギャツビーのデイジーへの想い、悲しみがすっと心に響いてきました。
他の登場人物たちもいきいきと行動していると感じることができました。
村上春樹が後書きでグレート・ギャツビーは自分にとって一番重要な小説だ、といっているのが納得できました。
キャッチャー・イン・ザ・ライのときも思ったのですが、訳者によって小説の読みやすさがこんなに変わるものなんですね。
訳者のつむぐ文章によってこれだけ感想が違っているとすると、いつも読んでいる翻訳小説って本当は全然違うものなのかも知れないなあ、と思ってしまいます。
2006年11月29日
手塚治虫の火の鳥9 異形編・生命編を読みました。
手塚治虫の火の鳥シリーズは私の最も好きなコミックのひとつです。
その9冊目も、火の鳥シリーズらしい寓意に満ちた物語でした
命とは何かということを火の鳥をモチーフにして日本人の宗教観から描き出した珠玉の物語でした。
2006年11月27日
鈴木貴博のアマゾンのロングテールは、二度笑うを読みました。
「50年勝ち残る会社」をつくる8つの戦略、というサブタイトルがついていました。
事業というものは時代の流れによって、栄枯盛衰があるものだ。
従って、会社を継続して成長させるためには、伸びている市場に事業をシフトしていかないと、衰退した市場に取り残されてしまう、ということを解説した経営学の本でした。
自分に有利な土俵を探して、そこで戦うことにより、事業を伸ばしていくことができる、という指摘や、成果の差は戦力の差より大きくなる、という説明は、ボードゲームの説明書か?と思わせる内容でした。
何かを得ようとするなら、何かを捨てなければならない、などという指摘も納得してしまいます。
マイクロソフトは「不完全なものを早く市場に出す戦術」で成功した、というのも納得してしまいます。
xbox360のゲームではゲームのパッチがダウンロードできると聞いて、さもありなんと思ってしまいました。
さて、この本を読んで自分の仕事を変えることができるか、それが一番の問題なんですけどね。
2006年11月24日
ジョージ.R.R.マーティンのサンドキングズを読みました。
なかよし村というゲーム会の賞品でもらった小説でしたが、20年位前に読んで非常に気に入っている短編でもあります。
この本には7つのSFの短編が収録されていますが、やはり一番は表題作にもなっているサンドキングズです。
この短編は主人公が集団性を持つ昆虫のような生物を飼うところから始まるのですが、その描写の気味悪さ、主人公のねじまがった性格から発生する恐ろしい結末まで、息もつかせずに一気に読ませます。
そして、パソコンやテレビゲーム機の箱の中で部隊を戦わせている自分に強烈な自省を促す小説です。
ゲーム好きの方は、ぜひ、一度は読んでみることをおすすめします。
2006年11月20日
重松清のきよしこを読みました。
この物語は知人の少年に贈られたとのことで、慰めや癒しなどではなく「ただ、そばにいる」お話とのことでした。
父親の転勤により転校を余儀なくされながら、吃音の障害を抱えて懸命に生きていく少年の物語が淡々と描かれています。
かわいそうだ、というような月並みな感想ではなく、その少年の想いに声援を送りたくなるような物語でした。
2006年11月17日
村上春樹のふわふわを読みました。
安西水丸画の絵本でした。
小さい頃、年老いた大きな雌ネコと一緒にひなたぼっこしているときの幸せな時間が描かれています。
懐かしいほのぼのとした気持ちになる絵本でした。
2006年11月13日
機本伸司の神様のパズルを読みました。
本屋で平積みになっているのを手にとってしまい、解説を見たらつい衝動買いしてしまったSFです。
解説には「量子論を下敷きに宇宙を作るハードSFなのに、話は学園青春小説。ヒロインは十六歳の美少女なのに天才物理学者。巨大な粒子加速器を擁する実験設備が舞台なのに田植えや稲刈りに追われる。」と書いてありました。
こんな小説、想像がつきますか?
読んでみたところ、SFの部分も、登場人物の人間関係の描写も結構面白い小説でした。
「なぜ方程式の変数はxなのか」とかいうようなくだらないトリビアもいい味を出しています。
2006年11月10日
村山由佳の永遠。を読みました。
「卒業」という映画とのコラボレーションで書かれた中篇小説でした。
村山由佳らしい切ない恋心が描かれています。
ところで、本編よりあとがきに書かれている村山由佳のエッセイが気に入ってしまいました。
甘いラブストーリーを書くことができて、写真を見る限り美人で、エッセイも面白い女性なのに、実際にやっていることは天然でボケが入っているというキャラクターがとても魅力的ですね。
ますますファンになってしまいました。
2006年11月8日
東野圭吾の手紙を読みました。
主人公の高校生は、兄が強盗殺人を犯してしまったため、殺人犯の弟となってしまいます。
主人公は正々堂々と世間に立ち向かっていこうとするのですが、世間の冷たい目にくじけそうになります。
刑務所に入ってしまった兄は、弟の苦境も知らずに手紙を書いてくるのですが...
印象に残ったのが、電器店の社長の「差別は当然だ」という発言です。
主人公にその逆境に立ち向かえ、とアドバイスをくれたのでした。
東野圭吾の小説には、背筋をピンとのばして自分に正直に生きている人がたくさん登場しますが、この物語の主人公もそういう人でした。
読み終えた後にじんわりとこみ上げてくるものがある物語でした。
2006年11月6日
加納朋子のレインレイン・ボウを読みました。
月曜日の水玉模様のヒロイン片桐陶子と高校時代のソフトボール部のチームメイトたちの物語でした。
チームメイトの一人が亡くなってしまったことから、他のチームメイトに順番にスポットを当てながら20代前半の女性たちのみずみずしい悩みや希望が描写されていきます。
7つの短編はそれぞれ完結しているのですが、全体を通してもうひとつの謎が解き明かされていくのは前作と同じです。
前作の陶子さんはかわいいOLだったのに、今回の陶子さんは頼りになるキャプテンと感じられたのは不思議でした。
2006年11月3日
北原保雄の日本語どっち!?を読みました。
問題な日本語、続弾 問題な日本語の続編でした。
前2作は面白く読んだのですが、今回は問題集形式だったので読み物としてはあまり面白くありませんでした。
とは言いながら、間違った漢字を当てる問題などではいくつか正しく答えられないものもあって、自分の日本語も怪しいものだなあ、と自覚しました。
2006年11月2日
梨木香歩の家守綺譚を読みました。
亡くなった親友の実家を借りて家守(いえもり)をさせてもらった若い文筆家の物語でした。
植物の精や、狐狸・妖怪の類、そしてその親友の霊が登場して不思議な物語が紡がれていくのでした。
梨木香歩らしい静かな物語でおすすめです。
2006年10月30日
ゼナ・ヘンダースンの果しなき旅路を読みました。
恩田陸が常野物語を書くときに、影響を受けたというピープル・シリーズと呼ばれるSFでした。
故郷の星を失って宇宙船で地球にたどり着いた超能力を持った種族の物語でした。
地球の大気圏に入ったときに事故がおきて、≪同胞≫(ピープル)はばらばらに地球に到達したのでした。
一部の人たちは地球人からひっそりと隠れるように≪同胞≫だけで辺鄙な村に住んでいるのでした。
また、街の中に超能力を持ちながら仲間を見つけられずに苦闘している≪同胞≫もいました。
物語としては面白かったのですが、回りくどい表現が多く、読んでいて物語がストレートに頭に入ってこないのがちょっと不満でした。
2006年10月23日
エリナー・ファージョンのムギと王さまを途中まで読みました。
mixiで面白いと紹介している日記があったので注文して買って読んでみましたが、二つ目の短編を読んでいる途中で飽きてしまいました。
ストーリーがいい加減で、子ども向けとは言え、全く面白くありませんでした。
日記で紹介されていたのが、7番目の王女の話だったので、これだけはあとで拾い読みしてみましたが、何を言いたいのかわからない物語で、子供にこんなしょうもない内容を読ませるから本に興味を持たなくなるのではないか、と思ってしまいました。
2006年10月20日
室井佑月のラブファイアーを読みました。
ラブゴーゴーの続編です。
かたい本を読んだ後は、やわらかい本が読みたくなる、ということで読んでみました。
室井佑月の天衣無縫なエッセイ集でした。
ラブゴーゴーは結婚相手とののろけ話が満載でしたが、こちらは子供が生まれて離婚した後のバツイチの女の本音が打ち上げ花火のように書かれていました。
私はこのようなちょっとエロいエッセイが嫌いではないので、楽しんで読みました。
中でも乙女のボンノー108連発はニヤニヤしながら読みました。
電車で私を見かけた人は気持ちが悪かったかも。
2006年10月18日
伊丹敬之と加護野忠男のゼミナール経営学入門を読みました。
会社で研修を受けるための事前学習教材として配られたものでした。
いつも仕事でルーチンワークとして行っている事業計画や評価面談、戦略の策定、インセンティブというようなものが、経営という観点からどのような意味があるのか、ということを解説した入門書でした。
リーダーシップとは何か、とか組織文化はどうあるべきか、パラダイム転換を実行するためには、など仕事に生かせる知識がいっぱいでした。
ただ、やはりビジネス書なので、ミステリのように謎解きがあるわけでもない、ヒーローもののようにわくわく感があるわけでもない。
もちろん、面白くないわけではないんですけどね。
2006年10月11日
山田詠美のA2Zを読みました。
結婚して数年たった夫婦の物語でした。
AからZまでの単語がアクセントになっている26の章で構成されています。
夫も妻もちょっとしたことから若い恋人を持って新しい恋を楽しんでいたのでしたが、結局いつの間にかまた二人の部屋に戻ってきてしまうのでした。
山田詠美らしい語り口のラブストーリーで、そこそこ楽しめました。
ところで、この小説にはぼくは勉強ができないの秀美君の母君が登場します。
ちょっとしか登場しないのに、強い印象を残すところがすごい。
2006年10月4日
石田衣良のアキハバラ@DEEPを読みました。
アキハバラのオタクと呼ばれている青年たちを主人公とした物語でした。
秋葉原の片隅で知り合った青年たちはそれぞれちょっとした欠点と大きな長所を持っていました。
彼らが力をあわせて作った、クルークと名づけられた愛すべきAIサーチエンジンが悪いIT会社社長に盗まれてしまいます。
そして彼らは立ち上がり、仲間を増やしながら、盗まれたクルークを取り戻すべく戦っていくのでした。
物語の舞台は秋葉原ですが、ストーリーの骨格はRPGなどによくある、虐げられた弱き者たちが力をあわせて悪の帝王に立ち向かう、という勇者伝説ものでした。
とは言え、私もオタクの端くれで、若いころはマイクロマウスという自立型ロボットを作っていたりするので、登場人物に感情移入してわくわくしながら読みました。
2006年10月2日
シェル・シルヴァスタインの歩道の終るところを読みました。
この作家のぼくを探しにはとても気に入っているので、読んでみたのですが、この本は全く気に入りませんでした。
グロテスクなジョークがちりばめられているだけで、夢があるわけでもない、寓意があるわけでもない。
読んでいて退屈なだけでした。
まあ、倉橋由美子が訳したんだから、詩を理解する人が読めばまた違うのかもしれませんが。
2006年9月27日
室井佑月のLOVE GO! GO! ラブゴーゴーを読みました。
室井佑月らしい、破天荒なラブ・ダイナマイト・エッセイでした。
女性はこうあるべきだ、というような常識を吹き飛ばしてしまう、女の本音での恋愛談義はいっそ気持ちが良いですね。
ニヤニヤしながら、あっという間に読み終えてしまいました。
とは言いながら、実はその八方破れの下に女の人らしい細やかさが見え隠れするところがこの人の魅力なのかもしれません。
2006年9月25日
山田詠美の4Uを読みました。
ヨンユーとルビがふってありました。
恋は化学変化のようなものだ、英語ではケミストリーという、とあとがきに書かれているように、突然やってくる恋を描いた短編集でした。
ままにならない恋に戸惑う人たちが描かれていてつい引き込まれてしまいました。
2006年9月22日
あさのあつこのThe manzai 3を読みました。
The manzaiのシリーズの3冊目でした。
主人公の歩と相方の貴史の掛け合いに笑いながら、あっという間に読み終えてしまいます。
今回は歩の片想いのメグちゃんが悩み事を抱えていて、発光美少女の魅力が半減でしたが、歩にもチャンスがあるかな、と思わせる展開で期待が高まります。
同級生たちの行動や会話も面白く、次回作が楽しみです。
2006年9月20日
ジュンパ・ラヒリの停電の夜にを読みました。
インド系の女流作家の短編集でした。
インドの人たちが他の文化と接触したときの軋轢や悲しみが表現された短編たちでした。
物語の中では特に劇的なイベントが起こるわけではないのですが、日々の人生を生きていく人たちの想いや独り言が聞こえてくるような短編集でした。
O・ヘンリーの短編のような味わいがあります。おすすめの一冊です。
2006年9月18日
鹿島茂と井上章一のぼくたち、Hを勉強していますを読みました。
オジサンたちがセックスというものに正面から立ち向かって書いた、対談集でした。
しかし、風車に向かって突撃するドンキホーテのような悲哀が感じられたのはどうしてでしょうか。
上野千鶴子のスカートの下の劇場と重なり合う部分もあったのですが、スカートの下の劇場はしっかりした論説としても読めるのに対し、この本は単なるオジサンたちの雑談としてしか読めなかったのが悲しいですね。
近代のセックスがどうであったか、という話題もいいのですが、じゃあこれから、ぼくたちはHを勉強してどうしていくのか、という構想が具体的に書かれていなかったためでしょうか。
2006年9月16日
藤島康介のああっ女神さまっ 33を読みました。
今回は久しぶりにバイクのお話でした。
千尋さんのバイクのテーマはエ・ク・ス・タ・シーだそうで、バイクと一緒に風になる快感です。
ベルダンディは風の女神なのでいっしょにバイクに乗って風になりました。
長男と長女に「買ったから読んでみるかい?」と誘ってみましたが、「いい」と断られてしまったのがちょっとさびしかったですね。
2006年9月14日
茂木健一郎の生きて死ぬ私を読みました。
脳科学の第一人者が書く、脳の生理から展開した人生論でした。
茂木健一郎は友人が気に入っている著者なので読んでみました。
現在の科学では、人間の生活や感情、そして理性についても全て脳の中のニューロンの働きにより発生するということが常識ですが、それを前提として人間の生き方について考えをめぐらせたエッセイでした。
konnokとして一番気に入ったのは、現在の物理学では、空間3次元と時間1次元(これは虚数軸)で全ての事象が固定しているはずなのに、「今」という時刻が刻々と動いていくのはなぜなんだろう、という記述でした。
その他に臨死体験に対する考察も面白く読みました。おすすめです。
ビートルズのインマイライフが引用されていたのが印象的で、ビートルズを最初から聴きなおしてみようかな、と思ってしまいました。
2006年9月11日
伊藤たかみのミカ×ミカ!を読みました。
ミカ!の続編です。
ミカとユウスケも中学校に入り、それぞれ恋の物語が始まるのですが...
今度はシアワセという青い鳥が登場して、物語のアクセントになります。
ミカは中学生になってスカートをはいたり化粧をしたり、女の子になってしまうのですが、それでもミカはミカだと感じられるのがいいですね。
この物語でもユウスケのあたたかい視点からの語り口が気持ちよく読めました。
2006年9月8日
伊藤たかみのミカ!を読みました。
主人公のユウスケが双子の妹のミカといっしょに成長していくという物語でした。
ユウスケとミカはいま小学6年生で、ミカはオトコオンナと呼ばれているくらいわんぱくな女の子なのに、ユウスケはゲーム好きのおとなしい男の子です。
思春期の入り口で両親の離婚に遭遇してしまいながらも二人は明るく生活していくのでした。
ミカが魅力的でユウスケとの掛け合いが面白く、オトトイと名づけられたきみの悪い生物もいい味を出しています。
続編が出ているようなので、続けて読んでみたいと思います。
2006年9月6日
北原亞以子の贋作天保六花撰を読みました。
「うそばっかり えどのはなし」とルビがふってありました。
天保六花撰を下敷きにした、天保の江戸のピカレスクでした。
主人公の片岡直次郎の奥さんの あやの がいい味を出しています。
病弱で17歳まで寝込んでいたので、常識レベルが5歳相当という設定です。
美人で世間知らずで善良で世の中の常識からちょっとずれている、というキャラクターは「おいしいコーヒーのいれ方」シリーズの かれん を彷彿とさせます。
星野りつ子がいないのが不思議なくらいです。
直次郎は強請りや博打でお金をもうける生活をしていたんだけれど、ひょんなことからあやのと夫婦になって、あやのに惚れてしまったため、生活の歯車がずれてきてしまう、という物語でした。
江戸の物語としては面白く読んだのですが、ちょっとインパクトがありませんでした。
2006年9月1日
東野圭吾のパラレルワールド・ラブストーリーを読みました。
パラレルワールドのように二つの物語が並行して進んでいきます。
しかし、片方は記憶の改変によって作られた幻だったのでした。
記憶が改変できたら、それを受け入れた人たちはどのような感覚を持つのだろうか、という思考実験のミステリーでした。
途中でトリックと結末が見えてくるので、東野圭吾のミステリーとしてはちょっと面白くなかったですね。
私としては物語のはじめに語られる、並行して走る電車の中で向かい合う男女のイメージが気に入りました。
2006年8月30日
鷹山弾の漆黒太陽と一真武芸御免状を読みました。
同人誌販売サイトで買ったWizardryを題材にしたコミックでした。
この作者はWizardry好きさんへ100の質問を公開していた人なので、いつかはこの人の作品を読んでみたいなあ、と思っていたのでした。
どちらもマニアックな内容でしたが、一真武芸御免状のほうは軽いコメディで楽しめました。
2006年8月28日
江國香織の号泣する準備はできていたを読みました。
終わりかけている、または終わってしまった恋を描いた12編の短編集でした。
女の人が恋の終わりに感じている想いが表現された物語たちでしたが、私としてはいまいちピンときませんでした。
そういうデリカシーが理解できない、というのがいつも指摘されている私の欠点なんだとは思うのですが。
とはいえ、「じゃこじゃこのビスケット」という短編はちょっと気に入りました。
若かったころ、不器用だったころ、恋とは呼べないような幼い想いが、実は後々の人生の中ではきれいに光る珠なのだと思いました。
2006年8月24日
小田若菜のサラ金嬢のないしょ話を読みました。
サラ金に勤めている勤続3年目の女子社員が書いたサラ金業界の解説書でした。
女子社員の目から見たサラ金業界が程よく書かれていて、記述内容も納得できる部分が多く、面白く読みました。
安易にサラ金から金を借り、返済しようという気がないからどんどん借金がかさみ、最後は自己破産すればいいや、という日本人が増えたということは事実なんですね。
ただ、業界の情報の明るい面が中心に書かれているので、サラ金の女子社員と業界通のオジサンまたはオバサンがタイアップして書いたんじゃないかなあ、と邪推してしまいます。
面白いと思ったのは、一般的な仕事ではキャリアを積むに従い、ヒューマンネットワークが構成されていきますが、サラ金業界だと返済の催促などが主な仕事になるので、負のヒューマンネットワークが構成されていくため、転職がしにくくなる、という記述でした。
確かにそうですね。
2006年8月21日
宮部みゆきのあかんべえを読みました。
江戸時代の深川の料理屋を舞台にした物語でした。
主人公のおりんは、亡者を見ることができたり、亡者と話をすることができたりするのでした。
物語は、おりんと料理屋の主人であるおりんの両親、料理屋の使用人、そして亡者たちが絡みあって展開していきます。
宮部みゆきらしい語り口で物語がすすんでいくので面白く読めたのですが、最後の謎解きと結末はちょっと不満でした。
2006年8月14日
あさのあつこのThe manzai 2を読みました。
漫才を題材にした青春小説の第二弾です。
登場人物が魅力的で引き込まれてしまいます。
主人公の男の子たちのかけあいも面白いですが、脇役の女の子たちも一癖あって楽しめます。
この物語の中のメグちゃんのファンになってしまいました。
ただ明るいだけに見える登場人物たちが、実はいろいろな悩みを抱えているという設定が物語の隠し味になっています。
2006年8月12日
しげの秀一の頭文字〈イニシャル〉D 33を読みました。
峠の走り屋が主人公の物語の最新刊でした。
今回は、バトルの幕間ということで、あまり面白くありませんでした。
次巻に期待というところです。
2006年8月11日
あさのあつこのThe manzai 1を読みました。
父と姉を交通事故で失ってしまった中学2年生の主人公が、転校先の中学校で仲間たちと過ごしながら自分に自信を持てるようになっていく、という物語でした。
バッテリーと同じように中学生を描いていますが、バッテリーの鋭い刃物のような物語とは対照的に、こちらは漫才を題材にしているだけに、丸い暖かな物語になっています。
登場人物の中で女の子たちが魅力的でほっとします。
日本の理想的な女の子たちはこのような姿だったはずなのに、小説で描かれる女の子たちはなぜ陰湿で陰険に描かれることが多いのでしょうか。
2006年8月6日
重松清の流星ワゴンを読みました。
子供は学校でいじめに合い、妻も不倫に走り、そして自分も会社をリストラされてしまって、生きていく気力がなくなってしまった中年男性が主人公でした。
その主人公はワゴン車に乗った父子に案内されて、自分の人生の分岐点に戻って人生をやり直そうとするのですが...
親子とは何か、家庭とは何か、他人を理解するとはどういうことか、ということを考えさせられる物語でした。
読み終わったあとの余韻が暖かい、おすすめの1冊です。
2006年8月5日
安野光雅の絵のまよい道を読みました。
安野光雅が絵を志し、画家(絵の売れない絵描き)から絵描き(絵が売れるようになった画家)になるまでに出会ったこと、感銘を受けたことが書かれているエッセイでした。
紹介されている画家や絵画の紹介の中には素人にはついていけない部分もありましたが、全体的には面白くまとまっていました。
ただ、安野光雅のエッセイと言えば期待してしまう、数学的な疑問や奇抜なアイデアなどがほとんどなかったのが残念でした。
2006年7月28日
恩田陸の上と外を読みました。
中央アメリカのマヤ遺跡を舞台としたインディージョーンズばりの冒険活劇でした。
文庫なのに分冊書き下ろしで、物語に勢いがあって楽しめました。
恩田陸がこのテーマで単行本を書いたら、多分私の評価は低くなってしまったと思うのですが、登場人物の心理描写とジェットコースターアクションがしっかり描かれているだけで、締め切りに追われていたためか余計な設定がなかったことが幸いしていると思います。
文庫本で6冊組のところ、以前1冊目だけ読んでいたので今回は残り5冊を読みました。
ふと思ったのは、6冊で3千円弱だったら単行本より高いなあ、ということでしたが。
2006年7月26日
重松清のナイフを読みました。
「いじめ」をテーマにした短編集でした。
いろいろなパターンでのいじめとそれに対抗する人たちの奮闘が描かれていました。
読んでいるうちに続けて読んでいくのが嫌になってしまうようなリアルな描写は重松清の本領発揮でしょう。
この短編集を読んで考えさせられたのが、単にいじめという言葉で一括りにされてしまうような現象も、それぞれの事件の中ではいろんな事情がからんでいるものだよなあ、ということでした。
私も、報道などの一面的な情報だけで世の中の現象を判断しているきらいがないか、自分の胸に手を当てて考えてしまいます。
重松清の小説をもう少し読んでみたいと思います。
2006年7月24日
村山由佳の優しい秘密を読みました。
おいしいコーヒーのいれ方の8冊目でした。まだまだ続く、ショーリとかれんの恋物語です。
甘ったるい物語なのですが、ときどきはこのような甘い物語も読みたくなってしまいます。
今回は星野りつ子のエピソードが大きな位置を占めていましたが、今回に限り彼女に同情してしまいました。
彼女もこんな優柔不断な男は早く見限ってほしいものです。
新書版では10冊目まで出ているようなので、まだまだ楽しめますね。
2006年7月20日
C.S.ルイスのライオンと魔女を読みました。
ナルニア国物語という、子ども向けのファンタジーでした。
ビーバーの夫婦とかフォーンとか魅力的な登場人物もいましたが、なにしろ子ども向けだったので物語に深みがなく、ちょっとつまらなかったですね。
2006年7月17日
恩田陸のユージニアを読みました。
北陸の城下町で起こった毒による集団殺人事件を題材に、その事件にかかわった人たちがその事件の真相を探り出していくと言う物語でした。
恩田陸らしい語り口で楽しめました。
物語のキーとなる女性が若いころは神秘的で魅力的なのに、年齢を重ねると普通の人になってしまう、というのがちょっと悲しい感じがしましたね。
2006年7月13日
あさのあつこのバッテリー 5を読みました。
バッテリーシリーズの5作目です。
中学生のバッテリー原田と永倉が野球を通して成長していく姿を描いた物語でした。
だんだんこの二人が大人になっていく姿がチームメイトたちと一緒に描かれていて、今回も面白く読みましたが、野球の小説なのに試合の描写がほとんどないのはこの巻も一緒でした。
2006年7月11日
木原浩勝と中山市朗の新耳袋コレクション 恩田陸編を読みました。
全10巻におよぶ新耳袋シリーズから恩田陸がセレクションした99の怪奇譚でした。
遠野物語などと同じように人々の怪しい不思議な体験談を集めたものです。
これらのことが実際に起こったかどうかは別として、このような物語が生まれる文化・共同幻想・メンタリティの中に私たちは生きているんだよなあ、と思うと一つ一つの物語がいとおしく感じられます。
一番気に入った物語はやはり「さとり」かなあ。
2006年7月7日
茂木健一郎のひらめき脳を読みました。
人間の脳が創造性を発揮するには、ひらめきが発生するには、どのような準備が必要か、ということを解説した本でした。
詰め込み教育は良くないという考え方があるが、そもそも十分な知識が詰め込まれていないとひらめきが発生しない。
ひらめきが発生するにはリラックスした状態でないといけない。
人間の脳は適度な遇有性のある刺激を快く感じる。
論理と感情は相反するものではなく、協同して働くものである。
というような主張を興味深く読みました。
セレンティビティなど、「脳」整理法と関連する話題が多かったですね。
2006年7月5日
畠中恵のぬしさまへを読みました。
しゃばけの続編の短編集でした。
主人公の回船問屋の若だんなと妖怪たちの掛け合いが面白い物語でした。
前作に比べると、ストーリーやプロットが練ってあって楽しめました。
また、江戸時代の庶民や商人の風俗も違和感なく描かれていました。
義理のお兄さんの物語や、赤い櫛の物語などが気に入ったので、続編も文庫になったら読んでみようと思いました。
2006年7月2日
畠中恵のしゃばけを読みました。
回船問屋の大店の若だんなは病気がちで良く寝込むけれど、実は妖怪を仲間にすることができるのでした。
という、江戸時代をモデルにした妖怪ファンタジーでした。
主人公や脇役そして妖怪たちはそれなりによく描かれていましたが、物語の展開が良く練られていなくて、いまひとつ子供だましの物語に感じられてしまったのは残念です。
2006年6月30日
東野圭吾の容疑者xの献身を読みました。
この物語の主人公の石神に親近感以上のものを覚えてしまいました。
論理的な思考が得意だけど、好きになった女性からは嫌われている。
それでもなお、その女性のためにできる限りのことをしてあげたい。
そして彼は事件を知って計画を立てて行動に出た。
読み始めたら止まらなくなって、一気に読んでしまいました。
今年のkonnokのお勧めの1冊になりました。
2006年6月27日
恩田陸の麦の海に沈む果実を読みました。
短編集三月は深き紅の淵をの続編でした。
その中の4番目の短編小説はある物語の書き出しの部分を描いたものでしたが、それを膨らませてひとつのミステリー小説としたものがこの小説です。
登場人物の描き方や物語の展開については結構おもしろく読みましたが、いつものとおり謎解きの部分には失望させられました。
恩田陸は長編のミステリーは書かないほうがいいんじゃないかなあ。
2006年6月26日
山田真哉のさおだけ屋はなぜ潰れないのか?を読みました。
会計学というよりは、会社がお金をもうけて継続していくためには何が必要なのか、どのように管理していかなければならないのか、を会計用語を使わずに平易に解説している本でした。
会計的な知識を個人のお金の管理になぞらえて説明しているので、なんとなくわかったような気になることができます。
解説で良くわからなかったのが、在庫切れになって販売機会損失が出た場合は、会計としてその金額をきちんと損失として計上する、と記述されているところです。
制度会計としてではなく管理会計として計上する、と書いてあったのですが、売れた商品に関する利益は出せたとしても、売れるはずだった商品の個数なんてどうやったらわかるのだろうか。
2006年6月24日
恩田陸の三月は深き紅の淵をを読みました。
「三月は深き紅の淵を」という題名の本をテーマとした短編集でした。
その架空の本の内容はあらすじくらいしか語られていないのに、その本を取り巻く独立した4つのストーリーがイメージ豊かに物語られていきます。
ひとつの場所を複数のショットで描いたエッシャーのだまし絵のような不思議な感じのする短編集でした。
物語というのは人によって書かれるのではなく、物語が自ら人を媒介にして現れてくるものだ、という主張が面白いと思いました。
長女が気に入っている「チョコレート工場の秘密」が物語の中で紹介されていたので、読んでみようと思いました。
2006年6月21日
山田詠美の風味絶佳を読みました。
肉体の技術を生業とする男たちを主人公に、料理やお菓子の風味を加え、ままにならない恋を描いた6つの短編集でした。
山田詠美らしいエロティックな幸せな恋が描かれていると思えば、それを眺めて苦渋する登場人物もあります。
子供のように甘いだけが幸せではない、と知った大人たちのちょっと苦味のある風味絶佳な物語でした。
装丁がキャラメルのお菓子箱のようになっていて、小説の内容にふさわしいので気に入ってしまいました。
2006年6月20日
杉浦日向子の江戸へようこそを読みました。
江戸は遠い過去ではなく、いまこの東京に息づいている、という主張の本でした。
遊女の真(まこと)や艶本の章は江戸の風俗が目の前に見えるようで今の日本人とあまり変わらないなあ、と思ってしまいました。
粋と野暮と気障の話、黄表紙とはどういうものかなどの解説は面白く読みました。
解説に泉麻人が杉浦日向子が婆さんになっても江戸の文献を広げている姿が目にうかぶ、と書いてあるのですが、それは実現しないんだなあ、天国で浮世絵などを解説していればいいなあ、と思ってしまいました。
2006年6月17日
正高信男の天才はなぜ生まれるかを読みました。
脳の一部の機能に障害がある場合は、生物的なしくみにより、その回りの部位が障害のある部位の機能を保障しようとします。
このような場合に、その保障しようとする回りの部位が発達することにより、ごく一部の機能については障害のない人より能力が高くなってしまうことがあります。
歴史に名を残した偉人の中には障害を持って苦しんでいた人も多いのですが、正高信男は後世の伝記作家が「彼は障害を持っていたにもかかわらず、やがて物理学者に...」と書いているところは「彼は障害を持っていたからこそ、...」と書くべきである、と主張しています。
この本を読んで思ったのは、いま、学力の低下などが叫ばれていますが、日本の教育体制自体が硬直化してしまい、ゆとりや包容力を失ってしまっていて、このような人たちを受け入れることができなくなっているんじゃないかな、ということでした。
私は教育の現場にいるわけではないので単なる想像なんですけど。
2006年6月13日
リリー・フランキーの東京タワー オカンとボクと、時々、オトンを読みました。
リリー・フランキーのオカンを中心に描いた自伝でした。
オカンが、とても魅力的に書かれていました。
ダメな息子を見捨てず、いつも暖かく見守ってくれたオカン。
花札が好きで姉妹で夜遅くまで打っていたオカン。
他人に施しをするのが好きで、料理も上手だったオカン。
ガンに侵されながらも一所懸命生きようとしたオカン。
昔の理想的なお母さんの典型ですね。
そんなオカンにあこがれてしまいます。
2006年6月8日
宮部みゆきのブレイブストーリーを読みました。
ゲーム好きの宮部みゆきらしい、ゲームの世界を旅する少年の物語でした。
しかし、他のゲームを題材にした物語とは一線を画しています。
主人公の少年は最初は現実の世界を変えようとして幻界(想像の中の世界)に旅立っていくのですが、幻界の中を旅していくうちに少年は勇気とは何かということを理解していくという物語でした。
力のあるものや足の速いものが必ずしも正しい道に到達できるわけではない、自分自身の中に勇気を育てることが重要だというメッセージは気持ちがいいですね。
ただ、気になったのは、もう一人の「旅人」が退魔の剣を持っていなかったことです。
ということは、最初から女神様のところには届くことができなかったということでしょうか。
登場人物の中のネコ族の女の子のイメージは手塚治虫の漫画に出てくる女の子のイメージで固定してしまいました。
2006年6月1日
藤島康介のああっ女神さまっ 32を読みました。
愛しのベルダンディの物語、最新刊です。
今回はちょっと面白さがパワー不足でした。
千尋先輩の合宿の目的はなんだったんだろう、という疑問も解決していないし。
次巻に期待ですね。
2006年5月30日
恩田陸のエンド・ゲームを読みました。
気に入っている常野物語の
シリーズの新刊でした。
巷間にまぎれて目立たないようにひそやかに生きている超能力を持った一族の物語です。
その能力には遠くを見ることができる、未来を見ることができる、人の心を読むことができる、火を操ることができる、などいろいろです。
今回の主人公の家族はオセロゲームのように、対立する「あれ」を裏返すことのできる能力を持っています。
逆に「あれ」によって自分が裏返される危険もあるため、常に神経をすり減らしていなければならないというさだめを追った家族の物語でした。
いつもの恩田陸らしい語り口なので、楽しく読みました。このシリーズの続編が楽しみです。
2006年5月29日
茂木健一郎の「脳」整理法を読みました。
世界知(統計的に整理された一般的な知識)と生活知(個人が生活するための知識)を明確に区別して整理していく必要がある、と言う主張でした。
必然でもない全くの偶然でもない「偶有性」(contingency)が人間(脳)にとっては一番得意とするものであるという主張は面白く感じました。
偶然の幸運に出会う能力「セレンディピティ」という言葉も面白く説明されていました。
しかし、個々の主張は面白いのですが、だからどうすればいいんだ、ということが良くわからなかったのが残念です。
2006年5月27日
村上春樹の東京奇譚集を読みました。
ちょっと奇妙な物語が5編、村上春樹らしい筆致で物語られます。
それぞれの物語は楽しく読みましたが、村上春樹の小説であるという前提で考えると、ちょっとインパクトが少なかったですね。
次回作に期待したいというところです。
2006年5月25日
重松清のビタミンFを読みました。
どこにでもいるお父さんと家族を描いた7編の物語でした。
ビタミンFの「F」はFamilyとかFatherのことですね。
中年になって家族のために頑張っているんだけど、若いときみたいに猪突猛進だけでは解決できないいろんな問題が忍び寄ってくる。
でも、子供のために、妻のために頑張ってみよう、という気持ちにさせるお父さんと家族に贈る栄養剤。
もうちょっと頑張ってみるか、と思わせる物語でした。
結構身につまされるところもあって、思わずうなずいてしまう表現がいっぱいでした。
2006年5月23日
創芸舎編のグーグル完全活用本を読みました。
本屋で見かけて衝動買いしてしまいましたが、あまり面白くありませんでした。
いくつかの書式が書いてあったので、これから使ってみようかな、と思いました。
googleのページランクの考え方はよく出来ていると思いますが、ホームページのページランクを上げるために不正なページを作るサイトがあるというのが面白かったですね。
2006年5月16日
浅田次郎の沙高楼綺譚を読みました。
沙高楼という場所で5つの不思議な物語が語られます。
語られていることと、実はその後ろに語られていない別の真実がある、という描き方は気に入りました。
怖い話もあり、結局コメディタッチになってしまったものもあり、浅田次郎らしい短編集で楽しめました。
2006年5月16日
東野圭吾の仮面山荘殺人事件を読みました。
東野圭吾らしいトリックの推理小説でした。
小説を読み進んでいるうちに、ひょっとしたら、こんなトリックなんじゃないかなあ、と思ったとおりのトリックでした。
結末をこんなふうに落とすとは思いませんでしたが。
推理小説の教科書という感じの小説でした。
2006年5月12日
山田詠美のPay day!!!を読みなおしました。
男の子(ハーモニー)と女の子(ロビン)の双子の兄妹が恋の悩みや母親の死を乗り越えてたくましく生きていくという物語でした。
山田詠美らしい人物の描き方で、読んでいて楽しくなります。
思春期特有のちょっとしたことで気分がくるくると変わってしまうところもよく描かれていました。
今回読み直してみると、ウィリアム伯父さんの存在がこの物語のひとつのアクセントになっているなあ、と思いました。
アル中気味で酒癖が悪いけど憎めないキャラクターで、本人には悪意はないんだけど性格が弱いので結局周りの人に迷惑をかけてしまう。
そんなひとも含めて家族として絆を深めていこうという山田詠美の描き方が気に入っています。
2006年5月7日
角田光代のだれかのいとしいひとを読みました。
ちょっと不幸な恋愛をしている男女を描いた短編集でした。
それぞれの登場人物の切ない思いが伝わってくる物語たちでした。
でも、不幸でも幸福でも人生ってそういうものだなあ、みんなそんな風に生きていくんだよなあ、と思わせられる描写力が角田光代の魅力だと思います。
2006年5月7日
手塚治虫の七色いんこを読みました。
またまた、長女にすすめられて読みましたが、手塚治虫のコミックを読んだのは久しぶりです。
少年チャンピオンに連載されていたそうで、ジュブナイルといえる作品でしたが、手塚治虫らしさが懐かしくてあっという間に読んでしまいました。
最後のエンディングもありきたりにしないところが手塚治虫ですね。
2006年5月3日
小畑健のDEATH NOTEをパラパラと読みました。
長女にすすめられて読んでみたのですが、すぐに飽きました。
ストーリーに矛盾が出ないように組み立ててあるのはわかるのですが、人間のにおいがしない物語でした。
若いころだったら気に入ったのかもしれませんが。
2006年5月2日
桐野夏生のリアルワールドを読みました。
主人公の女子高校生の隣に住んでいる男子高校生が母親を殺して逃げたという事件が、その友達も含めた4人の女子高校生の運命を変えていく。
殺人者の男子高校生は問題外ですが、彼とかかわることになる4人の高校生の心の動きは自分の若いころを思い出すとなんとなく共感できるところがありました。
高校生のころというのは心理的にも不安定で、また自意識過剰である、というところがリアルに描き出されているのでした。
最後の結末はちょっと極端だと思いましたが、それでも女子高校生たちの心の中のヴァーチャルワールドと現実のリアルワールドとの対照が鮮やかでした。
桐野夏生の小説が怖いと感じられるのは、他人事ではないと思わせる部分があるからなのでしょうか。
2006年4月26日
東野圭吾のレイクサイドを読みました。
この人らしい、表面に現れている謎の裏にもうひとつの謎が隠れているという構成のミステリーでした。
ただ、物語として読んでみたときに、それぞれの登場人物の描き方にいまひとつ現実感が感じられなかったのが残念です。
2006年4月21日
高村薫のマークスの山を読みました。
この人の小説はリアリティが売り物ですが、読んでいるうちに物語に引き込まれてしまいました。
頭の中に声が聞こえる精神障害の犯人、薄倖の看護婦、そして外部からの捜査妨害に屈せず犯人探しに苦闘する刑事たち。
それぞれの登場人物の描写が真に迫っていて読み応えがあります。
犯人が子供のころに起きた事件、それが引き金になり連続殺人事件に発展してしまうという物語も読ませます。
おすすめの1冊ですね。
2006年4月8日
岩井志麻子の楽園(ラック・ヴィエン)を読みました。
チャイ・コイと同じようなベトナムを舞台にした官能小説でした。
最後にホラーの味付けがしてありますが、ほとんどは日本の女性とベトナムの若い男性が愛し合うという物語でした。
ちょっと、食傷してしまいます。
2006年4月4日
山田詠美のカンヴァスの柩を読みました。
古い慣習にとらわれない魅力的な女の子たちの物語でした。
3つの短編がそれぞれ味のある物語になっています。
表題作のカンヴァスの柩は、日本から流れていったアル中の女の子と、南の島で自然の鳥の絵を書いている絵描きの少年の恋物語でした。
女の子は自分勝手だけど愛らしく憎めない性格として描かれていて、小説で読む分には魅力的です。
少年は女の子には興味がない純真な男の子として描かれています。
女の子が少年に恋心を持って押しかけて居候をはじめるのですが、その恋の顛末は...
山田詠美らしい恋愛の描き方なので気に入ってしまいました。
2006年3月29日
江國香織のホテルカクタスを読みました。
ホテルカクタスと呼ばれるアパートに住んでいる3人と1匹の住人の物語でした。
大人向けの童話なのですが、違和感なく読むことができました。
登場人物は人間ではなかったのですが(帽子と2ときゅうり)、最初は人間のあだ名なんだろう、と思って読んでいたので物語のつながりがわからず不思議に思ったりしていました。
それぞれの登場人物の生き方が無理なく書かれていました。
2006年3月27日
梨木香歩の春になったら莓を摘みにを読みました。
梨木香歩の小説には魅力的な日本の女性たちが登場するので、日本を中心に生活しているのかと思っていましたが、ロンドンに住んでいたという経歴の持ち主だったんですね。
そう言われてみると、西の魔女が死んだの主人公のおばあさんもヨーロッパの人だったなあ、と思い当たりました。
梨木香歩のエッセイは人物観察と類まれな洞察力によって引き込まれるような魅力があります。
登場するウェスト夫人の破天荒な行動や考え方も魅力的でした。
2006年3月21日
速水敏彦の他人を見下す若者たちを読みました。
駅の本屋で見かけて面白そうだったので、買って読んでみました。
最近の若者(だけでなく日本人全体)が他者を軽視していて、自分以外の人たちが愚かであるという根拠のない自己優位感を持っている、という警告が主張されていました。
著者が問題として提起している点は確かにそのとおりなのですが、その原因の分析はちょっと直感的に納得できませんでした。
この著者の説明が良くないのかもしれませんが。
万能感とは何かに書かれていた「万能感」が日本に蔓延しているということになると思うのですが、それに対する解決案が提示されていないと感じました。
konnokとしても、最近の日本人がアメリカ式の自己中心的な考え方に汚染されて堕落してきていると感じているのですが、じゃあどうすればいいと思うんだい、と聞かれたときに的確な回答が出せないので歯がゆいところなのですが。
2006年3月17日
東野圭吾の名探偵の呪縛を読みました。
名探偵の掟の続編でした。
前作の設定を引き継ぎながら、前作は短編形式だったものを今回は一繋がりの物語として楽しむことができます。
作者の「本格推理小説」に対する思い入れが感じられる作品でした。
2006年3月14日
夢枕獏の陰陽師 太極の巻を読みました。
いつもの安倍晴明と源博雅の物語でした。
露子姫が登場する逸話もあってうれしくなりました。
怪奇ものなのですが、安心して読めるのがいいですね。
2006年3月10日
恩田陸の象と耳鳴りを読みました。
退職した元検事が主人公の連作推理短編集でした。
konnokとしては恩田陸の長編の推理小説ではロジックが一貫していないという印象があるのですが、短編では謎解きがうまく行っていて結構面白く読みました。
文中に恩田陸の運とツキの考察が書かれていたのですが、面白く読みました。
2006年3月5日
東野圭吾の私が彼を殺したを読みました。
容疑者となる3人の登場人物の視点から交互に物語が語られていきます。
最後に、加賀刑事が「犯人はあなたです」と犯人を指し示すのですが、誰を指し示したかは書かれていません。
文庫版では謎解きの袋とじの解説がついていました。
konnokとしては実は誰が殺したかなんてどうでもいいじゃないですか、小説なんだから、という感想です。
殺された小説家に対する3人の登場人物の思いが描かれていればそれで十分だと思うんですよね。
この小説ではそのような部分はつけたりのようなのですが。
2006年3月3日
恩田陸の月の裏側を読みました。
ジャンルとしてはSFホラーということになるのだと思いますが、恩田陸らしい描写がちりばめられていて楽しめました。
気持ちの悪い設定なのですが、最後の逆転の描き方はフレドリックブラウンのSFを連想しました。
登場人物が話す「なんて言うのかな、この世の中には説明できないこと、説明しなくてもいいことがあるんじゃないかなって」という言葉に恩田陸のポリシーがあるような気がします。
昔のフォークシンガーのやまがたすみこの「本当のことはだれにもわからないし、私にもわかる必要はないの...」という歌と通じるところがあるんじゃないか、と思います。
するとこれは女性の感じ方なのかもしれません。
(友人にそれは女性差別だ、と指摘されそうですが)
2006年3月1日
東野圭吾の11文字の殺人を読みました。
はじめに犯人のモノローグが書かれていて、これはいったい誰なんだろう、と思わせながら物語が進んでいきます。
お約束の通り、えっ、この人がという人が犯人なのですが、謎が幾重にも重なっていて、さすがに東野圭吾だな、と思わせます。
謎解きは面白かったのですが、動機はちょっと納得できませんでした。
ところで、解説が宮部みゆきでした、これはこれで面白く読みました。
2006年2月26日
恩田陸の劫尽童女を読みました。
父親の研究により超能力を持たされてしまった女の子の物語でした。
読者をひっかけるトリックもあって各章の終わりには、そういうことね、と納得させられてしまいます。
父親が研究成果を持って組織を抜け出してきたという設定なので、戦闘場面で登場人物が次々に死んでしまい、結構血なまぐさい表現もあるのですが、さらりと書いてあるので読んでいても気になりません。
2006年2月22日
吉本隆明と三好春樹の〈老い〉の現在進行形を読みました。
介護の職人、吉本隆明に会いにいく、というサブタイトルがついていました。
吉本隆明というと30年前に友人に勧められて読んだ共同幻想論を連想してしまいます。
この対談は、老人となってしまい体の老化が進んでしまった状況の吉本隆明と、介護の職人である三好春樹の対談集です。
話題は介護だけにとどまらず、老いるとはどういうことか、日本人の死生観などに及んでいます。
年をとったらこんな事を考えないといけなくなるんだなあ、と年寄りの予備軍であるkonnokは考えてしまうのでした。
2006年2月19日
恩田陸のネバーランドを読みました。
クリスマスから大晦日の7日間、高校の古い寮に残った高校生4人がそれぞれの家族の悩みを抱えながら友情を深めていくという物語でした。
恩田陸の初期の作品で、あとがきにもあるように物語に勢いがあります。
小柄で勢いのある登場人物(統)が印象的なのですが、これは夜のピクニックに出ていた夜だけ元気な高校生とイメージがダブりますね。
2006年2月17日
恩田陸の上と外1(素晴らしき休日)を読みました。
南アメリカの小さな国で遺跡の調査をしているお父さんを訪ねていった兄妹の物語です。
全6冊のようなのですが、古本屋で1冊目だけがあったので買って読みました。
父親と母親は離婚しているんだけど、年に1回だけは4人一緒に旅行をする、という設定でした。
旅行先の南アメリカの国で軍事クーデターに遭遇してしまったという物語でした。
1冊目は起承転結の起の部分なので、これからどのように物語が展開するんだろう、というところですが、古本屋通いをする中で残りの5冊が見つかったら1冊ずつでも買っておいて続きを読んでみようかなと思っています。
2006年2月15日
小川洋子の博士の愛した数式を読みました。
私も数学は好きなほうなので同感する部分が多かったですね。
記憶があまり長く続かないというのも私の性格と同じなので他人ごととは思えません。
オイラーの公式なども私は複素平面で点が回っているイメージがあって、おなじみです。
メインのストーリーに江夏の話やルートの物語、義姉の思いなどのサブストーリーがからんで奥の深い物語になっています。
文章も読みやすく、本屋大賞を受賞したのはうなずけます。
2006年2月10日
東野圭吾の鳥人計画を読みました。
物語の最初で殺されてしまう、ちょっと性格が変わっている天才的なジャンパーが印象的でした。
他人の目は気にならず、自分の目的だけに向かって進んでいく性格なのですが、それが結果的には不幸を呼び寄せてしまうのでした。
オリンピックで優勝するために手段を選ばずに選手の改造をするコーチが怖いですね。
最近よくある、法律や倫理を破ってでも金儲けをする人たちを連想してしまいました。
そうそう謎解きですが、ふうん、そういう風に落とすのね、という感じで納得感はありませんでした。
2006年2月6日
石田衣良のエンジェルを読みました。
何者かに殺されてしまった主人公が、幽霊になった状態で自分がなぜ誰に殺されたのかを推理するというミステリでした。
幽霊の能力や主人公の感じ方がさもありそうな描写になっていて違和感がありません。
物語はよくできていましたが、結末はちょっと納得できませんでした。
2006年2月3日
重松清のニッポンの単身赴任を読みました。
今月から単身赴任になるので、本屋で見かけてつい買ってしまいました。
仕事に燃えて何年もの間単身赴任をしているお父さんたちへの応援歌でした。
いろいろなパターンでの単身赴任や単身不倫(!)の話題が面白く読めました。
単身赴任は最初の3ヶ月が危険な期間だそうなので、注意しないといけませんね。
2006年1月31日
加納朋子の虹の家のアリスを読みました。
螺旋階段のアリスの続編でした。
「転進退職者支援制度」を利用した50過ぎの新米探偵が主人公の物語です。
なぜか探偵助手になってしまった美少女の安梨沙が前作では賢い天使という雰囲気だったのに、今回は小悪魔という雰囲気になってきています。
それもそれでいい感じなのですが。
2006年1月27日
村山由佳の星々の舟を読みました。
村山由佳の小説というと甘ったるい恋愛小説というイメージがありましたが、この小説ではしっかりそれを裏切ってくれました。
それぞれの悩みを抱えている家族の物語がそれぞれの視点から描かれています。
物語の構成としては空中庭園と似た感じです。
しかし、空中庭園がグロテスクな欲望と矛盾をこれでもかと描き出しているのに比較して、星々の舟のほうは悩みを抱えながらも登場する家族の思いやりとあたたかさが描かれていて読んでいてほっとする部分もありました。
この小説では戦争も一つの主題として取り上げられており、考えさせられます。
2006年1月24日
岡嶋二人の99%の誘拐を読みました。
岡嶋二人は結構気に入って読んでいる作家です。
残念ながら既にコンビは解散してしまっていますが、文庫本で出ている小説はほとんど読破しています。
今回のこの小説は技術面に特化していて、登場人間の気持ちや行動の描写が不十分だったので、私としては評価は低いですね。
また、技術面にしても当初計画からのズレが発生して、それをどのように対応せざるを得なかったか、というような描写があると面白かったんじゃないかな、と思いました。
2006年1月19日
岩井志麻子のチャイ・コイを読みました。
女性の側から性の喜びを描いた小説でした。
バツイチの小説家の女性がベトナムの若い男性に恋に落ち、淋しさを抱えながら愛し合うという物語でした。
私は男だからだと思いますが、酒見賢一の語り手の事情や石田衣良の娼年のように男性の立場から女性を喜ばせることを描いた小説のほうが好きですね。
2006年1月16日
白石昌則の生協の白石さんを立ち読みしました。
新幹線の待ち時間を使って立ち読みしてしまいました。
(本屋さんごめんなさい)
白石さんの暖かくてユーモアのある絶妙な受け答えは面白いのですが、その投書を書いた東京農工大学の学生さんもある意味すごいなあ、と思ってしまいました。
2006年1月16日
石田衣良の赤(ルージュ)・黒(ノワール)を読みました。
池袋ウエストゲートパークシリーズの外伝で、ギャンブルを題材にした物語でした。
今回はマコトは登場せず、サルが脇役として活躍します。
物語の展開、小道具、最後の一か八かの勝負、登場人物の描き方、全て良く構成されていて一気に読ませます。
おすすめの1冊です。
2006年1月14日
東野圭吾のさいえんす?を読みました。
東野圭吾のエッセイ集でした。
あの頃ぼくらはアホでしたのような突き抜けた面白さはありませんでしたが、結構真面目にいろいろなことを論説しています。
インターネットによる顔の見えないコミュニケーションの話や、数学は面白いという話、そして古本屋が出来てしまったために万引きが増えてしまうという話などは同感してしまいました。
2006年1月14日
森絵都のつきのふねを読みました。
中学生の女の子が友達から仲間はずれにされてしまい、そして逃げ込んだ先のお兄さんも心の病にかかっていたのでした、という物語でした。
あくまで明るい物語として書かれているので読後感はいいのですが、中学生の女の子が主人公の物語としてはちょっと違和感がありました。
女の人なら自分の少女時代を思い出して同感する部分も多いのかもしれませんが。
2006年1月13日
恩田陸の図書室の海を読みました。
恩田陸の長編のサイドストーリーの短編集でした。
この人の物語の引き出しは結構多いのかな、この人は今度はどんな物語を書くだろう、と楽しみになってきます。
2006年1月10日
あさのあつこのバッテリー4を読みました。
気に入っているシリーズバッテリーの4冊目です。
この巻では巧と豪がバッテリーを組んだ強豪校との練習試合で巧が打ち込まれてしまい、その後二人の関係がギクシャクしてしまうというストーリーでした。
巧の性格が災いして二人の関係はなかなか修復できないのですが、チームメートの協力により関係が修復出来そうです、というところで次巻に続くのでした。
相変わらず野球の物語なのに試合の描写はほんの少しでした。
2006年1月10日
石田衣良の波のうえの魔術師を読みました。
大学を卒業してパチプロで生計を立てていた青年に声をかけた老人は株のトレーダーだった。
老人と青年は個人的な恨みのある巨大銀行に株取引での仕掛けをしていく、というストーリーでした。
石田衣良らしく読みやすい物語でしたが、最後のディールの顛末はちょっと納得できませんでした。
死にかけたマンモスから少しでも大きな肉の塊を切り取るはずだったのに。
2006年1月5日
山田詠美編のせつない話を読みました。
日本の短編8編と外国の短編6編の翻訳をあわせた短編集でした。
「せつない」をテーマにしていて、日本の短編については読み終えた後に心に残る物語でしたが、外国の短編についてはちょっと心に残りませんでした。
特に、瀬戸内晴海の「けものの匂い」は気に入りました。
瀬戸内晴海も読んでみようかな、と思ってしまいました。
山田詠美のあとがきとは違っているのですが「せつない」という情感は日本独自のものではないか、というのが私の感想です。
2006年1月1日
今年も、面白そうな本を探して読んでいきたいと思います。
そしてなるべく本を選ぶときに参考になるようなコメントを記録していきたいと思います。
2005年に読んだ本の感想