2016年に読んだ本の感想

ブクログブクログに読んだ本の感想をアップしています。


2016年12月24日

越谷オサムのボーナス・トラックを読みました。
ハンバーガーのチェーン店に勤務する社会人3年目の草野は車で真っ暗な道を帰宅する途中、ひき逃げの現場に遭遇します。 そして加害者の黒い車は逃走してしまいます。 被害者の大学生亮太は即死でしたが、草野にはなぜか亮太の幽霊が見えてしまうのでした。
亮太は草野の勤務先について行き、そこでアルバイトの大柄な大学生南と出会います。 南は幽霊が見える体質なので亮太を認識し、草野・亮太とひき逃げの犯人を捜すことになります。
陽気な幽霊亮太、生真面目な草野、幽霊嫌いだけど亮太の手伝いをすることになる南など登場人物の掛け合いを面白く読みました。 エンディングでネタばらしがあった後、ある場面を再度読み直して確認したくなったのですが、みんなそうなのかな。


2016年12月14日

乾石智子の夜の写本師を読みました。
魔法書を作る写本師が主人公のファンタジーでした。 月石、黒曜石、真珠を持って生まれてきたカリュドウは女魔法使いのエイリャに育てられますが、邪悪な魔道師アンジストに育ての親エイリャを惨殺されてしまいます。 隣国に逃げ延びたカリュドウは魔法書に魔力を与える夜の写本師として力をつけていきます。
物語が進むにつれ、カリュドウにはアンジストに殺された3人の魔女の運命が関わっていいることが明らかになります。 カリュドウはアンジストに復讐することができるのでしょうか。
エンディングでこの世界の輪廻に関わるエピソードが語られていて面白いと思いました。


2016年11月20日

森絵都のダイブ!!を読みました。
ダイビングに青春をかける高校生達が主人公の物語でした。 坂井知季、柔軟な体と優れた動体視力というダイビングに向いた選手。 沖津飛沫、祖父が戦前戦後の時期にダイビングの天才と呼ばれたが、戦時中という不運のため成果は出せなかった。 富士谷要一、父親も母親もダイビングのオリンピック選手だったというサラブレッド。
彼らが所属する弱小ダイビングクラブMDCは収支が悪いため存続の危機に立たされます。 突如現れた女性コーチ夏陽子はMDC創設者の孫で、彼女が出した条件はMDCからオリンピック選手を出すことでした。 主人公達はMDC存続をかけて、オリンピック選手に選ばれるために特訓を始めるのですが...
物語の終盤は3人が出場するオリンピック選手選考会の描写なのですが、手に汗握る展開で面白く読みました。


2016年11月20日

青柳碧人の浜村渚の計算ノートを読みました。
数学をテーマにしたミステリーで、いろいろなパロディがうめこまれているので楽しく読みました。 まあ、物語に深みがあればもっと面白く読めるのに残念、と思いました。


2016年11月15日

越谷オサムのいとみち 三の糸を読みました。 津軽三味線を弾く高校生のメイド相馬いとがヒロインのいとみちのシリーズ3巻目でした。
ヒロインの相馬いとも高校3年生になり、津軽メイド喫茶のアルバイトもねぶた祭までで大学受験の勉強に力を入れます。 とは言え、ハツヱばあさんが三味線のコンテストに出場して審査員特別賞を受賞したり、初恋の相手石郷鯉太郎の自宅にひょんなことから泊まることになったり、後輩メイドの態度の悪さにキレてしまったり、オープンキャンパスで東京に出たら言葉が通じなかったり、元先輩メイドの智美のところに泊まって現実の厳しさを知ったり、大学受験の大事な日に風邪を引いてしまったり、イベントも盛りだくさんで面白く読みました。
いとも仙台の大学に合格し、青森では津軽メイド喫茶の2号店の準備が着々と進んでいたり、智美のコミックの出世作がいとをモデルにしたコミックだったり、また続きを読んでみたいと思わせる物語でした。


2016年11月15日

宮部みゆきの過ぎ去りし王国の城を読みました。 古城のデッサンをモチーフにしたファンタジーでした。
中学生の真は銀行の掲示スペースに貼ってあった古城のデッサンをひょんなことから持ち帰ってしまいます。 その絵にアバターを書き加えることにより、人がそのデッサンに入り込むことができることに気づいた真は、絵の得意な城田珠美を引き入れて古城のデッサンの探検を開始します。
物語は面白く読んだのですが、結末がよく練られていない感じがしてちょっと不満でした。


2016年10月23日

中道裕大の放課後さいころ倶楽部8を読みました。
女子高校生たちが主人公のボードゲーム紹介コミックの8巻目です。 加茂川北高校の新入生黒崎ナオと時坂カンナが登場してボードゲームを紹介します。 ヘックメック、チャオチャオ、魔法のラビリンスなどのゲームの面白さが紹介されています。
店長の「誰かとゲームで遊ぶってのは人生で最も幸せな時間の1つ」という表現に頷いてしまいます。


2016年10月23日

万城目学のバベル九朔を読みました。
小説家志望の九朔満大は会社を辞めて母が所有している雑居ビル「バベル九朔」の管理人をしながら小説を書いています。 しかし、なかなか新人賞の一次審査も通ることができません。
そんな主人公のところに、全身黒ずくめの女性の姿をした太陽の使い=カラスの化身がやってきます。 太陽の使いは「バベル」が崩壊の危機にさらされている、と言います。 25年前に亡くなっている主人公の祖父九朔満男が異世界に構築した「バベル」が崩壊すると地上には大惨事が引き起こされるというのでした。
異世界への入り口の絵に触れたことにより、異世界のバベルの塔に放り込まれた主人公は太陽の使いや九朔満男の影と交渉しながら現実世界へ戻る方法を模索するのでした。
konnokの好きな世界の終りとハードボイルドワンダーランドを連想させるところがいくつかありました。 不思議なテイストの不条理小説ですが、面白く読みました。


2016年10月23日

熊谷達也の稲穂の海を読みました。
昭和40年代の仙台近辺を舞台に、その時代に生きた人々を描いた短編集でした。 方言をとりまぜて描かれていてその時代の空気が感じられる物語でした。
現在ではこの時代の名残もほとんどなくなってしまっていて、昭和は遠くなったなあと思ったのでした。


2016年10月16日

吉本ばななのキッチンを読みました。
祖母が亡くなってみかげはひとりぼっちになってしまいました。 行動を起こす気力がなくなってしまったみかげは、祖母が懇意にしていた田辺雄一の家に同居することになってしまいます。 雄一とその母親のえり子さんとの暮らしはみかげの心をいやしていくのでした。
人が死ぬこと、人が生きていくこと、が静かな語り口で暖かく物語られます。


2016年10月16日

池井戸潤の銀翼のイカロスを読みました。 半沢直樹シリーズの4冊目でした。
今回は経営破綻の危機に瀕する帝国航空の再建に向けて半沢が活躍します。 政権交代で新任の国土交通大臣が立ち上げたタスクフォースの横暴に対して半沢は抵抗します。 果たして半沢は国家権力の横暴に対抗できるでしょうか。


2016年10月5日

森絵都のおいで、一緒に行こうを読みました。 震災と原発事故のあとに残されたペットをレスキューする人たちのルポでした。
原発事故が発生した後、原発に近い地区の人たちは身一つで避難したので、ペットを連れて行くことが出来ませんでした。 そのような無人となった街に残されたペットを回収するボランティアの女性たちの行動が描かれています。
「多くの鎖につながれた犬や、室内飼いの猫は餓死してしまっています」という記述を読むと悲しくなってしまいます。
原発に近い地区は立ち入り禁止になっているため、警察に見つかると強制退去させられてしまいます。 それにもかかわらず、「母性」に従って行動する女性たちにエールを送りたくなります。


2016年10月5日

東野圭吾の禁断の魔術を読みました。 探偵ガリレオシリーズの一冊でした。
湯川の高校の後輩の古芝伸吾は姉が代議士の大賀に殺されたことを知り、レールガンを製造して大賀の暗殺を企てます。 それを察知した湯川は古芝の行動を阻止しようとします。


2016年10月5日

恩田陸の六月の夜と昼のあわいにを読みました。 現代女性画家の絵画と俳句のお題からイマジネーションを得て恩田陸が幻想的な短編を書くという形式の短編集でした。
絵画と物語のコラボレーションを楽しみました。


2016年10月5日

越谷オサムの階段途中のビッグ・ノイズを読みました。
高校二年の神山啓人は軽音楽部に所属していましたが、先輩の引き起こした不祥事により軽音楽部は廃部を言い渡されてしまいます。 軽音楽部で活躍していた兄に憧れて入学した啓人はなんとか軽音楽部を復活させようとします。
3人の仲間を加えてバンドの体裁ができた軽音楽部は非常階段を活動場所として練習を始めます。 文化祭に向けて活動する軽音楽部はだんだんクラスメートの支持を受けて盛り上がっていくのですが...
越谷オサムのロックの知識がふんだんに盛り込まれていて楽しめました。


2016年9月24日

奥田英朗の我が家の問題を読みました。 ごく普通の家族が直面するささやかな危機を描いた短編集でした。 出来すぎた妻に息の詰まる思いをする新婚の夫、夫は会社で仕事が出来ないと言うことを知ってしまった妻、突然UFOと交信できるといい出した夫に困惑する妻。 それぞれの家族が問題を解決していく経緯が物語られます。
面白く感じたのは「里帰り」という短編でした。 北海道と名古屋から東京に出てきて結婚した新婚の二人はお盆に北海道の実家と名古屋の実家を順に訪ねることになります。 普段は実家に行くのは億劫だと考えていた二人でしたが、互いの実家に行くことによって家族のつながりに気づくのでした。


2016年9月24日

森見登美彦の聖なる怠け者の冒険を読みました。 「僕は人間である前に怠け者です」という小さな色紙がはされまれた文庫でした。
小和田君は平日はまじめに仕事をしますが、土日は何もしないでいたい怠け者です。 休日は目一杯楽しまなければいけないという考えの奥田先輩と桃木さんは小和田君を祇園宵山に連れ出そうとします。 そこに、怪人ぽんぽこ仮面を探っている浦本探偵と土日のアルバイト探偵玉川さんがからんで物語は転がり出します。
ぽんぽこ仮面の正体は誰なのか、なぜぽんぽこ仮面は某組織から狙われているのか、小和田君と玉川さんは真相を探ろうとします。 京都を舞台にしたファンタジーで、怠け者が不本意ながら活躍する物語でした。


2016年9月10日

近藤史恵の賢者はベンチで思索するを読みました。
七瀬久里子は服飾の専門学校を卒業後、希望する職種に就けなかったためファミレスのアルバイトをしています。 そのファミレスに来てコーヒー一杯で数時間ねばっている老人国枝さん。 国枝さんは久里子と一緒に犬の虐待事件やファミレスの業務妨害事件などを解決していきます。 そして、国枝さん自身にも謎が隠されていたのでした。
この物語には二匹の犬も登場します。犬好きの気持ちがちょっとわかりました。


2016年9月7日

村上春樹の雨天炎天を再度読みました。 平成二年に出版された、ギリシャのアトス半島にあるギリシャ正教の修道院を訪ねて歩く旅とトルコを一周する旅の旅行記でした。
ギリシャのアトス半島の旅は険しい山道を通って修道院を訪ねて歩く旅です。 厳しい天候にも負けず、粗食にも負けず、修道院で出されるルクミ(甘いお菓子)とウゾー(蒸留酒)の水割りを楽しみに村上春樹と同行のカメラマンは旅を続けます。
トルコは民族的にも地勢的にもいくつかの地域に分かれます。 東欧の雰囲気を持つ地域、黒海に面する地域、ソ連・イランとの国境の地域、シリアに面する地域、エーゲ海に面する地域。 それぞれの地域の特色が鮮やかに描かれています。
ところで、konnokはこの本を読んだことがあったと記憶していたのですが、ブクログの一覧に入っていませんでした。 そこで再度読み直してみたのですが、記憶に残っている箇所がありました。 ブクログに登録しているのは2002年以降に読んだ本なので、2002年より前に読んだんでしょうね。


2016年9月7日

角田光代の人生ベストテンを読みました。 ごく普通の、でもちょっとコミュ障気味の主人公たちが出会う事件を描いた短編集でした。
表題作の人生ベストテンは、40歳になって自分の人生を振り返ると、人生のベストテンは中学高校の出来事しかなかった女性の物語でした。 同窓会の連絡を受けて、高校時代にちょっとだけつきあった同級生がどんなふうに変わっているか見に行こうと思い立ちます。 同窓会も終わり頃、その同級生に会うことが出来て2人だけで二次会に行くことになります。 そして、その後には驚きの結末が待っているのでした。
平凡な人生でもこのようなイベントがあったら少しは楽しくなるかもしれないなと思いました。


2016年8月26日

東山彰良のラブコメの法則を読みました。
主人公松田杜夫30歳は、みんな美人だけどそれぞれに性格に問題のある3人の叔母に囲まれて育ったため、ちょっと偏った性格をしています。 そんな杜夫が出会ったのはシングルマザー岩佐まち子、外国人が好きなビッチなのでした。 杜夫はまち子にアタックするのですが、そこはそれラブコメなので紆余曲折が用意されています。
各章のタイトルには「男女の出会いは唐突であればあるほどよく、第一印象は悪ければ悪いほどよい」といったラブコメの法則がちりばめられています。 描き方が下ネタ系に走っているので大笑いしながら読めますが、一般的なラブコメではないよな、と思いました。


2016年8月26日

三崎亜記の決起! コロヨシ!! 2終舞! コロヨシ!! 3を読みました。 コロヨシ!!の続編・完結編でした。
パラレルワールドの日本を見ているような「この国」で「掃除」というスポーツに打ち込む高校生藤代樹が主人公の青春小説でした。 物語の後半になってくると伝奇小説のような風味も加わってきて物語に引き込まれてしまいます。
日本語でよく使われる言葉を独特の説明で別の意味に再定義し、それが「掃除」の極意にまつわる言葉として物語っていく三崎マジックを楽しみました。
ただ、漫然と読んでいると登場人物が女性なのか男性なのか勘違いしてしまうことがあって、もう少し登場するキャラクターの性格や行動の描き込みがあった方がいいのに、と思いました。


2016年8月17日

冲方丁のはなとゆめを読みました。
清少納言の生涯を描いた歴史小説でした。 時の天皇一条帝の后定子に心服して仕えた清少納言の宮中での言動と枕草子を書くことになった経緯が物語られます。
konnokは歴史についてはあまり興味が無く、枕草子も冒頭の部分を読んだことがあるだけだったので、清少納言とはこういう人だったんだ、と新鮮に感じました。


2016年8月7日

三浦しをんのを読みました。
自分が住んでいた島を突然の津波が襲い、たまたま山の上にいた主人公と恋人ほか数人だけが生き残ります。 主人公がそこで起こしてしまった犯罪について、20年後に脅迫されます。
心が壊れてしまった人たちを描きたかったのかなあと思いましたが、登場人物に共感も出来ず全然面白くありませんでした。 三浦しをんの小説としては駄作に分類されるのではないかと思いました。


2016年8月4日

池井戸潤の七つの会議を読みました。
会社の中で開催された7つの会議を描くことによって、会社の中の犯罪が描かれます。 7つの章では登場人物一人ひとりの生い立ちが描かれていて、その生い立ちとその会社での行動原理が描かれます。
会社の中で売上の達成のために部品の強度偽装が行われます。 それに気づいた万年係長の八角は事実関係を確認し上申するのですが、上層部の判断はリコールではなく隠蔽だったのでした。 その判断に関わる管理職たちの苦悩は他人事ではないなあと思ったのでした。
正しく行動しようとする人が必ずしも報われるわけではないという結末がちょっと苦く感じられました。


2016年7月30日

北村薫の八月の六日間を読みました。
アラフォーの女性編集者が主人公の山歩きの本でした。 仕事上のストレスを解消しようと同僚の女性編集者藤原ちゃんから誘われて山歩きを始めた「わたし」は厳しいけれど達成感のある山歩きに挑戦していくのでした。 副編集長から編集長へ役職があがってストレスの種類も変わる中、山での山歩き仲間との出会いという喜び、幼なじみの心の友との別れという悲しみをとおして山歩きが描かれていきます。
「わたし」は編集者なので山歩きに文庫本を持って行くのですが、山歩きのエキスパートからは不要な荷物だと言われてしまうところが、本好きとしてはツボにはまりました。


2016年7月23日

よしもとばななのベリーショーツを読みました。
もともとはWEBサイトのほぼ日刊イトイ新聞に連載したお話だそうで、ショートショートくらいの長さの54のエッセイが収録されています。 尾籠な話、2歳児の息子の話、変わった友達の話など面白い話が満載でした。
本の装丁も変わっていて、文庫本の大きさで横に開くようになっています。 ヘタウマなイラストをよけるように文章が入っていていい感じです。
一つだけ気になったのはこんな小さい本なのに、ついている栞ひもが普通の単行本用ほどの長さだったので、邪魔になったことです。 これだったらつけなくてもいいんじゃないの?と思いました。


2016年7月22日

森絵都のこの女を読みました。
大学を出ていながら、釜ヶ崎のドヤ街で暮らす主人公礼司に奇妙なバイトの依頼が来ます。 ホテルの経営者二谷からの妻結子の自伝を小説として書いてほしいという依頼なのでした。
早速その依頼を受けて、その結子という女性へのインタビューを始める礼司なのでしたが、結子は自分の生い立ちについてデタラメの作り話をするだけなのでした。 しかし、しつこくインタビューを重ねるうちに少しずつ結子は自分のことを話すようになってきます。 なぜ、結子の自伝が必要なのか、二谷と結子のなれそめ、といった謎を解いていくうちに、礼司の持つハンデについても明らかになって、礼司の小説はその様相を変えていきます。
結子という女性の印象が物語の前半と後半で大きく変わってくるのもこの小説の魅力だと思いました。


2016年7月19日

三崎亜記の玉磨きを読みました。 不条理な設定の短編集でした。
ルポ記者がいろいろな伝統技能や不思議な仕事を取材するという形式で書かれています。 三崎亜記の小説ではいろいろな不条理が描かれますが、その不条理と対峙する人間たちがいきいきと描かれているため、なぜか昔体験したり見聞きしたりしたことがあったような不思議な既視感を感じてしまいます。
現在は仕事上では効率が最優先されて、その仕事に関わる人間が充足しているかどうかは問題にされません。 マニュアル化などという人間の充足を否定する方向で仕事が規定されてしまうこともあります。 効率最優先とは対極的な物語を読むと、自分は仕事に満足しているんだろうか、と考えてしまいます。


2016年7月13日

東山彰良の流(りゅう)を読みました。 台湾出身の著者が自分の家族というテーマで書いた小説とのことでした。
主人公の葉秋生は台湾国民党の支配する台湾で生まれて育った高校生ですが、祖父や祖母は中国本土で共産党と国民党が戦争している中で生き抜いてきた人たちなのでした。 1975年蒋介石が没したのと同じ年、葉秋生には優しかった祖父が何者かに惨殺されます。 葉秋生は成績優秀だったのですが、ひょんなことから退学になってしまい、三流の高校に再入学することになってしまいます。 裏社会のやくざたちとの関わりもあり、祖父を殺した犯人を捜しながら、葉秋生の生活はすさんでいくのでした。
幼なじみのお姉さん毛毛との初恋や、悪友小戦の起こした事件などを経て葉秋生は少しずつ大人になっていくのでした。 お狐様のご加護、幽霊の女の子との関わり、台湾のコックリさんなどファンタジーの要素もあり面白く読みました。
でも、一番印象に残ったのは最後に書かれていた文章でした。
人生はつづいてゆく。 この先になにが待っているのか、私にはわかっている。 だけど、いまはそれを語るときではない。 そんなことをすれば、この幸福な瞬間を汚してしまうことになる。 だから、いまはただこう言って、この物語を終えよう。 あのころ、女の子のために駆けずりまわるのは、私たちの誇りだった。


2016年7月6日

ジェフリー・アーチャーの剣より強しを読みました。 クリフトン年代記と題されたシリーズの5巻目でした。
著名な小説家ハリー・クリフトンとバリントン海運会長のエマ・クリフトンの夫婦、そしてその息子のセバスチャンが主人公の物語です。 そして、主人公たちと敵対する姦婦ヴァージニア、暗黒街のマルティネス、フィッシャー、スローン、メラーといった悪役との虚々実々の抗争が描かれます。
この巻でハリーはロシアの反体制作家ババコフの著作を手に入れて全世界で発表しようという行動を開始します。 その著作を手に入れるためにモスクワに行ったハリーは逮捕されてしまいます。
主人公側だけでなく、敵役側も登場人物たちがいきいきと描かれていてつい物語に引き込まれてしまいます。
そして、各巻の最後には主人公側の絶体絶命のピンチが訪れます。 セバスチャンが交通事故に見せかけて殺されそうになったり、バリントン海運が社運を賭けた客船がIRAに爆破されそうになったり。 今回も最後にエマのピンチが訪れます。 早く次の巻が読みたい、と思ってしまいます。


2016年7月1日

宮部みゆきのここはボツコニアン5を読みました。 テレビゲームのボツネタで出来た世界の物語、ここはボツコニアンシリーズの5冊目FINALでした。
テレビゲーム好きの宮部みゆきの妄想の世界ボツコニアンで小学生の姉ピピと弟ピノが活躍する物語ですが、やはりFinalFantasyとかTacticsOgreとかいうゲームタイトルには反応してしまうkonnokなのでした。
物語としてはイマイチだと思いますが、お気に入りのテーマだし挿絵も雰囲気が出ていて楽しめました。


2016年6月29日

三浦しをんの神去なあなあ夜話を読みました。 神去なあなあ日常の続編でした。
横浜の高校生の平野勇気が三重県の山奥神去村に放り込まれてから1年がたち、勇気も神去村になじんできました。 神去村に古くから伝わる伝承や、神去村で過去に起きた事件の話題も織り交ぜながら勇気の2年目が過ぎていきます。
居候させてもらっているヨキとみきさんの夫婦のなれそめと夫婦喧嘩も面白く読みました。 そして勇気とあこがれの直紀さんとの恋模様も気になります。
何事もゆっくり流れていく神去村、私も住んでみたいなあ。


2016年6月26日

宮部みゆきの泣き童子を読みました。 三島屋変調百物語(おそろし)シリーズの3冊目でした。
三島屋の黒白の間でおちかが百物語を聞き始めて1年、瓦版に評判が載ったこともあり、おちかはいくつものお話を聞くことになります。 今回も、怖い話、妖しい話が目白押しで楽しめました。
1冊目の重苦しい雰囲気、2作目のほんわりと温かい雰囲気とはまた違って感じられるのはおちかが少しずつ成長しているからでしょうか。 この巻では脇役のお勝が魅力的に描かれていてそこも楽しめました。


2016年6月21日

誉田哲也のドンナビアンカを読みました。 練馬署のアラフォー女性刑事魚住久江が主人公の警察小説で、ドルチェの続編でした。
今回は練馬で起きた誘拐事件が舞台です。 捜査本部で捜査を行う久江たちと、被害者の男性が事件に巻き込まれていく経緯が交互に語られる形式で物語がすすんでいきます。 捜査本部には隠密に捜査をしなければならないための苦悩があるし、被害者の男性にはまた別の苦悩があります。 久江たちのパートの最後に久江の独り言が挿入されていて、それがこの小説のトーンを決めています。
久江と元同僚の金本や現同僚の峰岸の掛け合いも面白く読みました。


2016年6月17日

ピエール・ルメートルのその女アレックスを読みました。 いつも本を貸し借りしている友人が「いいから読みなさい!」と言って貸してくれたので読んでみました。
第1章で、孤独な女性アレックスは突如誘拐され、檻に監禁されてしまいます。 朦朧とする意識の中、アレックスはなんとか脱出に成功します。 そして第2章、第3章と物語が語られていく中で、読者はアレックスに対するイメージを二転三転させられます。
驚きの展開は面白かったのですが、物語はどこかに到達するわけでもないので、イマイチと感じました。 konnokは登場人物が生きているにおいが感じられる小説が好きなので、絵空事に思えてしまうと評価は低くなります。


2016年6月11日

小路幸也のオール・ユー・ニード・イズ・ラブを読みました。 一昔前のホームドラマ東京バンドワゴンの9冊目でした。
1冊目の時は小学生だった花陽と研人もそれぞれ高校1年生と中学2年生とになりました。月日のたつのは早いものです。 各巻で登場した人物もかなり多くなってきていて、ナレーター役のサチが東京バンドワゴンの紹介と登場人物全員の紹介をするのに12ページもかかってしまいます。
今回もいろいろな問題が堀田家に持ち込まれますが、お約束の「LOVEだねえ」という決めぜりふで物語が丸く収まるのでした。


2016年6月9日

よしもとばななのスウィート・ヒアアフターを読みました。
婚約者洋一とドライブ中に交通事故に遭って瀕死の重傷を負ってしまった小夜子。 おなかに鉄の棒が刺さってしまった小夜子は死の淵をさまよいましたが、病院で意識を取り戻します。 しかし、婚約者の洋一は事故で亡くなってしまっていたのです。
小夜子は生死の間をさまよっていた間に霊の存在を見ることができるようになっていたのでした。 亡くなってしまった人への思い、そして死者と生者の境がやさしく語られています。


2016年6月4日

三浦しをんの桃色トワイライトを読みました。 ホ○漫画、オダ○リジョー、仮面ライダークーガそして文楽に傾倒する三浦しをんの日常を描いたエッセイ集でした。
1回のエッセイが8ページくらいですが、その中で必ず1回以上は吹き出してしまうという電車の中ではとても読めない本です。(読んだけど)
あと書きに「後半になるにつれどんどん我が理性が溶解していくさまが如実にわかる、かなりアイタタな本に仕上がった」と書いてあるとおり本当に楽しめました。


2016年6月4日

中道裕太の放課後さいころ倶楽部7を読みました。 女子高生たちがボードゲームで遊ぶという物語でした。
今巻ではなんじゃもんじゃ、ダンシングドラゴン、プエルトリコなどが紹介されています。 プエルトリコのプレー感などは的確に表現されていて、さすがだと思いました。


2016年5月26日

小泉今日子の小泉今日子書評集を読みました。 小泉今日子が読売新聞の読書委員として読売新聞に書いた書評を収録したものでした。 紹介されている本97冊のうち、読んだことがある本が13冊、読んだことのある作家が31人でした。
konnokは誰かの書評を読んで面白そうだったら、実際にその本を読んでみようと思うたちなので、一覧をコピーしておいて古本屋で本を買うときの参考にしようと思いました。 早速今日2冊、紹介されていた本をBOOKOFFで購入してきました。


2016年5月26日

村上春樹の村上ラジオ3を読みました。
村上春樹がアンアンに連載していたエッセイ集です。 いろいろな視点での村上春樹らしい意見が書かれていて面白く読みました。
「女性は怒りたいことがあるから怒るのではなく、怒りたいときがあるから怒るのだ」 そうですよね。一般に「地雷を踏んだ」状態です。
「イソップは「ありとせみ」という寓話を書いたが、北ヨーロッパには蝉がいないので「ありとキリギリス」に変えた」 確かに蝉は夏の間はうるさいですが、秋になるとぱったりと声が聞こえなくなりますよね。
あっという間に読み終えてしまうのが困りものです。


2016年5月23日

山崎マキコのためらいもイエスを読みました。
三田村奈津美は29歳、仕事が面白くて仕事一筋です。 まだバージンであることにコンプレックスを持っている奈津美でしたが、急にモテ期がきてしまいます。 同僚の中野、桑田、そして見合い相手のギンボ君との仲はどうなっていくのでしょうか。
語り口は面白く、奈津美の後輩の青ちゃんをはじめ登場人物の言動が魅力的なので、すいすいと読んでいくことができます。 しかし、読み終えてみると物語が表面的で内容がないことに気づきます。 フジテレビの月9の脚本ならこれでもいいかもしれませんが。


2016年5月23日

米澤穂信の満願を読みました。
全部で6編のミステリー短編が収録されていますが、表題作の満願と万灯はストーリーセラーannexのシリーズで読んでいたので、新たな作品は4編でした。
それぞれが怖い物語でしたが、特に怖いと感じたのは柘榴という短編でした。 女性の嫉妬の怖さがじわりじわりと身にしみてきます。


2016年5月23日

誉田哲也のあなたの本を読みました。
誉田哲也のSF・ファンタジーの短編集でした。 しかし、それぞれの短編の結末のひねりが全然面白くありませんでした。
誉田哲也の警察小説や女子高生の物語は面白いんだけど、得手不得手があるんだなあと思ったのでした。


2016年5月12日

木皿泉の昨夜のカレー、明日のパンを読みました。
テツコさんは寺山一樹と結婚したのですが結婚後2年で一樹は亡くなってしまいます。 それから7年間テツコさんは一樹の父親ギフと一緒に、庭に銀杏の木のある古い家で暮らしています。 テツコさんとギフ、隣の家の小田タカラ、テツコさんの恋人(?)岩井さん、一樹の従兄弟虎尾、一樹の母親夕子、子供時代の一樹、といった視点で物語が語られていきます。
ほのぼのとした語り口の中にきらりと光る人生の断片が見える物語でした。


2016年5月12日

ジム・ヘンリーのおいしい数学を読みました。
数学と料理には共通点がある、というテーマのエッセイでした。 数学とはいってもパズルのようなものが取り上げられていて、それと料理との取り組み方や考え方が同じだ、という奇妙な本でした。
私は料理はできないので、料理のレシピの方は飛ばし読みでしたが、面白く読みました。


2016年5月12日

近藤史恵のシフォン・リボン・シフォンを読みました。
きれいな下着を身に着けていると、自分がとても大切に扱われているような気がする。 あなたが、あなた自身を大事に扱っているのだから。
水橋かなえは東京で開いていたランジェリーショップを他人に任せて、自分は田舎の町に帰ってきました。 田舎の町できれいなランジェリーショップを開いたかなえとその町に住む人たちの物語でした。
かなえは乳がんにかかって手術を受けていたり、彼女が帰ってきた理由は母親が介護を必要とするようになったためだったり。 力まずに生きているかなえの行動がとても魅力的に感じました。


2016年5月4日

似鳥航一の下町和菓子栗丸堂5を読みました。 下町和菓子栗丸堂シリーズの5作目でした。
浅草栗丸堂の若き店主栗田仁と和菓子のお嬢様鳳城葵が活躍する和菓子をテーマにした物語です。 葵が和菓子職人の道を断念せざるを得なくなった事件の真相が解明されていきます。 富樫の過去や真澄伸一の事故の隠された真相が明らかになって、栗田と葵は富樫を救うことができたのでした。
八神由加の片想いの顛末も語られていて面白く読みました。


2016年4月28日

横山秀夫の64(ロクヨン)を読みました。
D県警には昭和64年に起きた未解決の誘拐殺人事件、通称64(ロクヨン)が大きな汚点として残っています。 刑事部から広報官に異動した三上は上司からの命令で交通事故の加害者を匿名にしたことから記者たちとの調整に手こずっています。
そんな中、警察庁の長官がロクヨンの視察にD県警に来るという情報がもたらされます。 上司の命令で被害者と交渉していた三上は64に関する幸田メモという秘密の文書が存在しているという情報を得てその調査を開始します。 幸田メモはD県警を破滅に導く内容が書かれていたことを探り当てます。
地元生え抜きの警察官とキャリア組の対立、被害者の警察に対する不信、広報官と記者との軋轢、三上の個人的な事情、ひりひりとするような言葉と行動の対立が描かれていておもしろく読みました。


2016年4月28日

東野圭吾のラプラスの魔女を読みました。
未来を予測出来る頭脳を持った人間が現われたら... と言うテーマの小説でした。 偶然と思われる事象を予測して殺人を行う人間とそれを追う刑事そして物理学者の推理が描かれていきます。
読んでみた感想としては、もし本当に未来を予測出来る人がいるなら、この物語で描かれるトリックのようなちゃちなものではなく、もう少し大規模な犯罪を行うんじゃないかなあ、と感じました。 登場するキャラクターにもあまり感情移入出来なかったので、評価は低くなります。


2016年4月28日

新潮文庫編のストーリーセラーannexを読みました。 道尾秀介、近藤史恵、有川浩、米澤穂信、恩田陸、湊かなえの短編が収録されています。
有川浩の二次元規制に対する雑談は楽しく読みました。 検閲と表現の自由の対立といういつものテーマですが、二次元エロがテーマなだけにいろいろ脱線する雑談をおもしろく読みました。
米澤穂信の万灯はバングラディシュに開発の拠点を置こうと奮闘するあまり犯罪に手を染めてしまう現地の所長が主人公ですが、エンディングに収束していく物語が秀逸で、引き込まれておもしろく読みました。


2016年4月14日

上橋菜穂子の鹿の王を読みました。
伝染性の風土病を侵略者に対抗するための武器として使おうとするレジスタンスとそれを阻止しようとする人たちの活躍が描かれたファンタジー小説でした。
ヴァンは東乎瑠国に併合されたアカファ国の戦士でしたが、捕らえられて岩塩坑で働かされています。 そこに病原菌を持った黒い犬が襲ってきます。 ヴァン以外の人たちはみんな病気で死んでしまいますが、ヴァンと幼い女の子だけが生き残ります。 ヴァンはその女の子を連れて岩塩坑から逃げ出します。
ホッサルは東乎瑠国の医師で、岩塩坑で発生した伝染病の調査を行います。 ホッサルはその伝染病のワクチンや治療薬を開発しようとしますが、その病気に罹らなかった人がいることを知り、後追いのスキルを持つモルファという部族に探索を指示します。
ヴァンとホッサルは別々の立場から病気についての調査を行っていき、伝染病を武器として侵略者に対抗しようとするレジスタンスを阻止しようとするのですが...
ヴァンを追いかけるモルファのサエ、ホッサルの従者マコウカン、助手のミラル、ヴァンとともに生き残ったユナ、といった魅力的な登場人物たちが物語を紡いでいきます。 読み終わった後に命とはなんなんだろう、とちょっと考えてしまう物語でした。


2016年4月3日

越谷オサムのいとみち 二の糸を読みました。 津軽三味線を弾く高校生のメイド相馬いとがヒロインのいとみちの続編でした。
いとも高校二年生になり、高校の仲間たちと写真部の活動を始めます。 写真部に一年生の部員として相撲部出身の大柄な石郷鯉太郎が入ってきます。
沢で水に流されてしまい鯉太郎に助けられたり、先輩メイドの幸子さんの結婚式で三味線を演奏したり、先輩メイド智子さんがメイドをやめて上京することになったりと、いろいろなイベントの中でいとは鯉太郎が気になるようになります。
物語がどのように展開するのか、続編が気になります。


2016年3月29日

住野よるの君の膵臓をたべたいを読みました。
主人公は本好きのあまり社交的ではない高校生です。 ひょんなことからクラスメイトの山内桜良(さくら)の日記「共病文庫」を見てしまい桜良が膵臓の病気で余命が1年くらいしかないことを知ってしまいます。 桜良は常に明るく行動していて、秘密を知った主人公を食事に誘ったり、旅行に連れ出したりして主人公と桜良が一緒に過ごすことが多くなります。
桜良の病状がだんだん悪くなって悲しい物語になるのかな、と思ったところで物語は急展開します。
人付き合いが苦手な主人公にちょっと共感を感じてしまう物語でした。


2016年3月29日

越谷オサムの金曜のバカを読みました。 高校生のバカさを暖かく描いた短編集でした。
表題作の「金曜のバカ」は女子高生と引きこもりの男の対決の物語でした。 設定がバカなら、彼らの行動もバカです。 しかし、それが暖かく描かれていて楽しく読みました。
「僕の愉しみ彼女のたしなみ」は恐竜が大好きなオタク高校生片岡が主人公です。 片岡は、気になるクラスメイトの黛さんを恐竜イベントに誘います。 恐竜オタクであることがばれて2週間でふられてしまったという暗い過去を持つ片岡は、自分が恐竜オタクであることを悟られないように慎重に黛さんをエスコートするのでした。 しかし、黛さんにも隠れた秘密があったのでした。
本当に読んでいて楽しくなる物語たちでした。


2016年3月20日

村上春樹編の恋しくてを読みました。 ニューヨーカーなどで発表されたラブストーリーから村上春樹が9編を選んで、1編を書き下ろしたオムニバス短編集でした。
日本でラブコメに代表される甘いわかりやすいラブストーリーとはひと味違うビターテイストの印象に残る物語が多かったと感じました。 特に印象に残ったのはモントリオールの恋人でした。 中年の独身男性ヘンリーと夫と子供のいる女性マデレインが出張先で関係を持っています。 モントリオールのホテルでマデレインの夫から呼び出されたヘンリーの行動とその事件の真相が描かれていて、大人の関係というのはこういう苦いものなんだろうなあ、と思ったのでした。


2016年3月9日

越谷オサムのいとみちを読みました。
相馬いとは小柄な高校一年生です。 純粋で古典的な津軽弁の祖母ハツヱに育てられたことから、濃厚な津軽弁を話します。 ハツヱの指導で津軽三味線を習っていて、ジュニア部門で審査員特別賞をもらったこともあります。
いとは人見知りを克服するために青森駅近くのメイドカフェでアルバイトすることにします。 しかし、「おかえりなさい、ご主人様」という言葉もちゃんと発音出来ず、「ごすズんさま」になってしまいます。 また、革靴を履いたことがないのですぐに転んでしまう、あがり症ですぐに固まってしまう、メイドカフェ名物のオムライスにケチャップで描く絵もうまく描けない、何かあるとすぐに涙が出てしまう、ということでメイドカフェをアルバイトに選んだことを後悔するのでした。
しかし、そんないとを気に入ってくれる客たちがいとを盛り上げてくれます。 先輩メイドの指導や励ましもあり、いとはメイドカフェのアルバイトを続けていくのでした。 最後には、いとがメイドカフェのお客様たちに津軽三味線の演奏を聴かせるイベントが開催されるのでした。
そうそう、最後に出ていたハツヱ50音表にはウケました。


2016年3月6日

三崎亜記の海に沈んだ街を読みました。
不条理な前提で物語を書いている三崎亜記の短編集でした。 今回の短編集では、一時期はもてはやされていたものが時代の流れにつれて廃れていく情景を描いたものがいくつかあって、興味深く読みました。
場面の設定は不条理なのに、登場する人物たちがいきいきと描かれているのが気に入りました。


2016年3月5日

カズオ・イシグロの遠い山なみの光を読みました。
今はイギリス人と再婚してイギリスに住んでいる悦子は、終戦後新婚で長崎に住んでいたときのことを回想します。 原爆が落ちて、戦争が終わって、世の中の常識が180度変わってしまった時代に、夫と義父と近所に住んでいた女性との関わりの中で思い惑う気持ちが描写されています。 物語を読み終わると、淡々と語られている物語の中に悲しみが隠れていた事に気づきます。 決して読みやすくはないですが、心にのこる物語でした。


2016年2月25日

アンディ・ウィアーの火星の人を読みました。
宇宙飛行士マーク・ワトニーは火星での活動中に砂嵐にあって吹き飛ばされてしまいます。 ワトニーは生命反応がなくなってしまったため、同僚たちは彼が死んでしまったと考え、泣く泣く地球への帰路についてしまいます。
ところが、彼は運良く生き延びることが出来ていたのでした。 火星に取り残されてしまったワトニーは残された宇宙船を改造して次の火星探検の宇宙船が来るまで生き延びることを考えます。
絶望的な状況でも知恵と勇気を持って可能性を探っていくワトニーの行動が描かれています。 どんな状況でもユーモアを忘れないしなやかな性格のワトニーの行動に惹きつけられます。


2016年2月19日

冲方丁のもらい泣きを読みました。
冲方丁が知人から聞き出した感動的な話を収録した短編集でした。 特に気に入った話は心霊写真、ぬいぐるみ、爆弾発言、でした。
心霊写真は6人で写真を撮ったらテーブルに手が13本写っていた、と言う話です。 でも、その13本目は師匠の亡くなってしまった奥さんの写真で、師匠がずっと付き添って手をさすってあげていたのをみんな知っていたのでした。 全然怖いとは感じませんでした、というのが写真を撮った人の感想なのでした。


2016年2月19日

村上春樹のラオスにいったい何があるというんですか?を読みました。
村上春樹がアイスランド、フィンランド、ラオス、イタリア、熊本、そして若い頃に住んでいた場所ボストンやギリシャを旅していく紀行文集でした。 それぞれの場所で村上春樹が見たこと、感じたこと、考えたことが語られています。
konnokは出不精なので、普段は旅したいと感じることはありませんが、この本を読んでいると知らない場所を旅してみたいなあ、と思えてきます。


2016年2月13日

伊藤比呂美の女の絶望を読みました。
中年から更年期の女性に向けたエッセイ集でした。 4月から3月に見立てた12の章から構成されていて、それぞれ「ふうふのせっくす」「おんなのぜつぼう」「へいけいのこころえ」「ちうねんきき」といったどろどろしたサブタイトルがついています。
サブタイトルをテーマに身の上相談の回答者を続けた経験から中年女性あるあるが解説されていきます。 konnokは「よいおっぱい、わるいおっぱい」の頃からこの人のエッセイは大好きで、今回もおもしろく読みました。 30年前から伊藤比呂美が提唱している「がさつ、ぐうたら、ずぼら」という処世術は中年女性でも万能の力を発揮するのでした。


2016年2月6日

飛鳥井千紗のタイニー・タイニー・ハッピーを読みました。
郊外のショッピングモール「タイニー・タイニー・ハッピー」通称タニハピを舞台にした連作短編集でした。 登場人物たちが順番に語り手になって他の登場人物を描写していくので、この人はこんな事を考えてるんだ、こんな悩みを持ってるんだ、という発見があります。
タニハピの商品部の北川、その妻で眼鏡屋の店員実咲、実咲の同僚森崎、北川の同期川野、川野の同僚小山さん、実咲の友人で飲食店店員香織、香織の恋人カズ、森崎の恋人笑子、川野の妹智佳、といった登場人物たちが小さな小さな幸せの物語を語っていきます。
英単語2つ言葉のタイトルが、それぞれの短編にしっくりくるタイトルになっているのも気に入りました。


2016年1月31日

カズオ・イシグロの日の名残りを読みました。
第2次世界大戦の戦中から戦後にかけてイギリスで執事をしていたスティーブンスが主人公の物語でした。 スティーブンスは自分がしてきた仕事を振り返りながら偉大な執事とは何だったのかと回想します。
しかしながら、ずっと仕えて心服していたダーリントン卿はナチスに利用されてしまう愚かな貴族だった、と言うことに気づきます。 そして個人的にも彼を慕っていた女中頭の気持ちにも応えられないつまらない男だったということも明らかになってしまいます。
一生をかけて努力してきたことが、老年になって実は意味のないことだったということに気づく、という悲劇なのですが、その悲劇が淡々と描かれています。


2016年1月26日

村上春樹の雑文集を読みました。
単行本に収録されていない村上春樹の文章が収録された本でした。 「壁と卵」の全文が読めたり、「ノルウェーの森」の解釈など面白く読みました。 音楽についての文章はよく分からないものもありましたが、翻訳の章はなるほどと思いながら読みました。
村上春樹がずっとジャズを聴いていたくて喫茶店を経営することにしたこと、その喫茶店が結構繁盛していたこと、ひょんなことから小説家になったこと、などが書かれていて興味深く読みました。


2016年1月18日

重松清のなきむし姫を読みました。
ブンとチッキの母であるアヤは大人なのに大のなき虫です。 ところが、アヤの夫、哲也は1年間の約束で大阪に単身赴任してしまうことになります。 子供二人とアヤは生活していくことが出来るのでしょうか。
そこにアヤと哲也の幼なじみ健が引っ越してきて、アヤの悩みの相談に乗ってくれるのですが...
ワンパターンの物語でしたが、楽しく読みました。


2016年1月12日

横山秀夫の教場を読みました。
警察学校は警察官としての適性のない人間を選別する篩である、というテーマの警察学校を舞台としたミステリーでした。 何でも見通してしまう風間教官の下、生徒たちは過酷な訓練と授業に耐えていくのでした。
ミステリーとしてはおもしろく読みましたが、登場人物たちの体温が感じられないのがちょっと残念でした。


2016年1月9日

坂木司の動物園の鳥を読みました。 青空の卵シリーズの完結編でした。
引きこもりの鳥井真一は動物園での野良猫の虐待事件の真相解明の依頼を受けて坂木と動物園に出かけます。 そこで、坂木と鳥井は引きこもりになってしまったいじめ事件の張本人と対峙することになります。
いつもながらに冴え渡る鳥井の推理で事件は解決します。 そして、シリーズの中で友となった人たちとの交流によって鳥井を少しずつ傷を癒していくのでした。
全てが解決したわけではないけれど、少しずつ鳥井も坂木も立ち直っていくと信じられる物語でした。


2016年1月9日

伊坂幸太郎の残り全部バケーションを読みました。
当り屋の溝口は助手の岡田と一緒に毒島からの依頼で当り屋の仕事をしています。 岡田はこの仕事から足を洗いたい、と溝口に宣言するのですが、溝口は「適当に選んだ電話番号にメールを送って、それで友達が出来たらおまえは卒業だ」と言ってメールを送ってしまいます。
その後、ひょんなことから岡田は毒島に消されてしまうのですが、溝口はそのことを後悔してある行動を起こすのですが...
今回も悪党が主人公ですが、読者が彼らを憎めない奴らだと思ってしまうのが、伊坂幸太郎の物語の力なのでした。


2016年1月1日

今年も、面白そうな本を探して読んでいきたいと思います。 そしてなるべく本を選ぶときに参考になるようなコメントを記録していきたいと思います。 どうぞよろしくお願いいたします。




2015年に読んだ本の感想