小野不由美の白銀の墟 玄の月の3巻と4巻を読みました。
十二国記シリーズの最新刊で、北方に位置する戴が舞台の物語でした。
戴の正統な王である驍宗が自力で地の底から帰還したとき、地上では李斎らが阿選の軍と戦っていました。
何とか驍宗と合流することが出来た李斎らは驍宗を海を越えた雁国に脱出させようとしますが、脱出の途中で阿選の派遣した騎獣の部隊に襲われて驍宗は囚われてしまいます。
そして驍宗を取り戻そうとする李斎らの部隊は阿選の軍により壊滅させられてしまいます。
驍宗を公開処刑しようとする阿選の企みを知った李斎たちは何とか驍宗を助けようとするのですが...
十二国記の物語では麒麟は穢れを嫌い正しいことを行う設定となっているのですが、今回の物語では泰麒は企みを行い人を傷つける行動を行います。
戴の国のためを思っての行動とは言え、泰麒の苦悩が伝わってきます。
小野不由美の白銀の墟 玄の月の1巻と2巻を読みました。
十二国記シリーズの最新刊で、北方に位置する戴が舞台の物語でした。
戴では新しく王となった驍宗を手下に襲わせ、麒麟の泰麒を害し、裏切りによって王となった阿選が、なぜか王宮に引きこもってしまい、民が放置されている状況が続いています。
慶国の女王らの助けを借りて泰麒を蓬莱から戴に連れ戻った驍宗の部下の李斎らは驍宗を探して戴の涵養山の付近を捜索しています。
2巻の終わりで驍宗と思われる人物が亡くなっていたことが判明し、物語は3巻に続くのでした。
河野裕の汚れた赤を恋と呼ぶんだを読みました。
階段島シリーズの3冊目でした。
階段島シリーズでは現実の世界で魔女の力を借りて捨てられた人格が、階段島に生まれ変わって生活していく場所が描かれますが、
この3冊目では階段島に人格を捨てた現実の世界の登場人物が描かれています。
主人公の七草、その友人の真辺由宇、そして小学2年の相原大地が人格の一部を捨てることになる経緯が描かれています。
主人公たちの行動にいまひとつ感情移入ができなかったのがちょっと残念です。
辻村深月の朝が来るを読みました。
特別養子縁組で未婚の女性から子供をもらった不妊の夫婦と、その子供の実の母親の物語でした。
子供を養子にした夫婦の物語の後に、実の母親の物語が語られますが、その章ははっきり言って面白くありませんでした。
辻村深月は当分読まなくてもいいかな、と思ったのでした。
河野裕の少年と少女と正しさを巡る物語を読みました。
咲良田を舞台にしたSF、サクラダリセットの最終巻でした。
浅井ケイは咲良田の超能力をもつ人たちの能力を残すことを選択します。
そのために、友人となった能力者たちと協力して能力を消し去ろうとする浦地の説得を試みます。
一つ一つはささやかな友人たちの能力をコンボとして組み合わせて目的を達成してい描写が面白い。
物語は完結していないのですが、浅井ケイや春ア美空たちのまっすぐな行動が感動的でした。
若いっていいな、と思ったのでした。
河野裕の少年と少女と、を読みました。
咲良田を舞台にしたSF、サクラダリセットの6冊目でした。
咲良田にだけ存在する超能力を全て消し去り、咲良田を普通の街にしようとする浦地の策略は成功したかに思えたのですが、記憶を保持する浅井ケイの能力だけは消されずに残ります。
そして浅井ケイは最後の反撃に出るのでした。
春ア美空のキャラクターがペルソナ3に登場するアイギスと同じように感じるのが面白いと思いました。
河野裕の片手の楽園を読みました。
咲良田を舞台にしたSF、サクラダリセットの5冊目でした。
夢の世界を実際の咲良田の町と同様に構成する超能力をもつ少女の夢の中が今回の物語の舞台でした。
他の登場人物もその少女の近くで眠ることによりその世界で活動することが出来ます。
浅井ケイと春ア美空たちはある目的を持ってその世界に入っていきます。
前作から登場する管理局の中枢にいる浦地と索引さんは咲良田の住人たちが持っている超能力全てを消すという活動を進めています。
この活動がどのような結末になるのか楽しみです。
浅井ケイの超能力が記憶を全て保持するというものであることに対し、浦地の能力が記憶を消すというものであることが面白いと思いました。
河野裕のさよならがまだ喉につかえていたを読みました。
咲良田を舞台にしたSF、サクラダリセットの4冊目でした。
サクラダリセットの登場人物の横顔を描いた短編が5編収録されています。
ある日の春アさん(××編)、という短編が2編書かれていて、面白く読みました。
さらに春ア美空のキャラクターが好きになりました。
河野裕の機械仕掛けの選択を読みました。
咲良田を舞台にしたSF、サクラダリセットの3冊目でした。
最大3日時間を戻すことが出来る春ア美空とリセットを越えても記憶を保持できる浅井ケイとの物語です。
あまり感情の起伏のない性格の春アですが、公園で出会ったクラカワマリとの交流の中で少しずつ自分の感情を持つようになってきます。
この物語の世界観は現実とは異なり、コンピューターの中で構成されている仮想現実の世界のようにも思えてきます。
このシリーズの最後はどのような結末になるのか、楽しみです。
河野裕の魔女と思い出と赤い目をした女の子を読みました。
咲良田を舞台にしたSF、サクラダリセットの2冊目でした。
時間を戻すことができるリセットの能力を持つ春ア美空とリセットを越えても記憶を保持できる浅井ケイとの二人はいつも一緒に行動しています。
浅井ケイの中学時代の後輩、岡絵里は浅井ケイに勝ちたいと言うことだけで、咲良田の超能力管理局の中枢に近い「魔女」に会いに行こうとします。
浅井ケイは「魔女」と岡絵里を管理局から守ることが出来るのでしょうか。
コンピューターゲームでは、物語の序盤で敵として登場するメンバーが次々に仲間になっていき、強くなったパーティーで終盤に待ち受ける悪の帝王を倒すという定番のストーリーがありますが、この物語もそのような展開になるのでしょうか。
河野裕の猫と幽霊と日曜日の革命を読みました。
サクラダリセットの1冊目でした。
主人公浅井ケイが住んでいる咲良田にはいろいろな超能力を持っている人がいます。
世界を最大3日戻すことが出来るリセットの能力、一度経験したことは絶体に忘れない能力、日時を指定して相手にメッセージを送ることができる能力、猫と情報を交換することが出来る能力、5分間だけに限定されるが他の能力を無効に出来る能力。
この物語はそのような能力を持った高校生たちの物語でした。
河野裕らしく複雑に絡み合った物語でしたが、面白く読みました。
読み終わって思ったのは、ゲーム機でのリセットや、カードゲームでの矛盾したカード能力間での強度や発動タイミング順序などの体験がなければ、この物語に実感がわかないだろうなあ、ということでした。
河野裕のその白さえ嘘だとしてもを読みました。
階段島を舞台にした物語の2冊目でした。
主人公の七草、同級生の真辺由宇、佐々岡、学級委員長の水谷たちが、クリスマスの七不思議に翻弄されながら、クリスマスパーティの準備に走り回ります。
登場人物たちはそれぞれ性格に欠けたところがあるのですが、それでも必死に行動していきます。
七草はクリスマスのうちに、階段島を管理しているという魔女を探すことが出来るのでしょうか。
河野裕のいなくなれ、群青を読みました。
階段島という地図には存在しない場所での物語でした。
高校生の七草は階段島という場所で目を覚まします。
ここは地図にはない島ですが、普通に生活することはでき、七草はここにある高校に通っています。
ある朝、七草は中学時代の同級生、真辺由宇とこの島で出会います。
階段島に送られてきた人たちには何か失ったものがある、という言葉の真相を七草は解明していくのですが...
物語の雰囲気が村上春樹の「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」に似ています。
七草の諦観にも似ている静かで力強い行動が気に入りました。
朝井リョウのスペードの3を読みました。
トランプゲームの大貧民をモチーフにした小説でした。
3つの短編に登場する女性たちがそれぞれ学生時代の同級生と自分を比較して、嫉妬心をもやしたり、劣等感を持ったりしながら、生きていく姿が描かれています。
こんな赤裸々な若い女性たちの悩みを描くのは朝井リョウの得意分野だと思いました。
恩田陸の隅の風景を読みました。
恩田陸が雑誌の取材などのためにいろいろな場所を訪ねたときの旅行記でした。
恩田陸らしい視点での旅行記になっていて面白く読みました。
阿蘇でお酒をたらふく飲んで山ほど肉料理を楽しんだ「阿蘇酒池肉林」は大うけしてしまいました。
小路幸也の探偵ザンティピーの休暇を読みました。
ニューヨークで探偵をしているザンティピーのもとに北海道の旅館の経営者と結婚して女将になった妹のサンディから連絡が入ります。
地元の人が近寄らない海岸の洞窟で人骨を見つけてしまったので調べて欲しいとのことでした。
ザンティピーは休暇を取って妹に会いに行き、海岸の洞窟の秘密をさぐるのでした。
謎もストーリーもいまいち面白く感じませんでした。残念。
越谷オサムの空色メモリを読みました。
文芸部を一人で守っているハカセと文芸部居候の桶井陸が主人公の青春物語でした。
ハカセはメガネ男子で桶井はデブと、女の子とは無縁の二人なのですが、なぜか文芸部に1年生の野村愛美さんが入部してきます。
野村さんを好きになってしまうハカセ。
そして野村さんの靴が誰かに盗まれるという事件が起きます。
桶井、ハカセ、野村さんそして途中から登場する野村さんの友人宮原サキが事件の解決を図ろうとします。
物語の伏線があってミステリー仕立てになっているので、読み終わった後にもう一度伏線を読み直したりしました。
「着地を考える前に離陸してしまう」サキが気に入りました。
杏の杏の気分ほろほろを読みました。
杏のエッセイ集2冊目でした。
朝ドラ「ごちそうさん」や「花咲舞が黙ってない」などのテレビドラマの制作裏話や司馬遼太郎の読書イベントに参加したときの話題など面白く読みました。
スタイルが良くて美人、芝居も出来てエッセイも書ける、でもエピソードが暖かい、才色兼備とはこういう人のことを言うんだなあと思ったのでした。
佐藤多佳子の明るい夜に出かけてを読みました。
主人公の富山はラジオ番組に投稿する「職人」でしたが、ネットでさらされてしまったため、トラウマをうけて大学を休学しています。
1年間の休学中は実家から離れて一人暮らしをしながらコンビニでアルバイトしている富山ですが、ラジオネームを変えて深夜ラジオ番組に投稿をしています。
そんな富山はコンビニバイト仲間の鹿沢、高校の時の友人永川、ちょっと変わった女子高生佐古田との関わりの中で自分と向き合っていくのでした。
一人になりたいはずなのに、誰かとつながっていたい富山のジレンマが暖かく描かれています。
変人の佐古田がとってもキュートで気に入りました。
宮部みゆきの三鬼を読みました。
三島屋変調百物語の4巻目でした。
今巻には4つの短編が収録されています。
お殿様に村で起きた怪異をお伝えすることになった女の子がおちかを相手にお話の練習をするお話。
ひだる神に取り憑かれてしまった夫婦の仕出し屋繁盛物語。
貧しい藩のその中でも特に貧しい山村で起こった悲しい物語。
おちかに「おくらさま」になってしまってはいけないよ、と伝える老女の話。
やはり一番印象的だったのは、表題作の三鬼でした。
貧しい藩で妹を守るために事件を起こしてしまった村井清左衛門は砲術に長けた須賀利三郎と一緒に山中の極貧の村に山番士として派遣されます。
そこで起きた事件と村人の心に棲む鬼の存在を心に秘めて、清左衛門と利三郎はその後の人生を生きていくのでした。
「おくらさま」ではおちかの心境の変化もあらわれていて、単行本では5巻目もでているとのことなので、続きが楽しみです。
宮部みゆきの悲嘆の門を読みました。
大学生の三島孝太郎は、先輩に勧められて先輩が起こしたインターネットのサイバーパトロールの会社でアルバイトをすることになります。
孝太郎は犯罪関連のサイトの監視を担当することになり、連続切断魔の事件の監視を開始します。
元警察官の都築は、近所の茶筒型のビルの屋上に設置されているガーゴイルの置物が動いたという相談をうけ、調査を開始します。
アルバイトの同僚である森田の失踪の調査を行っていた孝太郎は都築と一緒に茶筒型のビルの屋上に行き調査を開始します。
インターネットにあふれる悪意ある情報に対抗するにはどうすればいいのか。
身近な人が犯罪の被害者になってしまったらどうすればいいのか。
いろいろ考えさせられる物語でした。
東野圭吾の怪しい人びとを読みました。
身の回りで起こるちょっと変な出来事の真相が語られるという短編集でした。
この本はBOOKOFFで見かけたときに読んだことがあるような題名だと思ったのですが、ブクログで検索したところ、該当がなかったので買って読んでみたのでした。
読んだところ、既読のミステリーでした。
ブクログに登録しているのは最近15年くらいの情報なので、それ以前に読んだ本は登録されていないのでしたが、ある意味懐かしく読みました。
佐藤正午の月の満ち欠けを読みました。
輪廻転生がテーマの恋愛小説でした。
若くして亡くなってしまったヒロインが転生を繰り返して恋人に会おうとします。
エピソード毎に時間軸が前後する物語だったので、読み終わった後に紙に書いて登場人物の関係性と時間系列を整理してみて、物語の全体像が把握できました。
物語は面白く読んだのですが、輪廻転生がテーマの小説ということで、三島由紀夫の豊穣の海シリーズを連想しました。
konnokも60歳を過ぎたので、豊穣の海シリーズで言うと暁の寺の時期にさしかかったことになります。
若い頃に読んで感激したシリーズをもう一度読み直してみたいな、と思ってしまいました。
卵山玉子のねこほんを読みました。
猫のほんねがわかる本というサブタイトルがついています。
よく見かける猫の行動の意味を解説したマンガでした。
konnokは自宅で猫を飼っているので、ふむふむと思いながら読みました。
外で飼っている猫は交通事故に遭うリスクがある、という解説には、覚悟しておかないとなあ、と思ったのでした。
近藤史恵のスティグマータを読みました。
サイクルロードレースの選手である白石誓は今年はオランジュフランセのチームに所属してツール・ド・フランスに挑みます。
アシスト役である白石は個人優勝は望めませんが、チームの総合優勝を目標として若きエース、ニコラ・ラフォンのサポートに徹します。
今回、三度にわたる総合優勝を成し遂げたにもかかわらず、ドーピングで名誉を剥奪されたドミトリー・メネンコがレースに戻ってきました。
彼の目的は何か、白石たちの戦略とレース展開にどのようにかかわってくるのか...
平坦なスプリントステージと急峻な山岳ステージが組み合わされたレース構成での戦略やレース経過は今作でも面白く読みました。
そして、白石とすてきな女性の出会いも描かれていて、次回作が楽しみになります。
上橋菜穂子の精霊の木を読みました。
地球から他の星に移住が進められている未来、ナイラ星では従来からそこに住んでいた種族の心のよりどころである精霊の木を伐採・焼却してしまうことにより、その種族の生きる力を削いで絶滅させるという政策がとられていました。
その種族と人間との混血である主人公の少年と少女は、先祖の記憶を夢に見る能力を使って、隠されて守られていた最後の精霊の木を探し出すことに成功します。
しかし、政府の移民局の職員が精霊の木を殺そうと二人を追跡してくるのでした。
物語に勢いがありますが、荒削りの部分もあり、守り人シリーズなどに比べるとちょっと物足りなさも感じます。
しかし、歴史の中で「文明人」が「未開の」部族に対して行ってきたことに対するストレートな怒りが感動をもたらします。
中道裕大の放課後さいころ倶楽部14を読みました。
女子高生たちがボードゲームを楽しむコミックの14冊目でした。
今回は通常のボードゲームの他にリアル脱出ゲームが紹介されていて面白く読みました。
アニメも鋭意制作中とのことなので楽しみです。
小路幸也のラブ・ミー・テンダーを読みました。
東京バンドワゴンシリーズの番外編でした。
本編では登場しない、藍子と紺の母親の秋実が主人公の物語でした。
我南人と秋実の出会いから、秋実の親友のキリちゃん、我南人の友人の北ちゃんを巻き込んだ大騒動がおきてしまいます。
本編では幽霊になってしまったナレーターのサチさんが現役で活躍しているのも面白く読みました。
恩田陸の蜜蜂と遠雷を読みました。
芳ヶ枝国際ピアノコンクールに出場するコンテスタントたちの青春群像がみずみずしく描かれていました。
栄伝亜夜は小学生の時、指導者でもある母親を亡くしたショックからコンテストでピアノが弾けなくなったという過去があります。
それでも亜夜に期待をかけてくれた恩師に報いるため、もう一度ピアノコンテストに出場することにします。
亜夜は、養蜂家の子供の風間塵や、幼い頃の友人でこのコンテストで再会したマサルらの演奏に刺激されて自分の演奏のスタイルを模索していくのでした。
ピアノ演奏が映像のイメージで描かれていくので、ピアノの演奏を聴いたことがない読者でも面白く読めました。
規格外の天才である風間塵の審査についての審査員たちの苦悩や、亜夜の理解者である友人の奏の祈りなども描かれていて物語に厚みがましています。
夜のピクニック以来、また恩田陸の小説を堪能しました。
瀬尾まいこの僕らのごはんは明日で待ってるを読みました。
葉山亮太は兄が病気で亡くなってしまったため、自分の気持ちをもてあまして暗い高校生活を送っています。
同級生との関係はシャットアウトして読書をして過ごしています。
そんな亮太に上村小春は無邪気に話しかけてきます。
運動会にも興味のない亮太を小春は米袋レースのパートナーに決めて運動会に出場することにするのでした。
上村と付き合いだした亮太は上村も両親がおらず祖父母に育ててもらっているという境遇であることを知るのでした。
紆余曲折の後、結婚して幸せな家庭を築こうとしている亮太と小春に神様はまた過酷な試練を与えるのでした。
けなげに明るく生きようとしている二人が切なくなる物語でした。
伴田良輔の100年楽しめる古典名作パズルを読みました。
昔から本に載っている、船を使って人や動物を対岸に渡すパズル、引き込み線を使って列車を入れ替えるパズル、与えられた板を切って組合わせることにより正方形を作るパズル、だまし絵のパズル、などなど一度は見たことのあるパズルが紹介されていました。
魔方陣のパズルや対岸に渡すパズルなどは現在ならパソコンを使って力づくで解いてしまえるような問題でしたが、図形の問題は知識とひらめきが必要とされるものが多く、昔の人はすごいなあと感心してしまいます。
3×3の9個の点を一筆書きの4本の直線で結べというパズルは昔から良く紹介されていて、konnokも答えは知っているのですが、このパズルの解法から「We need to think outside of the box.」(大局的に考えよう)という言い回しができた、というのは面白いと思いました。
池井戸潤の花咲舞が黙ってないを読みました。
前作不祥事では、各店舗で起きている問題を持ち前の正義感で解決してきた花咲舞ですが、今回は銀行のトップの不正に遭遇してしまいます。
舞が不正の報告書を上げてもトップの指示で握りつぶされてしまうのでした。
それでも、果敢に戦う舞でしたが、一番の理解者でもある上司の相馬調査役が場末の営業所に異動させられてしまうと、手詰まりの状態になってしまいます。
会社組織に所属する社員はトップの不正に遭遇すると正論を通すのが難しくなるという描写は頷けます。
今回はゲストで半沢直樹が登場し、最後に一矢報いてくれるのですが、後味の悪いエンディングになっていました。
三浦しをんの本屋さんで待ちあわせを読みました。
一日の大半を本を読むことに費やしている、三浦しをんの個人的なおすすめの本:書評集でした。
本に対する愛情が行間にあふれていて、読んでいて飽きません。
とは言え、紹介されているおすすめの本の中には、konnokが一度手にしたけど「面白くないなあ」と感じて読むのを止めた本もありました。
これらは、三浦しをんおすすめと言うことで本を詰めたダンボールを開けて再度チャレンジしてみたいと思います。
東海道四谷怪談については1つの章を起こして評論されているので、ゾンビと幽霊が嫌いなkonnokですが、一度読んでみようかなと思いました。
鷲田清一と内田樹の大人のいない国を読みました。
日本は、人が成熟せず、大人にならなくても生きていける国になってしまった。
クレーマーやモンスターペアレントが横行する国になってしまった、ということが議論されています。
面白いと思ったのは、内田樹の以下のような主張でした。
SNSなどでの匿名のメッセージは本人が正しいと思っていてもそれは呪いのメッセージである。
なぜなら、呪いはその発信源が特定されるとその効果を失うからである。
表現の自由というのは、他の人が認めようと認めまいと自分は正しい、というメッセージを発信することではない。
メッセージはその受信者に対して発せられるものであり、受信者に対する「敬意」が必要である。
そのような呪いのメッセージが充満する世界で、少しでも呪いを中和することができるのは「祝福」のメッセージである。
少しでも、祝福のメッセージを発信できるようになりたいものだと思ったのでした。
池井戸潤の仇敵を読みました。
主人公の恋窪商太郎はメガバンクの辣腕銀行員でしたが、不正を暴こうとした相手の策略でいわれなき罪をかぶせられ、地方銀行の庶務行員として静かな人生を送っています。
ところが、突然元同僚の桜井から電話を受けたその日、桜井が自殺に見せかけて殺害されてしまいます。
恋窪は桜井の仇を討つために、一度敗北した相手の不正を再度暴こうとするのでした。
8つの短編で恋窪が相手の不正を暴いていく経過が描かれていきます。
辻村深月のハケンアニメ!を読みました。
観る人に感動を与えるアニメ作品を作ろうと仕事に打ち込む女性たちを主人公にした物語でした。
コーディネーター、監督、アニメーターの女性がそれぞれ主人公になる短編が3編収録されています。
アニメーターの並澤和奈が主人公の物語は、地方の小都市がアニメの聖地としてスタンプラリーやアニメにちなんだ特産品を作成しようとするお話でした。
自分はリア充とはほど遠いと感じている和奈は、市役所の熱血公務員宗森と行動していくことでいろいろな人と交流していくことになります。
有川浩のようなラブコメだったので、辻村深月もこんな小説を書くんだなあ、面白いと思いました。
近藤史恵のキアズマを読みました。
主人公の岸田正樹は大学一年生、ふとしたことからメンバー不足の自転車部に所属してサイクルロードレースに出場することになります。
岸田はエースだけどヤンキー風の先輩櫻田、けが療養中の村上と一緒に自転車部で活動します。
そんな岸田には昔事故に遭ったところを助けることが出来なかった中学時代の友人がいます。
その友人のためにも自転車部で頑張ってみようと思うのでした。
三崎亜記のニセモノの妻を読みました。
不条理な事件に巻き込まれてしまう人々を描いた短編集でした。
印象に残ったのは「断層」という短編でした。
突然、住んでいる場所に断層と呼ばれる異変が起きて妻がその断層に飲み込まれてしまいます。
夫はその妻との接触を続けていくのですが、タイムリミットが来て妻は失われてしまいます。
三崎亜記の小説では、突然家族や仲間が異変に飲み込まれてしまうという設定の物語が多いですが、この短編もせつない余韻を残す物語でした。
森見登美彦の有頂天家族 二代目の帰朝を読みました。
有頂天家族の続編でした。
狸の名門、下鴨家の三男矢三郎が主人公の「阿呆の道よりほかに我を生かす道なし」という物語でした。
矢三郎と関わりのある老いぼれ天狗赤玉先生の二代目が英国から帰朝し、狸界は大騒ぎになります。
狸をも化かしてしまう幻術師の天満屋や矢三郎の父親を金曜倶楽部の鍋に落とした夷川早雲らが暗躍する中、矢三郎は前作と同じように金曜倶楽部に捕まってしまい、風前の灯火となってしまうのですが...
赤玉先生の弟子、弁天が何を考えているのか分からない、でも魅力的に映るのが不思議でした。
近藤史恵のサヴァイヴを読みました。
サクリファイスシリーズの自転車ロードレースをテーマにした短編集でした。
チーム・オッジの赤城直輝は監督からチームに入ったばかりの石尾豪の相談役になって欲しいと言われます。
才能があるのにチームに溶け込まない石尾と話すうちに赤城は石尾の悩みを理解するのでした。
団体競技なのに個人競技の側面を持つ自転車ロードレースに人生を賭ける選手たちの青春がいきいきと描かれています。
森絵都のみかづきを読みました。
戦後の日本でシングルマザー千明と彼女に見込まれた吾郎は二人で学習塾を開きます。
文部省と学習塾の対立の時代、吾郎と千明は八千代台、習志野で学習塾を大きくしていきます。
吾郎と千明、そしてその3人の娘たち、その子供たちの物語が語られます。
登場する人物たちがみんな個性的で魅力的なので楽しんで読みました。
物語の中で、政府の教育に関する考え方が「一部のエリートとそこそこの教育を受けた多数の労働者の育成」を目的とするという記載があり、そうなんだろうなあ、でも困ったものだなあ、と思ったのでした。
井上奈智 他の図書館とゲームを読みました。
図書館へのボードゲームの導入を行っている司書が書いた、図書館でボードゲームを扱うことについての案内でした。
ボードゲームの知識がない読者を想定して、まずはゲームの分類とボードゲームの紹介をしています。
図書館でボードゲームを扱った事例の紹介と、イベントを行う際の考慮事項・注意点などを紹介しています。
最後に情報資産としてのボードゲームをどのように収集していくか、という考察が述べられています。
現状では、図書館でボードゲームを扱う場合は、外部のボランティアかボードゲームサークルの協力が必須である、と書かれていました。
現状では可能性は低いですが、もし近所の図書館からボードゲームの導入の支援をしてほしいという打診があったとしたら、自分が支援をする立場について考えておいた方がいいのかな、と思ったのでした。
東野圭吾の片想いを読みました。
性同一障害をテーマにしたミステリーでした。
主人公の西脇哲朗は学生時代アメフトのQBでした。
十年後、哲朗は学生時代の女子マネージャー理沙子と結婚しています。
年に1回開催されているアメフト部の同窓会の帰り、哲朗はもう一人の女子マネージャー日浦と再会しますが、日浦は男性になっていたのでした。
自宅まで連れてきた日浦から殺人事件を起こしてしまったと聞いた哲朗と理沙子は、彼女を助けるべく行動を開始するのでした。
調べていくうちにいろいろな新事実が現れてきて事件は全く違った様相を呈してきます。
哲朗と理沙子は学生時代の仲間を救うことが出来るのでしょうか...
今年も、面白そうな本を探して読んでいきたいと思います。
そしてなるべく本を選ぶときに参考になるようなコメントを記録していきたいと思います。
最近本を読むペースが落ちてきているので、今年はもう少し本を読んでいくようにしたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。