2020年に読んだ本の感想


ブクログブクログに読んだ本の感想をアップしています。


2020年12月15日

瀬尾まいこのそして、バトンは渡されたを読みました。
主人公の優子は、小さい頃に母親を亡くし、実の父親と再婚相手の梨花さんと生活していました。 父親がブラジルに転勤になったときに、優子は父親についていくのではなく、学校の友人や梨花さんと生活することを選択します。 その後、梨花さんが再婚したことにより、優子は新たな父親と生活していくことになります。
梨花さんと3人の父親の愛情を受けて優子はすくすくと大人の女性に育っていきます。 そして、優子が結婚することを決めた廣瀬君にバトンが渡されるのでした。
最後まで物語を追っていくと、結局優子がこのように複数の父親を持つことになったのは、梨花さんの性格が原因だったんだなあ、と思ったのでした。


2020年11月25日

有川ひろのイマジン?を読みました。
映画作成の仕事に就きたいと映像専門学校を出た良助は、東京の制作会社に就職したのですがその会社が計画倒産、そのまま東京でアルバイト暮らしをしています。 先輩の紹介で制作会社殿浦イマジンでのバイトをすることになった良助は夢にみたドラマ制作の現場に参加することが出来ました。
ハラスメントが横行する制作の現場で悩みながらも制作会社の下っ端として走り回ることで良助は制作の仕事を覚えていくのでした。 自衛隊の広報をテーマにしたドラマとか野草がテーマの恋愛映画などどこかで見たことがある映画の制作現場が描かれていてうれしくなります。
有川ひろの小説は読んでいると元気が出てくるのがとてもいいと思いました。


2020年11月15日

誉田哲也のインデックスを読みました。 ストロベリーナイトなどに登場する姫川玲子の短編集でした。
姫川玲子が池袋署に勤務していた時期のエピソードが7編収録されています。 「彼女のいたカフェ」では刑事としての顔とは違った姫川玲子が語られ、「落としの玲子」では攻める側に立つと容赦のない姫川玲子が描かれています。
ハードな刑事小説の中で、ときどき武士道シックスティーンの早苗を彷彿とさせる玲子の感想が入るのがとても気に入りました。


2020年11月3日

小路幸也の東京カウガールを読みました。
主人公の英志はカメラマン志望の大学生です。 英志が夜の公園で映像を撮っているときに、偶然チンピラを再起不能にたたきのめしている美しい女性を撮ってしまいます。 そして、英志はその女性に見覚えがあることに気づきます。
その女性と接触した英志は裏社会につてのある叔父やその友人と一緒に女性の目的はなんなのか、を探っていきます。 そして、その女性を助けたいと動き出します。
読み終えたときに設定に無理があるなあとは思いましたが、物語としては面白く読みました。


2020年10月22日

瀬尾まいこの温室デイズを読みました。 いじめと校内暴力がはびこる中学校の教室でその状況をなんとか改善しようとする少女たちの物語でした。
普通の生徒がある日いじめられる立場になってしまう状況のなかで、いじめに対抗していくみちると、その状況を何とかしたいけどできない優子の交互の視点で物語が語られていきます。
読後感としては校内でいじめに荷担している「普通の」生徒たちがとても薄気味悪く感じました。


2020年10月15日

上橋菜穂子の鹿の王 水底の橋を読みました。 伝染性の風土病を抑えようと奮闘する人々を描いた鹿の王の続編でした。
前の物語では伝染病を抑え込もうと奮闘したホッサルは今回、次期皇帝を巡る争いに巻き込まれてしまいます。 馬の血を使った血清を使う治療法を穢れたものとして禁止しようとする清心教の勢力と病人を救うことが優先と考えるオタワルの勢力がしのぎを削ります。
ホッサルはオタワルの勢力として行動しているのですが、ここで毒を使った暗殺事件が起きてしまいます。 血清を使って毒を盛られた人を助けようとするホッサルとこれを好機として自説を主張しようとする清心教との攻防が始まります。
新型コロナウィルスが感染拡大しているいま、伝染性の病気とどのように立ち向かうのかということを考えさせられる物語でした。


2020年9月27日

デボラ・インストールのロボット・イン・ザ・スクールを読みました。
ダメ男の獣医師ベンと法廷弁護士のエイミー、二人の娘のボニー、そしてレトロな箱形ロボットのタング、卵形ロボットのジャスミンのイギリスでの生活を描いた物語でした。
ボニーが学校に行く年齢になって通学の準備をしているとタングも学校に行きたいと言い出します。 ベンとエイミーは学校と掛け合ってタングが学校に行けるようにします。
ところが、タングは学校で人気者になった一方、ボニーは学校の生活になじめないようです。 ベンとエイミーはボニーとタングの学校の生活がうまく行くようにしようとするのですが、、、
物語の後半では事件が起きて家族は試練に立たされます。
konnok的には読書好きでキュートなジャスミンがお気に入りです。


2020年9月7日

三上延のビブリア古書堂の事件手帖Uを読みました。 ビブリア古書堂の事件手帖 番外編では小さかった扉子も高校生になりました。
扉子は祖母の篠川智恵子から2冊の本を持ってくるように依頼されます。 その2冊は父親の大輔がビブリア古書堂が解決した事件を記録したものでした。 扉子は祖母を待つ間、その本を読み始めます。
今作では横溝正史の作品をテーマに物語が語られていきます。
「目の前の本を読まないという選択肢が、篠川家の人間にあるわけもなかった」


2020年8月17日

パウロ・コエーリョのアルケミスト 夢を旅した少年を読みました。
羊飼いの少年が預言者と会って自分の心の導きに従って宝物を探すという物語でした。 砂漠を旅する隊商や、オアシスの人々、そして本物のアルケミストなど魅力的な登場人物たちが描かれています。
少年は苦難の末、預言者が示した宝物を見つけるのですが、宝物が金銭的な価値だけのものだったのが、konnokの感覚としてちょっと違和感を感じました。


2020年7月15日

本多孝好のdele2(ディーリー2)を読みました。
依頼人の死後(具体的にはパソコンやスマフォが一定時間以上操作されないとき)指定されたフォルダの内容を削除するという依頼を受ける、 dele.LIFE というサイトのお話の続きです。
最初に2編の依頼人死後のフォルダ削除に関するエピーソードが語られます。 3編目で dele.LIFE に来た室田和久という依頼人からのデータ削除依頼は、主人公の真柴祐太朗の個人的な事柄に関連するものでした。 そして、dele.LIFE が始まった経緯が明かされるのでした。
3編目は楽しめませんでした。 依頼人死後のフォルダ削除についての物語だけで良かったなあ、と思ったのでした。


2020年7月10日

本多孝好のdele(ディーリー)を読みました。
主人公の真柴祐太朗は dele.LIFE というサイトを運営している坂上圭司に雇われています。 dele.LIFE は依頼人の死後(具体的にはパソコンやスマフォが一定時間以上操作されないとき)指定されたフォルダの内容を削除するという依頼を受けています。
祐太朗の仕事は圭司の代理として依頼人が死亡したことを確認する仕事です。 祐太朗が依頼人のところに行って依頼人の家族と話をしていくと、いろいろな事情が見えてきます。
収録されている5つの短編の中では、ドールズ・ドリームという短編が気に入りました。 幼い娘を残して死んでしまうことが分かった母親が dele.LIFE に依頼したこととは...


2020年7月1日

宮部みゆきのあやかし草紙を読みました。 三島屋変調百物語伍之続ということで、三島屋の黒白の間で店主の姪のおちかが来客の怪異の話を聞くというシリーズの最新刊でした。
1話目が陰惨な救いのない物語だったので、どう展開するんだろうと読み進めたところ、2話目がちょっとコミカルな話、3話目からはおちかの今後に関わってくる明るい話だったのでほっとしました。 特に2話目の化け物を呼び出してしまう「もんも声」を持った女性の物語が気に入りました。
今巻でおちかは百物語を卒業してしまいますが、三島屋の店主の次男が百物語をつづけるとのことなので、続きが楽しみです。


2020年6月19日

三浦しをんの月魚を読みました。
古書店「無窮堂」の若き店主の本田真志喜とその友人でせどり屋の息子の瀬名垣太一の物語でした。 瀬名垣が古書の買い付けをするために真志喜といっしょに山奥の屋敷に向かいます。 蔵書を収集していた人が亡くなったため、未亡人の依頼により蔵の中の蔵書の査定を行います。
真志喜の父親は「無窮堂」を継ぐ予定でしたが、小学生の瀬名垣の行動がもとで失踪してしまいます。 このため、二人の間にはわだかまりがあるのでした。
静かに二人の関係が語られていく物語なのですが、読み終わった後に深い感動がありました。


2020年6月10日

近藤史恵のふたつめの月を読みました。 賢者はベンチで思索するの続編でした。
七瀬久里子はフリーターを脱してなんとか服飾メーカーに正社員として採用されたのですが、トラブルに巻き込まれて退職することになってしまいます。 失意のうちに愛犬2匹と散歩をしていた久里子は歩道橋の上で松原と再会します。 松原と話をした久里子には前を向いて進んでいこうという気持ちが戻ってきます。
読みやすい物語ですが、今回は謎解きがあまり納得できなかったのが残念でした。


2020年6月9日

有川ひろの倒れるときは前のめりを読みました。 有川浩が日頃考えていること、自分の作品への思い、そして出身地の高知への思いを書いたエッセイ集でした。
有川浩の作品はkonnokはとても気に入っているし、作品中で主張されていることも共感しているので、納得しながら読みました。 有川浩が昔から気に入っている作家も紹介されていますが、konnokも気に入っている作家ばかりなのでうれしくなりました。
エッセイの後に【振り返って一言】と後日談やコメントが入っているのも面白く読みました。


2020年5月23日

米澤穂信の巴里マカロンの謎を読みました。
小佐内さんと小鳩君が登場する小市民シリーズの新刊短編集でした。 今回は二人に加えて古城さんという女子中学生が登場して古城さんにからむ事件の推理が展開されます。
伯林あげぱんの謎では章の最初に小佐内さんの悲しそうな姿が描写されるのですが、これがこのような結末になるとは。 面白く読みました。
今回の作品は後味の良いエンディングだったので、ほっとしました。


2020年3月24日

河野裕のつれづれ、北野坂探偵舎2を読みました。
小説家の雨坂とその元担当編集者で今はカフェ経営をしている佐々波が登場するミステリーの2作目でした。 佐々波は幽霊が見えるという能力があり、この世に未練を残している幽霊が物語に登場します。
今作では大学の演劇部で未完成の戯曲を遺して亡くなった人とその人に関連する幽霊が登場します。 また、雨坂が過去に大きな事故にあったことが明らかになってきました。 いまは脇役として登場する少女の幽霊が今後の物語の主役になってくるのではないかという予感がします。
河野裕の小説は難解な部分があって、通勤読書のkonnokにはちょっときついと感じてしまいますが、それでも物語を追いかけてみたいと思わせる魅力があります。


2020年3月5日

東野圭吾の危険なビーナスを読みました。
主人公の伯朗は有能な獣医ですが、ほれっぽいところが玉に瑕。 そんな伯朗のところに、美人でスタイル抜群の女性、楓が現れます。 彼女は伯朗の異父弟である明人の妻だと名乗ります。
明人と楓が仕事をしているシアトルから日本に戻ったところで明人が失踪してしまったので、楓は伯朗に助けを求めます。 伯朗と楓は、明人が財産を相続する予定の矢神家の親族が明人の失踪に絡んでいるのではないかと疑い、調査を開始します。
タイトルから考えて楓は明人の妻ではないと見込んでいましたが、それでは楓の正体は何だろうと考えながら読みました。


2020年2月19日

誉田哲也のプラージュを読みました。 訳ありばかりのシェアハウスという副題のついたミステリーでした。
ひょんなことから覚醒剤取締法違反でつかまってしまい、執行猶予中の吉村貴生は住んでいたアパートの火事で焼け出されてしまいます。 保護司に相談した結果、貴生はプラージュというシェアハウスを紹介されます。
潤子さんという若い女性がオーナーのシェアハウスは部屋がカーテンだけで仕切られています。 そこで暮らすことにした貴生は、そのシェアハウスの住人たちがみな事件に関連している人たちだと言うことを知ります。
刑事事件を起こしてしまった人間は、罪を償って世間に出てくるのですが、そこでは世間の冷たい目があるのでした。 そのような人たちを引き受けて暖かく見守ろうとする潤子さんの決意がプラージュというシェアハウスを生み出したのでした。
この物語にはサイコパスの女性が登場します。 サイコパスというと自信にあふれて冷酷な残虐な行動を行う人物として描かれることが多いですが、この女性は自分が他の人と比べて何かが欠けていることを気にしているという描かれ方をしていて面白いと思いました。


2020年2月12日

近藤史恵のときどき旅に出るカフェを読みました。
30代半ばで独身、ちょっと寂しさを感じている瑛子がふと立ち寄った近所のカフェはいろいろな国の料理が供されるカフェでした。 オーナーの円(まどか)が瑛子の会社の新入社員だったという縁もあり、瑛子はそのカフェに行くようになります。
章ごとに世界の料理が紹介され、瑛子や円やカフェの客などの小さな事件が物語られます。 軽い読み物で面白く読みました。


2020年2月9日

坂木司の女子的生活を読みました。 Life as a girl というサブタイトルがついているとおり、トランスジェンダーの男の子が主人公の物語でした。
高校を卒業後、上京して女性として生活している みき こと小川幹生が主人公です。 ルームシェアの友人が出て行ったところに、高校時代の友人が転がり込んでくるところから物語が展開します。 ブラック企業に勤めている女子たちの日常生活や合コンでの女子力と裏側の本音など、面白く読みました。
タワーマンション合コンに登場するマナミさんはとても幸せな境遇なのですが、それでもちょっと生きにくさが垣間見えるのが坂木司らしい表現だと思いました。


2020年2月2日

阿川大樹の終電の神様を読みました。
終電で帰宅する途中、事故で電車が止まってしまった、というシチュエーションをテーマにした短編集でした。 プロットは面白かったのですが、そこからの物語の展開にちょっと納得感がなかったのが残念でした。


2020年1月24日

河野裕のつれづれ、北野坂探偵舎を読みました。
小説家の雨坂とその元担当編集者で今はカフェ経営をしている佐々波が登場するミステリーでした。 佐々波は幽霊が見えるという能力があり、この世に未練を残している幽霊が物語に登場します。
通常、ミステリーは実際に起きたことを探偵がいろいろな証拠から推理していくものですが、この物語では小説家と編集者が証拠=設定から物語を紡ぎ出していくというストーリーになっています。 なので、サブタイトルが「心理描写が足りてない」となっています。 こんなぶっ飛んだ設定ですが面白く読みました。
カフェのウェイトレスのパスティーシュさんが辛辣で、いい味を出しています。


2020年1月14日

北村薫の遠い唇を読みました。 謎解きをテーマにした短編集でした。 感想としては、いまひとつ心に残る短編がなかったのが残念でした。


2020年1月7日

加納朋子のトオリヌケキンシを読みました。 病気や症候群をテーマにした短編が6編収録されています。
一番気に入ったのは平穏で平凡で、幸運な人生でした。 形から音につながる共感覚を持っている女性の物語でした。 普段は特に役に立つわけでもないのですが、いざというときに幸運にもその能力が役に立ちます。
そして、最後の短編が無菌病棟から生還した加納朋子の実体験を元にした物語でした。 加納朋子が生還して新しい物語を読むことが出来る幸運を慶びたいと思いました。


2020年1月1日

今年も、面白そうな本を探して読んでいきたいと思います。 そしてなるべく本を選ぶときに参考になるようなコメントを記録していきたいと思います。
昨年から本を読むペースが落ちてきているので、今年はもう少し本を読んでいくようにしたいと思います。 どうぞよろしくお願いいたします。




2019年に読んだ本の感想