2003年に読んだ本の感想



2003年12月24日

村山由佳の海を抱く Bad Kidsを読みました。
これはBAD KIDSの続編ですが、時間軸としては並行して生きていく少年と少女の青春の悩みが描かれています。 前作は高校生たちの救いのない苦悩が描かれていましたが、今回の作品は最後にはほっとするような物語になっていました。
高校生たちの悩みや喜びを描かせるとやはり村山由佳はいいなあ、と思わせます。


2003年12月22日

養老孟司のいちばん大事なこと 養老教授の環境論を読みました。
養老孟司が環境論の方面から自説を展開しています。
人間や自然と言うものは自分たちで作ることはできないのだから、そのまま存在できるようにすべきであり、人間が勝手に変えてしまってはいけない、という論拠には諸手を上げて賛成してしまいます。
この本を読みながら思ったのは都市に住んでいる人たちは、ジブリのアニメに登場する空飛ぶ島ラピュタのように既に地上を離れてしまっているのではないか、ということでした。 シータの「人は地面を離れては暮らせないの」という主張を思い出してしまいました。
自分が絶対に正しいと言う主張は原理主義である、とか、都市で生活する人たちには環境問題である子育ては難しい、などという主張は面白いですね。


2003年12月19日

ジェフリー・アーチャーの運命の息子を読みました。
アーチャーの久しぶりのサーガですが、アーチャーも刑務所に入ったりして結構大変だったせいか、ちょっと物足りなかったですね。
盗まれた独立宣言などは結構読み応えがありましたが、フセインも拘束されてしまいましたしね。


2003年12月13日

ローレンス・J・ピーターのピーターの法則を読みました。
私がピーターの法則というものを知ったのはずいぶん昔(多分20年以上前)でマーフィーの法則より前だったと思います。 今回、新版の解説書が出ていたので懐かしさも手伝って即買ってしまいました。
ピーターの法則の主張は「階層社会では、全ての人は昇進を重ね、おのおのの無能レベルに到達する」というもので、最初に読んだときは非常にインパクトがありました。 確かに組織の中には無能レベルに達して全く仕事をしていない非活性社員がたまっていたりするので、この主張には納得してしまいます。
ただ、最近の私の考えとしては40代以降に社会的賢さが衰えてくるために無能レベルに達してしまうことも多いかな、とは思っています。
「創造的無能のすすめ」という、外から無能に見えるように振舞うことによって昇進をブロックしなさいという提案があって、私はその各項目に当てはまることが多いので、無意識のうちにピーターの法則を実践していたんだ、と自己満足していました。 ところが、その後に実際に無能レベルに達している場合もこのような症状を呈するので診断は難しいとの記述があり、ショックを受けたのでした。


2003年12月10日

ディーン・R・クーンツのライトニングを読みました。
クーンツは妹の好きな作家で、私もウォッチャーズなどは気に入っています。
でも、この小説はいまいち面白くありませんでした。登場人物の描きこみがちょっと不十分で、SFのトリックもそれほど面白くありませんでした。


2003年12月4日

村山由佳のキスまでの距離を読みました。
友人がおすすめしていたので古本屋で買って読んでみました。
街を歩いているとソフトクリームが食べたくなる。甘くてあっという間に食べ終わってしまう。そんな小説でした。(ちなみに私はソフトクリームは大好きです)
続編が古本屋にあったら買って読もうかなと思います。


2003年12月3日

宮部みゆきのスナーク狩りを読みました。
それぞれの登場人物の暗い情念が一つの事件に収束していくという物語でした。 銃というものは怖いものだなあと思わせます。
宮部みゆきにしてはちょっと面白くなかったかな、という感想です。


2003年12月1日

加納朋子の沙羅は和子の名を呼ぶを読みました。
ミステリアスな味付けの短編集でした。
加納朋子の短編集は同じ登場人物が登場する短編の連作と言うのがパターンですが、今回はそれぞれが独立した短編になっています。 ストーリーとしてはそれなりに面白いのですが、登場人物のイメージがわきにくくちょっと物足りないと感じました。
「海を見に行く日」はちょっと面白いな、と思いましたが。


2003年11月27日

宮部みゆきの人質カノンを読みました。
これも宮部みゆきらしい短編集でした。
誰かに傷つけられた人が、その傷を乗り越えて生きる力を回復していくという物語を読むと複雑な気持ちになってしまいます。
傷つけられないことが一番良かったはずですから。でも人生なんてそんなものでしょうかね。


2003年11月25日

西原理恵子のサイバラ式を読みました。
西原理恵子は斎藤孝の子供に伝えたい<三つの力>でも紹介されていたので読んでみました。
う〜ん。この人のパワーは半端ではないですね。
しかし、世の中には不幸な人もたくさんいるんだなあ、「みんなしあわせでありますように。」というのが実感ですね。

野口悠紀雄の「超」整理法 4 コミュニケーションを読みました。
あっ「超」整理法の4巻目が出たんだ、と早速買って読みました。すると、あれ、読んだことのある文章だなあ、と気がつきました。 結局これは「超」整理法1巻〜3巻を集大成してちょっと最近の動向を追加したもののようでした。 最近こういうことが多いなあ、ちょっと反省しないといけませんね。


2003年11月24日

養老孟司のまともな人を読みました。
以前読んだバカの壁は分かりにくかったのですが、この本は具体的な事柄を対象としたエッセイなので主張がわかりやすく、私も同意できることが多く書かれていました。 例えば、「他人の機嫌を損ねることは、いまでは社会最大の禁忌に近い」とか、「仕事がうまくいくために人間関係が大切なのであって、人間関係の後に仕事がついてくるわけではない」など、気持ちがすっとする主張が繰り広げられています。
おすすめの本に入れてしまおうかな。

宮部みゆきの地下街の雨を読みました。
安心して読める短編が7編入っていました。しかし作品の面白さは他の宮部みゆきの作品に比べるとちょっとものたりないかな、という感じです。


2003年11月18日

加納朋子の螺旋階段のアリスを読みました。
不思議の国のアリスをモチーフにしたミステリー短編集でした。
加納朋子の語り口は楽しめますが、不思議の国のアリスをモチーフにするのが無理があったのか、謎解きのほうはあまり面白くありませんでした。
主人公の境遇が「転進退職者支援制度」を利用した50過ぎの新米探偵というのがちょっと身につまされてしまいますが。


2003年11月15日

酒見賢一の陋巷に在り 10を読みました。
顔回の物語も10巻目になりました。
、も回復してきて一安心と言うところでしたが、また子容が復活してしまって大丈夫なんだろうか、と心配になります。 今回は、に関連して孔子の母親の徴在の物語も語られています。読み終えると次巻が待ち遠しいですね。


2003年11月12日

リチャード・ドーキンスの利己的な遺伝子を買いました
生物=生存機械論はずっと昔に読んだのですが、その後この本が出たとのことなのでesBooksに注文して買いました。

さらっと斜め読みしてみると、生物=生存機械論と重複するところが多そうですが、20年ぶりなので、まあ、ゆっくりと読み直すこととしたいと思います。
さらに読んでみると、変だなあ、昔読んだことがあるような。はっと気がつくと邦題が違うけど、同じ本を買いなおしてしまったようです。
確かに思い出してみると「生物=生存機械論」も原題はThe Selfish Geneだったしなあ。
ああっお金を返せえ!

本屋でぱらぱらとめくり読みしてから買えばこんな勘違いは起こらないんだけど...


2003年11月11日

筒井康隆のパプリカを読みました。
精神病の治療方法をモチーフにしたSFでしたが、私にとっては面白くありませんでした。
精神病の知識がいい加減なうえ、SFとして読んでも統一性がなく、ハチャメチャなところも中途半端で、エンディングも納得できないと言う状況で、筒井康隆も耄碌したかなあ、と思ってしまいました。


2003年11月7日

辻仁成のサヨナライツカを読みました。
友人が掲示板でおすすめしていたので読んでみました。
第1部は電車の中で読んで、まあ、こんなものかな、と思ったのですが、第2部を布団に入ってから読み始めたら一気に読み終えてしまい、眠れなくなってしまいました。
この物語から受けた衝撃はサザンオールスターズのTSUNAMIという曲を聞いたときのものと似ていて、心の奥にしまっておいた甘酸っぱい思い出がえぐり出される様な感じがしました。
あとがきに書いてあった、私はこの本で1人の女性と運命を共に歩き始めることになった、というのはちょっとかっこよすぎですね。


2003年11月4日

福田和也の悪の読書術を読みました。
「悪の○○術」シリーズ3冊目です。
どんな本を読んでいるか、読んでいると公言するか、でその人となりが判断されるんですよ、幼稚な本を好きですと公言するのは携帯を持ったサルと同じように恥ずかしいことですよ、という主張の本です。 おすすめの本をHPのコンテンツにしている私としては耳が痛いですね。
紹介されている本や作家の批評は辛口でつい笑ってしまうものもあります。 この人がここまで言うんだから読んでみようか、と思うような本も何冊かあり、読みたい本の待ち行列が増えてしまいました。


2003年10月29日

宮部みゆきのステップファザー・ステップを読みました。
主人公が泥棒で、親に見捨てられた双子の中学生を相手に苦戦しながら難事件を解決していくという短編集でした。
今回も宮部節が絶好調です。主人公とお神酒徳利ペアの掛け合いを面白い面白いと読んでいるうちに地下鉄を乗り越してしまいました。 それはそれとして、あとがきでこの主人公の名前が一度も紹介されていないという指摘を読んで、宮部みゆき恐るべし、と思ったしだいです。


2003年10月28日

宮部みゆきの淋しい狩人を読みました。
本を題材にしたミステリー短編集です。主人公であるおじいさんと孫の掛け合いも魅力的だし、それぞれのエピソードが面白く謎解きされていて楽しめます。 ただ、エピソードの中には誰かが他人を陥れようとする話がいくつかあり、ちょっと背筋の寒い思いもしました。


2003年10月27日

おすすめの本に載せている豊饒の海シリーズ(春の雪、 奔馬、 暁の寺、 天人五衰) を友人に貸し出したら読書感想文が届きました。
やはり、最後に本多が門跡から言われる言葉が印象的だったようですが、 最後に、仏門に入った聡子の口から「どういうお人やした?存じませんな。」と平然といい放たれた本多は まるで、玉手箱を開けてしまった浦島太郎のようだというのが私の印象です。 う〜ん。そういう感じ方もあるか。でも、 一度、若い頃に読んどきゃよかった!! というコメントには、でしょでしょ、と答えてしまうのだった。


2003年10月16日

ジャン=フィリップ・トゥーサンの浴室を読みました。
文章は読みやすかったのですが、何を言いたいのかよくわからない小説でした。


2003年10月15日

浅田次郎の姫椿を読みました。
浅田次郎らしい短編集でした。 心温まる短編と背筋が凍るような短編が組み合わされていい味わいを出しています。 一服の清涼剤というところです。
一番心に残ったのは「オリンポスの聖女」でした。心の底に残っている昔の思いが甘酸っぱく感じます。


2003年10月14日

正高信男のケータイを持ったサル 「人間らしさ」の崩壊を読みました。
最近の日本人の引きこもり傾向や携帯電話依存症などの現象をサルの研究を専門とする著者が分析してサルの生態と比べて説明しています。
漠然とおかしいなあ、と感じていることが明快な論理で説明されており、胸がすっとします。
社会的賢さは40歳で衰える、子離れしない妻と居場所のない夫などドキッとする指摘もあります。 いろいろ考えさせられる点の多い本でした。


2003年10月11日

Webヤギの目編の死ぬかと思ったを読みました。
これはインターネットのサイト「死ぬかと思った」からのベストセレクションです。 定価では絶対に買いませんが、古本屋で100円だったのでつい買って読んでしまいました。
読んでみると確かにありそうなことで、というかそのうちのいくつかは私もやってしまったような記憶があるエピソードが書いてあって、笑って読むことができます。


2003年10月10日

テッド・チャンのあなたの人生の物語を読みました。
小説としてはちょっと読みにくいので一般の人にはおすすめではないのですが、その中に記述されているアイデアは非常に面白く感じました。 私の考えているイメージに合致するアイデアもあってうれしくなってしまいます。
おすすめの本に入れてしまいたいところですが、何しろ小説としては読みにくいので二の足を踏んでしまいます。(結局入れちゃったけど)

この小説を読んで触発されたので、私の頭の中にあるアイデアで「奇妙な思いつき」というページを起こしてしまおう。


2003年10月5日

現代言語セミナー/編のつい他人(ひと)に試したくなる読めそうで読めない漢字を買いました。
どこかで見た記憶はあるんだけど読めそうで読めない漢字を羅列した問題集です。 答えを見ると、ああそうだった、と思い出すのですが、なかなか思い出せません。読みのほうは70点くらいですね。書き取りは多分20点もとれないだろうなあ。

なぜか、高校生の頃に(今は大阪にいる)友人のお父さん(先日お会いしました。お元気だった)の前で「債権」を「せきけん」と誤って読んだとき「違うと思うけどなあ」とやんわりと教えてもらった事を思い出しました。


2003年10月3日

小川未明の小川未明童話集を読みました。
私が小さかった頃、叔母から買ってもらって読んだ本が文庫本で再版されていたので懐かしさのあまり買って読み直してしまいました。(ぼろぼろになった元の本は保存してありますが、ちょっと読み直す気にならなかったので)
40年ぶりに改めて読み直してみると、小川未明の童話では教訓的でもなく、宗教的でもなく、あくまで昔の日本的な親子の情愛の暖かさや透き通った諦観に支えられた世界が描かれていました。
私が記憶していた物語は、「赤いろうそくと人魚」、「野ばら」、「月夜と眼鏡」、「月とあざらし」、「牛女」、「とうげの茶屋」、「港に着いた黒んぼ」、「二度と通らない旅人」でした。親が子を思う気持ちを描いたものが多いようです。

うちのカミさんは本を読まない人なので、小さい頃に長女や長男に本を読ませるということはしなかったのですが、歳を取ってから小さい頃にこんな本を読んだな、と思い出させるものを与えるべきだったなあ、と反省しています。


2003年10月1日

山田詠美のマグネットを読みました。
罪と罰をテーマとする短編集でした。 集録されている短編にはちょっと文体にくせがあって読みにくいものが多かったので、私の評価は高くないですね。 とは言え、いくつかの短編は読んだ後で心が温まるもので、楽しめました。


2003年9月28日

萩尾望都のイグアナの娘を読みました。
長女が読んでいたマンガ本の短編集をちょっと借用して読みました。
表題作は母親だけが自分の娘がイグアナに見える(他の人は普通に見えるのに)という設定のストーリーでした。 女の人生すごろくやだめ恋愛脱出講座で指摘されている母親の娘に対する嫉妬や隠れた憎しみが象徴的に描かれていました。 このイグアナ娘のボーイフレンドが彼女を救うというところも、めぐり合う男性が若い女性の呪いを解くという岩月教授の主張と合致していて納得してしまいました。


2003年9月26日

佐野眞一の東電OL殺人事件を読みました。
東京電力に勤めているエリートOLが退社後は夜な夜な売春をしていた、そして何者かに殺害されてしまった、という事件の裁判のルポルタージュです。
裁判のルポやネパールの国情レポートなど面白い点もありましたが、私が一番興味を持った「なぜ年収1千万近くあったはずのエリートOLが円山町の街角に立って売春の客引きをすることになったのか」という心理学的な分析がほとんどなかったのは物足りなかったですね。


2003年9月20日

J.D.サリンジャーのキャッチャー・イン・ザ・ライを読みました。
以前(と言っても25年くらい前に)野崎孝訳を読んだときは、若かったせいもあるのかもしれませんがぜんぜん面白いと思いませんでした。
今回、村上春樹訳を読んでみたら、ほんとうに面白かったですね。ストーリーも記憶になかったので新鮮な気持ちで読むことができました。 読んでいるうちにホールデンの苛立ちや悲しみが伝わってきます。そしてフィービーがいいですね、暗闇に光る一筋の光のようです。


2003年9月11日

斎藤孝の身体感覚を取り戻すを読みました。
この人の指摘は納得する部分が多く、今回の腰・ハラ文化の再生という主張もなるほどと思う部分がたくさんありました。 30代や20代の社員が風邪や体調が悪いと言うことで休むことも多いのですが、私の世代だと風邪などの病気ではほとんど休みません。(成人病では休むこともありますが) ひょっとしたら、40代の私たちの世代はまだこの腰・ハラ文化で育っているために丈夫なのかもしれません。


2003年9月9日

山田詠美の晩年の子供を読みました。
この本も放課後の音符と同じような構成の女の子が主人公の短編集でした。 でも、放課後の音符は若々しい生命力にあふれた短編集だったのに比べ、晩年の子供のほうは、子供なりに感じる死のにおいのする短編集でした。
山田詠美の魅力はやはり若々しい生命力にあふれた小説のほうにあるよなあ、と感じました。


2003年9月8日

しげの秀一の頭文字D 27を読みました。
昔から気に入っている峠の走り屋のコミックの最新刊です。 罠によりFDを壊されてしまった啓介が26巻での前振りどおり恭子のFDを借りてバトルに臨みます。


2003年9月6日

イアン・アーシーの怪しい日本語研究室を読みました。
日本語が日本人より詳しいと思われるカナダ人の日本語エッセイでした。 漠然とはわかっていたんだけど、はっきり言葉で書かれると、そうなんだよねえ、と納得してしまいます。 社長のあいさつ文とか官僚言葉などの分析はとても面白く、電車の中で不気味ににやけてしまいました。変な人だと思われてしまったかも。


2003年9月4日

山田詠美のセイフティボックスを読みました。
オジサン向け雑誌の週刊現代に連載されていたエッセイ集です。 山田詠美らしい独特の視点からの日本人論、恋愛論が展開されていて面白く楽しめました。 でも、山田詠美と言う人は小説やエッセイを読むのは面白いのですが、本当につきあうことになったら大変な人かもしれないなあ、とか思いながら読んでいました。


2003年8月30日

原田宗典の27を読みました。
雑誌に連載されていたエッセイ集です。友人のおすすめの作家だったので読んでみましたが、ちょっといまいち面白くありませんでした。 古本屋で50円で売っていた本だったので、この作家のうちでも不出来のものだったのかもしれません。


2003年8月29日

村山由佳の翼 Cry for the moonを読みました。
この人の小説は甘ったるいのが多いのかな、と思ったら、結構シリアスな小説も書いているんだなあ、という感想でした。 学校ではいじめられ、母親からは疎まれて育った女性が、数々の試練を超えて強く生きていくという物語でした。 ストーリー自体は面白く読みましたが、本当にこの設定のような育ち方をしたら、もっと心理的なダメージを受けた女性になっていて こんなふうに魅力的には振舞えないんじゃないかな、という気がします。
インディアンの教えの描き方などを見ていると村山由佳という人は結構古風な人なんだな、と思いました。


2003年8月24日

小林よしのりの戦争論 3を読みました。
戦争論 2の続きでこのシリーズの完結篇になっています。 この本も面白く読めます。おすすめです。主張が極端なのがちょっと鼻につきますが、この手の本としてはしかたがないところです。
でも、読んだ後に暗澹たる気持ちになってしまいます。関連する他の本も読んでみて自分で考えないといけないかな。


2003年8月23日

フジテレビのトリビアの泉 へぇの本 1 素晴らしきムダ知識を読みました。
長女が買っていたのでトリビアの泉2とあわせて読みました。 確かに無駄な知識がいっぱいの本でした。 ちょっとした息抜きにはいいですね。


2003年8月21日

玖保キリコのそれなりのジョーシキを読みました。
玖保キリコの面白おかしいエッセイ集です。ちょっとパワーが足りないかな、と言う感じがしましたが。
そう言えば、今年新入社員できり子さんというひとがいたので、「きり子」といえば、玖保キリコか磯野貴理子だよねえ、と言ってしまったのだけれど、これはちょっと失礼だったかな、と反省しています。


2003年8月20日

江国香織の神様のボートを読みました。
淡々と描かれている、静かに流れていく物語です。しかし、裏側に恋愛は狂気の一部なのだろうか、と思わせるような危うさを秘めた少説です。 読んでいる途中はそうでもないのですが、読み終えると不思議に心に残る物語でした。


2003年8月19日

小林よしのりの戦争論 2を読みました。
前作戦争論が面白かったので、今回も買いました。とても面白い。おすすめです。
いろいろコメントを書きたいところですが、このホームページはkonnokが誰であるかを公表しているページなので、この程度の記述とします。


2003年8月18日

小倉千加子の女の人生すごろくを読みました。
女性の一生を心理学者が面白く辛らつに書いた本です。 春の目覚め篇、おつきあい篇、OL篇、結婚篇にわかれていて、現在女性の置かれている状況をユーモアたっぷりに書いています。
気に入った一言は「白雪姫は結婚して20年も経つと悪いお后になる」、「シンデレラは結婚して20年も経つと意地悪な継母になる」と言う指摘ですね。 これはだめ恋愛脱出講座などで言われている母親が娘に嫉妬するため、娘は母親の70%の幸せで満足するようになってしまう、という指摘に合致する意見でした。


2003年8月15日

井上史雄の日本語は年速一キロで動くを本屋で立ち読みしました。
日本語に最近追加されたように見える言葉は地方の方言が東京に逆流してきたものだった、という主張の本です。 確かにそう言われてみれば思い当たるフシもあります。 内容は良さそうだったのですが、お金がなかったので立ち読みでした。


2003年8月14日

村山由佳のもう一度デジャ・ヴを読みました。
村山由佳の処女作と言うことで、文章の構成やストーリーのそこかしこに若さが感じられます。 ファンタジーであることや二つの物語を交互に物語るスタイルなども若さゆえかもしれません。


2003年8月13日

別冊宝島の僕たちの好きなTVゲームをコンビニで衝動買いしてしまいました。
この時期のゲームとして100本紹介されていますが、実際に私がプレーしたことのあるソフトはあまり多くありませんでした。 以下のゲームはここで紹介されていましたが、Macやアーケードでやったのでファミコンではやっていませんでした。 また、ファイナルファンタジー、女神転生、ヘラクレスの栄光などは2以降からプレーしたので1はプレーしていません。

紹介されていた100本中15本程度しかプレーしてなかったと言うことは、その頃はまだゲーマーではなかったということなのだと考えたいけど...


2003年8月11日

倉田真由美と岩月謙司のくらたま&岩月教授のだめ恋愛脱出講座を読みました。
「だめんず・うぉ〜か〜」の倉田真由美と女は男のどこを見ているかの岩月謙司の共著です。 「だめんず・うぉ〜か〜」は興味があって本屋で手に取ってぱらぱらとめくっては見るのですが、買おうかな、という気になりませんでした。 この本は岩月教授との共著なので古本屋だと言うこともありつい買ってしまいました。
だめ恋愛をする女性を7つのパターンで類型化しそのメカニズムを解説しています。 女性がだめ恋愛をする原因は大きく父親の愛情不足と母親の嫉妬がある、と言う解説は女は男のどこを見ているかと同じ主張でした。 長女が結婚適齢期になって変な男しか連れてこないようだったら、また悩むことになるんだろうか。


2003年8月6日

村山由佳のBAD KIDSを読みました。
読みやすく、あっという間に読み終えてしまうストーリーですが、内容は二人の不良少年少女(?)の青年期の悩みや行動を描いた小説です。 今回も甘いだけではないピリッとしたところもあるストーリーで楽しめました。

森絵都のゴールドフィッシュを読みました。
これはリズムの続編で、前作から2年たって少し成長した主人公たちの物語です。 児童文学なので、あっという間に読めてしまいますが、いろいろ考えさせるところもあって興味深く読めました。


2003年8月4日

カート・ボネガットのタイムクエイクを読みました。
この作家の昔の小説では気に入っているものが多いので読んでみましたが、最後の小説と銘打っているこの小説は駄作でした。 途中で何度投げようと思ったことか。


2003年7月28日

レイチェル・シモンズの女の子どうしって、ややこしい!を読みました。
この本は米国の女性が書いたので女性の問題として書かれていますが、日本人の特にムラ社会という集団では男女の区別なく発生しうる状況だと思いました。 主張が気に入ったので、おすすめの本に入れてしまおう。

夢枕獏の陰陽師 生成り姫を読みました。
陰陽師の長編版です。物語のエピソード自体は以前の巻で出てきた話なのですが、それに肉付けがされて源博雅の魅力が存分に描かれていています。 たまには長編版もいいものです。


2003年7月26日

藤島康介のああっ女神さまっの25巻と26巻を読みました。
愛しのベルダンディの物語の最新刊です。ベルダンディの笑顔がいいですね。 今回のストーリーは女神たちについている天使を魔族が引き抜こうとして、女神たちと魔族の戦いが始まるというものでした。
なかなか単行本が出るのに時間がかかるようですが、次の巻が出たらまた買って読んでいきたいと思います。


2003年7月24日

乙一のきみにしか聞こえないを読みました。
この本の3作品はいまいち面白くなかったですね。 確かに乙一らしい語り口だしプロットも面白いんだけど、ちょっと作り物じみていて物語に感情移入が出来ませんでした。 次の作品に期待です。


2003年7月22日

村山由佳のきみのためにできることを読みました。
この小説も読みやすく、すんなりと頭に入ってきます。 天使の卵を読んで、ソフトクリームのような小説を書く人だと思ったのですが、それは間違いでしっかり内容もある小説も書く人だったんだなあ、と再認識しました。 特にメールのあて先を間違って冷や汗を書くなんてことは、業務上でもあったら大変なことだし、間違いそうになったことも何度かあったりして小説の中だけの話とは思えません。 直木賞も受賞したとのことだし、第1印象を修正してもう少し他の小説も読んでみようかな。


2003年7月19日

ローター・J.ザイヴァートとヴェルナー・ティキ・キュステンマッハーのすべては「単純に(シンプリファイ)!」でうまくいくを読みました。
人生を生きやすくするために単純に考えましょうという主張です。 途中の個々の主張については意見の異なるものもありましたが、確かに納得できるものでした。
ところが、最後にとってつけたようにエニアグラムという性格タイプの分類法が出てきたので、気に入りませんでした。


2003年7月18日

酒見賢一の陋巷に在り9 眩の巻を読みました。
顔回の活躍する(?)このシリーズも9巻目になりました。 祝融と女魃の間をすり抜けて九泉から生還した顔回は、鬼神を利用した孔子の企みを偶然妨害してしまう...
文庫版の表紙の絵を描いている諸星大二郎の暗黒神話などに通じる呪術的世界も描かれていてまた次が読みたくなります。


2003年7月11日

乙一の失踪HOLIDAYを読みました。
性格の悪い主人公の女の子がボーっとしているお手伝いさんを共犯者にして狂言誘拐を企てるが...という小説です。 お約束のどんでん返しが楽しめます。
しかし、私の気に入ったのは一緒に収録されている「しあわせは子猫のかたち」のほうでした。 この人の小説には死んだ後も霊魂はしばしこの世にとどまる、というお話が多いですが、これもちょっと切なくなってしまうような短編でした。


2003年7月8日

森絵都のリズムを読みました。
中学一年生の女の子が自分から見た家族や仲の良かった親戚の家族を描いた作品です。 森絵都らしい表現・感じ方が随所にあって楽しく読むことが出来ました。 難を言うとちょっとあっさりしすぎて30分で読み終えてしまえるところですね。 もうちょっと深みがあってもいいなあ、と思いました。


2003年7月7日

養老孟司のバカの壁を読みました。
自分から見ようとしなければ現実は見えてこない、ということをテーマにしたエッセイです。 表題にインパクトがあるのでつい買って読んでしまいました。 文章は読みやすいとは言えませんが、情報は固定だが、人間は日々変わっていく、という主張や 都市の生活というのは農村の生活に比べて頭でっかちになっている、という主張など面白く読みました。


2003年7月4日

梨木香歩のりかさんを読みました。
この小説はからくりからくさの続編で、主人公の容子さんが小さい頃おばあさんから人形の「りかさん」を譲り受けるお話です。 私の母や祖母の時代以前は人形や仏壇などに魂が宿るという考え方はごく一般的だったようです。 私もそのようなことを信じているわけではありませんが、そのような感じ方への違和感はありません。 妙に懐かしいような気持ちにさせる小説です。

書き下ろしで追加されている「ミケルの庭」も不思議な小説です。 私の長男もこの小説に書かれているような症状になったことがあり、周りの人間の心配はよくわかります。 それとは別に幼いミケルが感じている世界も魅力的で彼女の未来の広がりを感じさせます。 ミケルがもう少し大きくなったときの後日談も聞いてみたいな、と期待してしまいます。


2003年7月1日

村上春樹の村上ラヂオを読みました。
村上春樹らしいエッセイ集でしたが一つ一つの話題に突込みが足りないなあ、と感じながら読みました。 あとがきを読むと「anan」に連載したということで、若い女性向けだったとのことで、納得しました。
エッセイのひとつに体重計の話題があって、村上春樹は「減量のコツは性格のいい真面目な体重計と仲良しになることだ」と書かれていました。 私の仲良しの体重計はカミさんと長女のところに奉公にだしてしまったのでさびしいなあ、と思ってしまいました。


2003年6月29日

北村薫のリセットの文庫が出ていました。
これで、北村薫の《時と人》シリーズ3冊が全て文庫になったわけです。 私は古本屋で単行本を買って読んでしまったので不要なのですが、つい、本棚に並べておくためだけに買ってしまいそうになるのは悪い傾向です。


2003年6月27日

山田詠美の放課後の音符(キイノート)を読みました。
「ぼくは勉強ができない」が気に入ったので、高校生を題材にしたこの小説も続けて読みましたが、味わいがあっていいですね。 登場人物たちのみずみずしい気持ちが伝わってきてうれしくなってくるような文章でした。
古本屋で買ったので文庫ではなかったのですが、あとがきに書いてあった以下の文章が気に入りました。
良い大人と悪い大人を、きちんと区別できる目を養ってください。
良い大人とは言うまでもなく人生のいつくしみ方を知っている人たちです。
悪い大人とは時間、お金、感情、すべてにおいて、けちな人たちです。
自分はけちな人間になっていないだろうか、鈍感になっていないだろうか、と胸に手を当てて考えてしまいます。


2003年6月25日

中島らも・わかぎえふ共著のせいかくのふいっちを読みました。
中島らもとわかぎえふのリレーエッセイ集です。 いつもどおり飛ばしてくれているので安心して楽しんで読むことができました。
読んでいるうちに「ふいっち」だったら「ふいっちいずゆあふぇいばりいっとぶっく」とひとりで駄洒落でぼけてみたり、 「ふいっち」といっても全然不一致じゃなく共鳴してるじゃん、とひとりでつっこんだりして、ハイになってきてしまいます。


2003年6月24日

森絵都の永遠の出口を読みました。
一人の女性の小学生から中学・高校を経て大人になっていくまでの物語です。 でも、それぞれのエピソードが確かにありそう、と思えるようなエピソードで笑ったり怖かったりで楽しめます。
思春期の女の子はこんなこと考えているんだ、と目からうろこが落ちる思いです。 私が中学高校の頃に女の子にあこがれるだけで付き合っても振られるのは当然だったんだなあ、と思いました。
荒唐無稽なところもあったけど、面白い物語でした。
この人の他の作品も読んでみようかなあ。(いつもこればっかし)

村上春樹の少年カフカを買いました
まだ、海辺のカフカを読んでいない私は(文庫本になるまで我慢するんだもん)その本を読んだ感想でいっぱいのこの本を読んではいけないのですが、 この本の装丁を考えると文庫本が出る頃にはなくなっているような気がしてつい買ってしまいました。
いかん、ボーナスが出たら海辺のカフカを買ってしまうかも。


2003年6月19日

佐野洋子の食べちゃいたいを読みました。
野菜や果物を題材にしてセクシーな文章を作ったコント集です。 あっという間に読んでしまいましたが、コメントが難しい。 面白くないかというとそうでもない、単調かというとそうでもない、でも面白いかというとちょっと考えてしまう、そんな文章でした。 詩を理解する人なら、楽しむことができるのかもしれないけど。


2003年6月18日

山田詠美のソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリーを読みました。
8編収録されている短編集でした。 それぞれ男と女の関わりが描かれていてバックにはソウル・ミュージックが流れているような作品群でした。 読んだ後に余韻の残るものもあり、結構楽しんで読むことができました。


2003年6月12日

山田詠美のベッドタイムアイズを読みました。
読み始めてすぐにこの本は以前読んだことがあるなあ、と気づきました。 読んだことを忘れているほどですから、以前読んだときはそれほどインパクトはなかったと思います。 今回も感動するまでは行きませんでしたが、若いころと比べるとこの小説が何を言いたいのかはわかるようになってきたような気がします。


2003年6月8日

けらえいこのセキララ結婚生活を読みました。
一般的な結婚生活で遭遇するだろういろいろな事柄を面白く分析した本です。 記述は漫画になっているので気軽にあっという間に読んでしまうことができます。 作者の夫婦は幸せに生活しているんだなあ、というのが感想ですね。


2003年6月5日

酒見賢一の聖母の部隊を読みました。
酒見賢一のSFです。他の古代を舞台とした作品群とはまた違った面白さがあります。 4編収録されていますが、SFと言ってもそれぞれテイストの違う物語でした。 心が温かくなる物語や、ハチャメチャな物語なども収録されていて面白く読むことができました。


2003年6月4日

山田詠美のぼくは勉強ができないを読みました。
友人が面白いと言っていたので読んでみましたが、確かに面白かった。 主人公の秀美君の考え方はとっても自然だし、お母さんの設定も面白い。瑞々しい感性が光ります。 また、現在の学校のあり方に対する批判にもなっていてそちらも興味深いですね。
圧巻なのは番外編で秀美君のお母さんと担任の先生とが議論を戦わすところで、それぞれのポリシーのぶつかり合いがとっても面白かった。
山田詠美はちょっと近寄りがたかったのであまり読んでいなかったのですが、ちょっと他の本も読んでみようと思います。 おすすめの本に入れようかな。


2003年5月29日

宮部みゆきのドリームバスター2を読みました。
単行本は高いので買わない、という方針だったのですが、東京駅の新幹線ホーム近くの本屋でつい衝動買いをしてしまいました。
前作のドリームバスターの設定を引き継ぎながら前作とは違ったテイストの物語が収録されています。 縦糸にSF活劇的な物語を、横糸に現代の日本の悩める女性や、家庭内暴力を受けている子供を配置し、 その二つの糸がひとつの物語として織り上がっていく筆力はさすがです。 SF的な活劇と夢の中の世界を組み合わせるということでは、世界の終わりとハードボイルドワンダーランド も同じような構成ですが、読後感はまったく違いますね。どちらも面白いんですが。


2003年5月24日

中山庸子のがんばらない勇気がもてる50の方法を読みました。
女性向けの人生論です。 あまりがんばってしまうと疲れてしまいますよ、肩の力を抜いていきましょうということが書いてあります。 確かにそうなので、がんばってしまわないようにしていきたいものです。

姫野カオルコの不倫(レンタル)を途中まで読みました。
この作家は友人が紹介していたので読んでみたのですが、話が単調で途中まで読んで飽きてしまいました。 本を読んでいて途中で飽きてしまったのはレ・ミゼラブル以来です。

斎藤孝の子供に伝えたい<三つの力>を読みました。
サブタイトルが「生きる力を鍛える」となっていて、この本で主張されている三つの力はなるほどそうだなと思わせます。 三つの力とは「コメント力」、「段取り力」、「まねる盗む力」の三つです。 学校の授業がつまらないのはこれらの生きていくのに意味のある力を伸ばす方向に授業が行われておらず、 単なる試験の技術のみが伝授されるからだという主張はそうなのかな、と思わせます。
この本には斎藤孝のお勧めの本が10冊紹介されていましたが、私が読んだことがあるのは4冊だけでした。 まだまだ修行が足りません。


2003年5月17日

小泉吉宏のブタのいどころを読みました。
ブッタとシッタカブッタシリーズの続編です。 以前のシリーズのようにふんふんと言いながらあっという間に読んでしまいました。
一つ一つの主張はわかりやすく、納得してしまいます。 とは、言いながら「じゃ、具体的にはどうすりゃいいのさ」という答えが書いてあるわけではないのですが。


2003年5月13日

原田宗典の優しくって少しばかを読みました。
男と女の気持ちが微妙にずれてくるときの怖さや面白さが描かれている中短編集でした。 語り口がちょっと変わっていますがつい引き込まれて読んでしまいました。 この人の他の小説も読んでみようかな、と思いました。


2003年5月9日

遥洋子の東大で上野千鶴子にケンカを学ぶを読みました。
言葉で戦う上野千鶴子教授に教えを乞うたタレントの奮戦記でした。そうだそうだと頷きながら楽しんで読むことが出来ました。 言葉は武器だと言うのは議論をしているときや仕事をしているときでも感じることですが、やはり日頃の勉強が大事なんですね。
グサリとくる一言をはね返す心の護身術では技法が紹介されていますが、 このエッセイでは心構えが書かれているようです。 上野千鶴子の本はあまり読んでいませんが、一度腰を据えて読んでみたいと思いました。


2003年5月8日

加納朋子の魔法飛行を読みました。
この作家のななつのこの続編です。 小説の骨組みも同じようなスタイルで構成されています。
主人公の女子短大生の考えていることや彼女の友人たちとの交流がみずみずしく描かれています。 この小説を読んでいると私も女の子に生まれてこんな素敵な青春時代をすごしてみたかったなあ、とあこがれてしまいます。


2003年5月4日

宮部みゆきのあやしを読みました。
江戸時代を題材にした怪奇譚の短編集です。 ほとんどは心温まるエピソードでしたが、いくつか怖いものもあり、中でも「影牢」というのは本当に怖い物語でした。 語り口はいつもの宮部節で面白く読むことが出来ました。

昔読んだ本をひっくり返していたら、カードのエンダーのゲームの続編の死者の代弁者を見つけました。 読んだということを記憶していなかったということは多分それほど面白くなかったのかな、とか思いましたが、エンダーのゲームがそれなりに面白かったので読み直してみようと思います。


2003年5月2日

加納朋子の月曜日の水玉模様を読みました。
日常のちょっとした出来事から裏に隠された謎を解いてしまうOL片桐陶子と、見かけはちょっとぼーっとしているボーイフレンドの萩広海のコンビによるミステリーでした。 脇役で登場するひとたちも人間くさくて楽しめました。
ただ、この人の小説を読むともう少し言葉がスーっと入ってくるといいなあ、といつも思ってしまいます。


2003年4月27日

宮部みゆきの鳩笛草/燔祭/朽ちてゆくまでを読みました。
超能力を持った女性が主人公の短編が3編入っています。 私は鳩笛草の本田貴子の描かれ方が気に入りました。 秘められた能力を持て余し気味に隠して生きてきた主人公が、その能力が衰えることに自分自身のアイデンティティを失うような不安を感じてしまう、その描き方が気に入りました。 この小説を読んでいて私は以前本田貴子の出ている本を読んだことがあるなあ、と思ってインターネットで調べてみましたが、彼女が主人公の本は他に無さそうでした。 既視感を感じたいうことは、ちょっと疲れているのかもしれません。


2003年4月22日

宮部みゆきのレベル7を読みました。
記憶喪失の状態で目覚めた男女が自分たちが何者であるかを探し始める、という物語と レベル7まで行ったら戻れない?と日記に書き残して失踪した高校生を探すお母さんカウンセラーの物語が 陰惨な殺人事件に収斂していくという宮部みゆきお得意のミステリーです。 どんでん返しもあって飽きさせません。 失踪した高校生が事件に巻き込まれる経緯が納得できませんでしたが、それ以外は楽しんで読むことが出来ました。
この本は古本屋で買ったのですが、中に合計で9枚の付箋紙が貼ってありました。 古本にいろいろ殴り書きしてあるのは珍しくありませんが、付箋紙というのは初めてです。 なにげなしにはずして読み進んでしまったのですが、9枚も貼ってあったのだったら、あとでどの場所にどんな意図で貼ったのかを 推理するのも楽しかったかもしれません。


2003年4月18日

宮部みゆきのドリームバスターを読みました。
宮部みゆきのSFです。夢の中に現れる凶悪な思念体を狩るドリームバスターの活躍が描かれていますが、 設定もそれなりに考えられていて面白く読めます。 SFなのに人間くさい問題が描かれていて表紙の帯には「勇気が出てきます」と書いてあります。 物語の主人公と一緒に冒険しているような気持ちになれます。
ちなみに主人公が16歳の少年なので物語の中に登場する20代後半の子供のいる女性を彼は「おばさん」と呼んでいるのですが、 現在の年齢の私の感覚だと30歳くらいはまだ若い女性という感覚なのでちょっと違和感がありました。

根本橘夫の人と接するのがつらいを読みました。
他人と接するのがつらい、人と一緒にいるのが苦痛という症状とそれに対する対策を書いた本です。 自分の性格は直せないのだから、その性格で社会をうまく渡っていく方法を考えなければならない、というトーンで書かれていて うまくやっていくための気持ちの持ち方や、そのためのヒントが紹介されています。


2003年4月15日

日本マーフィー普及会編の続・マーフィーの法則を読みました。
私は基本的に企画物の続編は面白くないことが多いので買わないのですが、古本屋で100円だったので買ってみました。 米国版マーフィーの法則とはまた違った、日本の習慣に根ざしたウィットの利いた警句が並んでいて楽しめました。


2003年4月11日

伊藤友宣の家庭の中の対話を読みました。
副題が「話しあえない父親のために」となっていて心を突いてきます。
心に残ったのは大きく2つあって、一つは父親は子供と対話する場合に「説得」してしまう傾向があり、その場合は子供とけんかになってしまう。 そうではなく、子供の気持ちを「受容」することが大事である、ということ。
もう一つは最初に「情緒の共有」が出来ることにより、その上に「自立心」が芽生え、その上に「適応力」が培われて、 これらの条件が整ったときに「知」の発達があるということ。


2003年4月7日

トマス・H・クックの緋色の記憶を読みました。
最初は単調な物語かな、と思って読んでいるといろいろなエピソードが積み重なっていって事件の全容がわかってきますが、 最後にその悲劇の引き金がどのように引かれたかという謎解きがされます。 主人公が若かったときの一途な感性とそのときに感じた光景が、年老いた今になって思い出すとまた違った景色になってくるという 対比が鮮やかで、重いストーリーですが楽しめました。 この小説は他の小説などをはさみながら読んでいたので読み終わるまで一月以上かかってしまいました。


2003年4月2日

酒見賢一の陋巷に在り8 冥の巻を読みました。
気に入ってずっと読んでいる「陋巷に在り」シリーズの文庫最新版です。 単行本ではすでに物語りは完結しているらしいのですが、お金がないので文庫が出るのを待って読んでいます。
今回は、を助けるために顔回(の霊魂?)が黄泉の世界に下りていくというお話です。 実世界では医げいが子蓉がしかけた媚術(蟲術)を相手に死力を尽くして戦っています。 顔回の首尾により医げいの運命も決まると言うことで緊迫の巻なのですが、まだまだ決着はつかないようです。 次の巻が出るのを楽しみにしていたいと思います。
そう言えば村上春樹の海辺のカフカも早く文庫にならないかな。文庫になったらすぐに買う予定なので。


2003年3月29日

中山庸子の心がだんだん晴れてくる本を読みました。
最近、本屋で若い女性向の自分の気持ちの切り替え方の本があるとつい買ってしまうと言う傾向があります。 この本も気持ちが落ち込んだときにちょっとしたことで気持ちを切り替えることができますよ、というノウハウの書いてある本です。


2003年3月28日

コズミック・デブリのエミリー・ザ・ストレンジを読みました。
平積みにされていた本が宇多田ヒカルの訳なのでつい手にとって見ていたのですが、気がついたらレジで購入していました。 ダークな感じの絵本で読むのはあっという間ですが、手元に置いておいて時々見たくなる絵本でした。 光の加減で隠し絵が光るのも面白い趣向です。おすすめの本に入れてしまおうかな。


2003年3月26日

加納朋子のいちばん初めにあった海を読みました。
短編の小説が2編収録された短編集です。 私は二編目の「化石の樹」が気に入りました。ストーリー展開や謎解きも無理がなく心温まる物語になっています。 最後がちょっと甘ったるい感じはしましたが。

乃南アサの紫蘭の花嫁を読みました。
この小説もアイディアはいいのですがちょっと物語の構成に無理があるような気がします。 残念ながらストーリーの展開に納得できませんでした。当面乃南アサの小説は読むのをやめようと思います。


2003年3月20日

加納朋子のガラスの麒麟を読みました。
ななつのこと同じように短編が積み重なって ひとつの大きな物語となる短編集でした。 ある女子高校生が通り魔殺人にあってしまいます。 彼女にかかわっていた人たちのいろいろな物語がそれぞれの登場人物を主人公にして紡ぎだされていきます。 高校生くらいの年代の多感な少女たちの悩みや考え方が描かれていました。 ただし、謎解きは犯人像がこじつけの感じがして不自然だったのがちょっと残念でした。


2003年3月20日

土屋賢二の汝みずからを笑えを読みました。
哲学の先生の書いたユーモアエッセイです。 なかなか難しいユーモアの本でした。ユーモアが理屈っぽいので読んでいるとちょっと頭が痛くなってきそうです。 とは言いながら、最後のあとがきまで同じトーンで書かれているのは立派です。
でも、私はやっぱり普通の実体験に基づくユーモアエッセイの方がいいなあ。


2003年3月15日

梨木香歩のからくりからくさを読みました。
織物を織っている4人の女性と1人の人形の物語です。主人公が祖母から受け取った人形にまつわる物語としてかかれています。 梨木香歩の物語には自然との絆が描かれていますが、この作品でも草木が重要な脇役として描かれています。 ちょっと人間関係がわかりにくいですが面白く読むことが出来ました。
主人公の友人の名前が与希子と紀久で人形の着物の模様が斧琴菊(よきこときく)だったりするような言葉遊びも満載で謎解きが楽しくなります。


2003年3月7日

中島義道の私の嫌いな10の言葉を読みました。
日本人の良く使う言葉を分析して日本における考え方や言葉の使い方を分析し、 それらの言葉を使うときには言葉を重要視していないし、自分だけが正しいと言う思考停止状態になっているという 分析がされています。分析が的確で主張はいちいちもっともだと納得させられます。 これらの定型文を使うときは一度意味を考えてから使うべきだなあと反省しました。 ちなみにその定型文は以下のようなものです。
2003年3月5日

梨木香歩の裏庭を読みました。
この物語はファンタジーですが結構骨太のストーリーとなっています。 主人公の女の子がファンタジーの世界を旅することにより自分の問題を乗り越えて成長していくと言うエピソードが気に入りました。 主人公の周りの人たちも葛藤を抱えながら生活しているという設定が気に入りました。
難を言えばファンタジーの側に登場する登場人物の命名がちょっといまいちだなあ、ということくらいです。


2003年3月3日

小池真理子の妻の女友達を読みました。
エスプリのきいた意外な結末が用意されているミステリの短編集でした。 確かに面白かったのですが、あまり生活感がないので数学の証明を読んでいるような感じがしました。


2003年2月23日

梨木香歩の西の魔女が死んだを読みました。
主人公の中学1年生のまいとイギリス生まれのおばあさんの交流を描いた童話です。 心温まる物語で読み終わった後にとっても嬉しくなってしまいました。 おばあさんの知恵がいろいろなエピソードに表現されていて、こんなふうになりたいなあと思わせます。


2003年2月19日

浅田次郎のシェエラザードを読みました。
太平洋戦争の末期に沈められた豪華客船をめぐる人間模様が感動的に描かれています。 ミステリーなのに歴史小説の顔も持っていて、つい引き込まれてしまう語り口はこの作者の持ち味だと思います。 鉄道員(ぽっぽや)とはまた違った魅力があります。


2003年2月15日

加納朋子のななつのこを読みました。
北村薫の空飛ぶ馬シリーズのような感じの作品で楽しんで読むことが出来ました。 最初読んでいると短編集かなと思いますが、それぞれの短編が最後にまとまって謎解きされるのは よく考えてあるなと言う感じです。 もう少し言葉がスムーズに入ってくると良いなあ、というのが感想でした。 とは言え、この人の他の作品も読んでみようかな、と思います。


2003年2月7日

柳田国男の遠野物語を読みました。
この本は20年前に読んだものですが、先日倉庫の本を整理している中で見つけたのでもう一度読んでみたのでした。 明治時代の東北地方に生活していた人々がどのような信仰や希望で生きていたのかがわかります。
ちなみにこの本に収録されている方言の半数以上は仙台でも使われていたものなので、 方言とは古い時代の共通の言葉なんだろうな、と再確認しました。

村山由佳の天使の卵を読みました。
友人もこの作家の本を読んでいて、少女マンガのようだ、と書いていました。 確かにそのとおりで、女の子の好みそうな美少年と美少女が出てくるラブストーリーでした。 あっという間に読めてしまうショートケーキのような小説でした。


2003年2月6日

中島らもが大麻所持でつかまったようです。 この人の小説にはアマニタ・パンセリナのように あぶない薬を題材にしたものもあるのですが、小説だけでなく本当にやっちゃったんだなあ、という感想です。
昔々、井上陽水が麻薬でつかまったときは結構ショックだったことを思い出しました。


2003年2月1日

天童荒太の永遠の仔を読みました。
この小説はかなりの大作で、読み始めたのは昨年ですが他の本を間にはさみながらやっと読み終えました。 小さい頃に児童虐待によりトラウマを受けた子供たちが大きくなってもそれを克服することが出来ず、結果的に悲劇を呼んでしまうという ストーリーでした。非常に丁寧に書かれている作品で子供たちの苦悩も違和感なく受け取ることが出来ました。


2003年1月28日

村上春樹の「そうだ、村上さんに聞いてみよう」を読みました。
この本は東京駅構内の本屋で買いました。(最近、新幹線待ちをしながらここで立ち読みをしていてつい買ってしまうことが多いです)
村上春樹がインターネットで募集した質問に答える形式で回答したものを収録したものです。 音楽に関する話題などはついていけませんが、確信犯でうそが書いてあったり、不倫やセックスに関する話題がまじめに議論されていたりして面白く読むことが出来ました。 また、人生論として納得できるもの、それは違うんじゃないかなというものいろいろあって楽しめます。 ビートルズの Norwegian Woods の由来などは「へえ、そうなんだ」と感心してしまいました。


2003年1月26日

岩月謙司の女は男のどこを見ているかを読みました。
この本は友人からすすめられていたものですが、読んでみたら確かに納得できることが書いてありました。 自分はこの本に書いてあるように陰徳を積んでいるか、自分や周りの人を幸せにするようにしているかということについてはなかなか自信がありません。 自分に自信が持てるように出来る限り努力していきたいものです。


2003年1月24日

江國香織のホリー・ガーデンを読みました。
この人お得意のちょっと常識から外れているけど憎めない人たちを登場させた小説です。 きらきらひかると同じようにちょっと不思議な感じがしました。 登場人物の中では主人公の女性に片思いしている中野君という登場人物にこんな人いないよなあ、と思いながらも惹かれてしまいます。


2003年1月18日

乙一の天帝妖狐を読みました。
トイレの落書きを掲示板に見立てて事件が起こる「トイレのタバコさん」とふとしたことから不死の妖狐にされてしまった男の悲しい物語「天帝妖狐」の2編が収録されています。 私としてはどちらかと言うと「天帝妖狐」の方に共感を覚えます。怪物になってしまった孤独な主人公が少女に親切にされるけれど いつまでもその状態を続けることはできず、悲しい別れがきてしまいます。 淡々とした語り口で物語がつぐまれていて、不思議な雰囲気があります。

古本屋でファミコン通信編集部編の「伝説のオウガバトル公式ガイドブック」を買ってきました。
昔から気に入っているゲームの攻略本です。現在持っているものは使いすぎてぼろぼろになってしまっていたので古本屋にあったものを幸い買ってしまいました。 初版は1994年になっており、ESBOOKSには載っていませんでした。


2003年1月16日

乙一のさみしさの周波数を読みました。
短編が4編収録されている短編集でした。 乙一は夏と花火と私の死体が結構気に入っていたので 買ってみましたが、確かに今回の4編もこの作者らしい面白い感覚で読めました。 ストーリーの展開も引き込まれてしまうところがあり、この作者の他の小説も読んでみようと思いました。


2003年1月8日

宮部みゆきのクロスファイアを読みました。
超能力を持った女の子が自分の正義によって人を裁いていくが、それが行き詰まっていくというストーリーでした。 善意を持って行動しているはずの主人公が自分の行為が本当に正義なのかに疑問をもって悩んでいたはずなのに、 いつのまにか悪意を持った人間に利用されてしまう、裏切られてしまうというストーリーが私のつぼをついているのかも知れません。
前に読んだ龍は眠るに比べて頷ける部分が多く結構楽しんで読むことができました。


2003年1月4日

馬場史郎のSEを極める 50の鉄則を読みました。
これは昨年会社から読むようにと個人配布されたもので、本格的には読んでいなかったので正月休みを機会に読んでみました。 SEマネジャのあるべき姿を50項目にわたって書いてあるのですが、その内容から自分を振り返るとかなり猛省すべきだなあ、と思いました。 「ぶらっと、独りでお客様を訪問する」「SEからの連絡にはメールも含めて必ずコメントを添えて回答する」「自分のポリシーを持て」 などという項目は確かにそのとおりなのですが、なかなか実施できていません。

リズ・ダベンポートの気がつくと机がぐちゃぐちゃになっているあなたへを読みました。
高校生の長女が自分の机の周りを片付けないので、片付けさせるために買ったのですが、内容を読んでみると仕事をうまく進めるためにはどうすればいいのか、というどちらかと言うと「超」整理法に近い内容でした。 私自身は机の周りはいつもきれいな方なのであまり参考にはなりませんでしたが、「6ヶ月以上使わない紙の資料の95%はゴミである」という主張は いろいろ使えるかな、と思いました。


2003年1月3日

J.K.ローリングのハリーポッターと炎のゴブレットの下巻まで読み終わりました。
この人のストーリー構成は巻を重ねるに従いだんだん良くなってきているようです。 魔法の世界のことなので自由に物語を構成できるとは言え、つい物語に引き込まれてしまいます。 確かにストーリーテラーとしては一流です。


2003年1月2日

J.K.ローリングのハリーポッターと炎のゴブレットを読んでいます。
とりあえず、上巻を読み終えました。いつものハリーポッターですが、映画を見た後に読むと映画の主人公たちがイメージされて しまい、映画の影響は大きいなあと感じてしまいました。




2002年に読んだ本の感想