宮部みゆきの桜ほうさらを読みました。
古橋笙之介は深川の富勘長屋で代書を仕事にしています。
笙之介の父親が地方の小藩で偽造文書で陥れられ切腹してしまってから、江戸留守居役の東谷を頼って上京していたのでした。
笙之介は代書屋のかたわら父親の仇である偽造文書を作成した犯人を探します。
ある春の早朝に笙之介は桜の木の傍らにたたずむ若い女性を見かけます。
その女性こそ、後々、いろいろな事件の解決を助けてくれる和香という女性だったのでした。
笙之介は和香の助けもあり、仇となる人物にたどり着くのでしたが...
登場する人物たちが悩みを持ちながらも少しずつ成長していく様子が描かれていて気持ちよく読みました。
坂木司の仔羊の巣を読みました。
青空の卵の続編でした。
ひきこもりの鳥井真一がいろいろな謎を解き明かすシリーズです。
今回は坂木司の同僚佐久間さんの恋模様、中学生塚田くんの父親から愛されていないという悩み、女子高校生矢崎さんの鬱屈、といった謎を鳥井が解き明かしていきます。
探偵・助手を始め登場する人物たちがみんな悩みをかかえながらも、ひたむきに前向きに生きていこうとする姿が描かれています。
こころが暖かくなる物語で、3巻目が楽しみです。
似鳥航一の下町和菓子栗丸堂4を読みました。
下町和菓子栗丸堂シリーズの4作目でした。
浅草栗丸堂の若き店主栗田仁と和菓子のお嬢様鳳城葵が活躍する和菓子をテーマにした物語です。
今回は茶道の家元の御曹司と水羊羹の味勝負をしたり、そのつながりで茶道の家元のご隠居さんに「きんつば」を作ったりと、栗田と葵は忙しく活動します。
葵の過去についても明らかになってきたところで、栗田と葵の関係はどうなっていくのでしょうか。
岩井志麻子の邪悪な花鳥風月を読みました。
ウィークリーマンションに缶詰になっている女性作家が妄想の限りを尽くして妖気と腐臭ただよう物語を紡ぎ出していきます。
読んでいてちょっと違和感があったのですが、エンディングを読んでなるほどと思ったのでした。
konnok的には岩井志麻子は妄想の中の物語より現実世界で起きた事件を描いた小説のほうが怖くて好きだなと思いました。
中道裕大の放課後さいころ倶楽部6を読みました。
女子高生たちが主人公のボードゲーム紹介コミックでした。
今回は、アクワイア、ブロックス、レイディース&ジェントルメン、バルバロッサ、カルカソンヌが紹介されています。
ドイツからの留学生エミーの隠された素顔がだんだん現われてきてこれからの展開が楽しみです。
坂木司の青空の卵を読みました。
主人公の坂木司は保険会社に勤務する会社員です。
坂木の友人、鳥井真一はひきこもりのプログラマー、料理の達人、そして坂木が持ち込む謎を解く名探偵なのでした。
心や体に傷を持つ登場人物たちが登場しますが、鳥井が謎を解決したことにより登場人物たちとの絆が出来てきます。
続編もあるようなので、鳥井がひきこもりを脱することが出来るのか、楽しみです。
日明恩のギフトを読みました。
とある事件で少年を事故死させてしまったため自分を責め続ける須賀原と、死者の幽霊を見ることが出来る少年明生の物語でした。
明生は幼い頃から死者の幽霊を見ることが出来るのですが、親からは嘘をつく子供と思われていて、疎外感を感じています。
須賀原も明生と触れているといっしょに幽霊を見ることが出来ることがわかり、二人はいくつかの幽霊とかかわってその幽霊の望みをかなえようとします。
最後の章では須賀原が事故死させてしまった少年の幽霊とかかわることにより、須賀原も変わっていくのでした。
村上春樹の図書館奇譚を読みました。
以前読んで内容がよく分からない、という感想だったふしぎな図書館のドイツ人挿絵画家のバージョンでした。
佐々木マキの挿絵だとほのぼのとしている絵本が、今回は怖さ満載のリアルなイラストの絵本になっています。
とは言え、この物語で何を言いたいのかは今回もやはりよく分からなかったのでしたが。
あずまきよひこのよつばと!13を読みました。
かわいいよつばととーちゃん、そして今回はばーちゃんの物語でした。
冷静なばーちゃんと全力疾走のよつばの掛け合いが楽しい。
おとなたちが暖かくよつばを見守っているのがほほえましい物語でした。
カート・ヴォネガットの国のない男を読みました。
カート・ヴォネガットのアメリカ批判、文明批判のエッセイでした。
人間はこのすばらしい地球をぼろぼろにしてしまった、というような指摘が満載です。
ちょっと暗くなってしまいますが、ユーモアもたっぷりあって楽しく読みました。
誉田哲也の妖の華を読みました。
吸血鬼(闇神)のヒロイン紅鈴が暗躍する伝奇小説でした。
池袋で首に牙に噛まれた痕がある、失血状態の惨殺死体が発見されます。
警視庁では捜査本部を設置して捜査を開始します。
闇神は紅鈴だけしか残っていないはずなのに、なぜ吸血鬼の事件が起きるのか。
捜査の網をくぐって紅鈴も調査を開始します。
警視庁の刑事として姫川玲子のシリーズにも登場する井岡が活躍します。
おもしろく読みましたが、エンディングがちょっと中途半端だったのが残念です。
高野和明の幽霊人命救助隊を読みました。
高岡裕一は首つり自殺をしたあと、幽霊になって天国と地獄の境にある場所にたどり着きます。
そこにはすでに3人の自殺者の幽霊が待っていました。
すると4人の幽霊のもとに神様が降臨し、7週間で100人の自殺者を救えば天国に行かせてやろう、と提案します。
否応なく4人の幽霊は東京に降り立って人命救助を開始するのでした。
暗くなりがちな、自殺する人たちの背景や苦悩を描くための手法としては面白い試みだと思いました。
養老孟司の解説もおもしろく読みました。
森絵都他の恋のトビラを読みました。
若い女性向けと思われる、恋の始まりをテーマにしたオムニバス短編集でした。
甘酸っぱい恋の始まりが描かれていて楽しく読みました。
森絵都の「本物の恋」は最後にどんでん返しがあって、もう一度読み直してしまいました。
やはり森絵都はあなどれない。
三島由紀夫の命売りますを読みました。
コピーライターの羽仁男はひょんな事から衝動的に自殺しますが失敗してしまいます。
自殺をし損なった羽仁男は「命売ります」という看板をかかげて命を買いに来る客の危険な仕事を請け負いますが、毎回事件が起きて生き延びてしまいます。
こんな事を繰り返している羽仁男には心境の変化が訪れますが...
三島由紀夫の怪作を楽しみました。
ネレ・ノイハウスの悪女は自殺しないを読みました。
オリバー・フォン・ボーデンシュタイン主席警部とピア・キルヒホフ警部が活躍する深い疵シリーズのミステリー(1作目)でした。
獣医ケルストナーの妻で美人のイザベルが自殺に見せかけて殺されます。
それを捜査していくオリバーとピアの前に乗馬クラブで行われている悪事が次々と明らかになっていきます。
イザベルは複数の男性を誘惑し情事をビデオ撮影して相手を脅迫していたのでした。
イザベルを殺害したいという動機を持っている人間は多数いてオリバーとピアは犯人の絞り込みに苦慮する中、次々と新しい事件が起こってしまいます。
オリバーの妻は映画制作会社で世界中を飛び回っていて不在がちだし、ピアは夫の法医学者と別居中だし、オリバーの昔の彼女が登場するし、主人公たちの私生活もにぎやかに描かれています。
池井戸潤のルーズベルトゲームを読みました。
業績不振に陥り、人員リストラを余儀なくされる青島製作所が舞台の野球と会社経営がテーマの小説でした。
青島製作所はライバル企業のミツワ電器からの猛攻を受けて赤字転落は必死となります。
頼みの綱の製品開発も時間がかかる見込みで社長の細川は頭を抱えます。
青島製作所の野球部は伝統あるチームですが、会社の業績悪化をうけて廃部の危機にさらされます。
コンサル会社から青島製作所に入社した細川社長、野球部を育ててきた青島会長、そして野球部の面々は苦しい中を闘っていきます。
いつもの池井戸節をおもしろく読みましたが、konnokが一番印象に残ったのは半分悪役扱いの笹井経理部長でした。
高野和明の6時間後に君は死ぬを読みました。
超能力をテーマにした連絡短編集でした。
山葉圭史は他人の未来をビジョンとして見ることが出来る能力を持っています。
原田美緒は誕生日の前日に渋谷の街を歩いているときに、圭史から話しかけられ、6時間後に君が死ぬビジョンを見たと告げられます。
美緒と圭史はそのビジョンが実現しないように行動していくのですが、6時間後、予告通り美緒は犯人にナイフを突き立てられてしまいます。
数年後の物語「3時間後に僕は死ぬ」も同じようにビジョンが実現しないように二人が行動する物語でしたが、こちらはちょっとストーリーに違和感を感じました。
とは言え、それぞれの物語はおもしろく読みました。
東野圭吾の虚像の道化師を読みました。
テレビドラマ化もされたガリレオシリーズの短編集でした。
この短編集は先にテレビドラマを観ていたので、トリックはほぼ分かっていたのですが、小説ではストーリーが違っている部分もあり、楽しめました。
伊坂幸太郎の陽気なギャングは三つ数えろを読みました。
陽気なギャングが地球を回すのシリーズ3冊目でした。
今回も、天才的なスリ久遠、嘘を見破る能力をもつ成瀬、弁舌の立つ響野、正確に時間をカウント出来る雪子の4人が活躍します。
アイドル宝島沙耶は雑誌記者の悪党火尻によって自殺に追い込まれた友人の復讐をしようとしています。
4人のギャングは宝島沙耶の復讐を手助けしようとするのですが、火尻の反撃によって窮地に立たされてしまいます。
シーンの切り替え毎に辞書のようなコメントが書かれているのも楽しい物語でした。
北川恵海のちょっと今から仕事やめてくるを読みました。
ブラック企業に就職してしまった青山隆は上司からのパワハラをうけて精神的に参ってしまいます。
電車のホームでふらりと線路のほうに倒れそうになったときに、腕を強い力で引っ張られます。
引っ張った青年はヤマモトと名乗り、小学校時代の同級生だということでした。
隆はヤマモトと話をしていくうちにだんだん自分を見つめ直す余裕が出来てきて、会社を辞める決心がついてくるのでした。
そして、ヤマモトが隆を助けようとした理由がだんだん明かされていくのでした。
ブラック企業は社会が育てた大事な若者たちを簡単に再起不能にしてしまう、という警句を思い出しました。
あさのあつこのNo.6を読みました。
人類が環境破壊を行ってしまった後に作られた都市国家No.6。
そこは理想郷として作られていたはずなのに、いつの間にか市に忠誠を誓うことができない人間は排除されてしまう独裁国家になってしまっていたのでした。
No.6の支配階級に生まれた紫苑はエリートとして教育を受けていましたが、ある嵐の夜、ネズミと呼ばれる脱走犯を助けたため、市から目を付けられてしまいます。
数年後、紫苑が働いている公園で同僚が謎の病気で亡くなってしまいます。
同僚を殺した犯人にしたて上げられて矯正施設に送られる直前、紫苑はネズミの助けによりNo.6の支配から逃れ、No.6の外側に存在する貧民街に逃げ延びることが出来たのでした。
ネズミと紫苑はNo.6の中枢である矯正施設に潜入して矯正施設の破壊をこころみるのでしたが...
世界観や都市国家の設定はよくある設定だと思いましたが、紫苑の母親火藍、そして紫苑とネズミを助けるイヌカシや力河といった大人たちがいきいきと描かれているのでおもしろく読みました。
浅田次郎の一路を読みました。
西美濃田名部郷の蒔坂左京大夫に仕える小野寺一路は父親を実家の火災で亡くしてしまいます。
一路は参勤交代の御供頭として田名部郷に戻ります。
しかし、一路は父親から参勤交代の御供頭の仕儀については全く教えてもらっていなかったのでした。
焼け跡から先祖伝来の行軍録を見つけ出した一路は行軍録に記載されているとおり古式に則り参勤交代の行列をすすめようと考えます。
なぜか一路を助けてくれる人が次々と現われて、参勤交代の行列は何とか御発駕することが出来たのでした。
木曽路にさしかかったとき、一路はお家乗っ取りの陰謀の話を聞きます。
一路の父親も策略により殺されてしまっていたのでした。
一路は参勤交代の行列を遅れずに江戸に到着させることが自分の責務と考えて一所懸命責務を全うしようとします。
うつけ者を演じているけど実は賢主名君であるお殿様蒔坂左京大夫がいい味を出しています。
実は一路ではなく、お殿様がこの物語の主人公なのではないか、と思ってしまいます。
水野和夫の資本主義の終焉と歴史の危機を読みました。
資本主義というのは投資した資本が十分な利益をあげることができないと成り立たないシステムです。
しかし、先進国と開発途上国の垣根がなくなってくるグローバル化の時代になると、いままでのように利益を上げることが難しくなります。
この事態を打開するために考え出された「電子・金融空間」はリーマンショックというバブル崩壊を招いただけでした。
資本主義の前提条件が成り立たなくなってきているため遠からず資本主義は行き詰まる、という意見はおもしろく読みました。
しかし、これからの展望については明確に書かれていなかったので、ちょっと残念に感じました。
有川浩のキャロリングを読みました。
子供の頃に父親の家庭内暴力にあってトラウマをかかえている大和俊介が主人公のクリスマスの物語でした。
大和は母親の友人の西山英代の会社エンジェル・メーカーで働いていますが、英代は赤字になる前に今年のクリスマスで会社をたたんでしまうことにしたのでした。
エンジェル・メーカーは子供服のメーカーですが、なぜか学童保育もやっています。
保育児童の一人、田所航平は離婚したキャリアウーマンの母親とダメ男の父親を再婚させたいという望みがあり、大和とその元恋人の折原を巻き込んで事件が発生します。
クリスマスの夜、ヤクザに銃を向けられた大和の運命は...
エンジェル・メーカーの社員たちの掛け合いは面白かったのですが、悪役たちの描き込みがイマイチだったのがちょっと不満でした。
池井戸潤のかを読みました。
人間観察ができて事務能力も高く、常に正論を貫くヒロイン、花咲舞が活躍する短編集でした。
花咲舞は支店をまわって業務改善を指導する臨店と言う担当に所属し、いろいろな問題を抱える支店の指導をしていくのでした。
銀行という組織の中でいろいろな問題がおきていくのですが、ヒロイン舞は人間観察と正論でよい方向に向けようとしていくのでした。
村上春樹の村上さんのところを読みました。
村上春樹への質問を受け付けるサイトで村上春樹に向けて書かれた質問に対する村上春樹の回答を収録した本でした。
このような企画の本はこれまで何冊か出ていますが、全ておもしろく読んでいます。
村上春樹が真剣に書いた回答、ちょっとジョークを交えた回答、ジャズや読んだ本に関するこだわりの回答、などなど、今回も楽しく読みました。
これまでエッセイなどでも書かれていた村上春樹の考え方が色濃く出ている回答もありました。
フジモトマサルのイラストも楽しく読みました。
37465通のメールをちゃんと真面目に読んで473通の回答を書いた村上春樹のプロ魂はすごいと思いました。
柳内たくみのゲート外伝 黄昏の竜騎士伝説編を読みました。
「自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり」ゲートの外伝3でした。
エルフの娘テュカは炎竜により自分の住んでいた村を滅ぼされてしまったのですが、その時テュカの父親ホドリューは炎竜と戦って死んだと思われていました。
ところが、辺境の地でホドリューが遊牧民パルミア族と一緒に行動しているのを見たという人物が現われたことが今回の物語の発端になります。
テュカは亜神ジゼルから借用した飛竜にのって伊丹と一緒にホドリューに会いに行くことになります。
パルミア族と敵対しているケンタウロス族やパルミア族の領地通過を妨害しようとするヤルン・ヴィエット城の女王との緊張状態のなかで、伊丹とテュカは平和的解決を模索するのでした。
今回も伊丹の活躍を楽しんで読みました。
又吉直樹の火花を読みました。
スパークスの徳永は小さい頃から漫才師にあこがれ、売れないながらも漫才を続けています。
その徳永が師匠として認めた神谷は、面白いことのためにはタブーも破ってしまうほんまもんのあほんだらなのでした。
神谷との付き合いの中で徳永は自分の芸とはどのようなものか、ということを考えていきます。
神谷は面白いことだけを追求して生きているので常識人の枠からは外れていますが、どこか憎めない性格です。
常識人の徳永と神谷のコントラストが鮮やかな物語でした。
朝井リョウの何者を読みました。
主人公の二宮拓人は就活中の学生です。
拓人とルームメイトの神谷光太郎、その元恋人田名部瑞月、瑞月の友人小早川理香、理香と同居している宮本隆良、という仲間たちが就活を続けていきます。
なかなか内定をもらえない苦しみ、他の仲間に内定が出てしまったときの焦り、就活を有利にするためのあがき、自分が何者かでありたいという願い、などが等身大に描かれていきます。
twitterでのコミュニケーションも描かれていて、twitterのつぶやきとその人の実情のギャップもおもしろく読みました。
そして、最後のどんでん返しですが、正直してやられた、と思いました。
うーん、一読者として自分を振り返ってしまいますね。
米澤穂信のリカーシブルを読みました。
父親が会社で犯罪を犯して失踪してしまったため、ハルカは母親と弟のサトルと3人で母親の生まれた町に戻ってきます。
しかし、ここではサトルがこれから起こることを予知してしまうのでした。
なぜ、サトルはこれから起こることが分かるのか、この町で密かに行われている陰謀とはいったい何なのか。
謎解きについては面白いと思いましたが、ハルカが自信をなくした普通の女の子として描かれているので、ちょっと残念に思いました。
やはり主人公の女の子は魅力的なキャラクターだと物語も楽しく読めるんだけどなあ、と思ったのでした。
柳内たくみのゲート外伝 黒神の大祭典編を読みました。
「自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり」ゲートの外伝2でした。
今回は富田とボーゼスの間に生まれた舞の誕生を祝う儀式をエムロイ教の亜神、ロゥリーが執り行うこととなります。
ロゥリーは知り合いの亜神たちを呼んで盛大に儀式を行おうとするのですが、彼の地の貴族や民衆は普段目にすることのない亜神たちが一堂に会することを知って自衛隊の駐屯地に押しかけてくることになってしまうのでした。
伊丹たちは大祭典と銘打って押しかけてくる人たちに娯楽を提供するのでした。
このドタバタとロゥリーが亜神になる前の修業時代のエピソードが交互に語られていきます。
展開がワンパターンではあるのですが、おもしろく読みました。
日明恩のそれでも、警官は微笑うを読みました。
日明恩のデビュー作の刑事物のミステリーでした。
無口で武骨な武本刑事と名家の出身でおしゃべりな潮崎警部補の二人は密造拳銃のルートを探すために犯人を追っていました。
ところが、そこに麻薬捜査官の宮田という邪魔が入ってしまいます。
何とか犯人を検挙した武本と潮崎はその犯人から密造拳銃の販売ルートを解明しようとします。
宮田の恩師の泉は5年前に麻薬を打った状態で自殺していたことから犯罪者として糾弾されてしまいました。
このため、宮田は泉の汚名を返上するために事件の捜査を続けていたのでした。
二人の捜査が進んで密造拳銃のルートの糸口がつかめてきた矢先、中国からの圧力により捜査はできなくなってしまいます。
武本は上司の黙認をもらいながら単独での捜査を開始するのでした。
一番印象的だったのは、宮田が泉の娘の聡子のためだけを考えて、命がけで捜査をしていたのに、聡子の考えは全然別のところにあったと言うことでした。
女の人は怖いと思いました。
賽助のはるなつふゆと七福神を読みました。
榛名都冬(はるなつふゆ)は会社をクビになって自堕落な生活をおくっています。
そんな都冬の前に小さな二柱の神様が現われます。
彼らは福禄寿と寿老人、七福神の中でも一番知られていない神様たちなのでした。
都冬はインターネットで彼らの知名度を上げることと引き替えに、彼らの御利益により自分の就活や婚活の成就をもくろむのでしたが..
スマートな恵比寿天、でっぷりとした大黒天、子供の姿の毘沙門天、根暗な弁財天、美人の吉祥天、吉祥天の妹黒暗天、福助、猩猩の夜右衛門、といった神様たちが登場します。
恵比寿天と大黒天が神社の覇権をかけて麻雀をうったり、都冬の元恋人の二谷が妖怪退治をしていたりと賑やかに物語は語られていきます。
語り口がよいのであっという間に読んでしまいましたが、事件や謎はもうひとひねりあったほうがもっと楽しめるんじゃないかと思いました。
杉浦日向子の入浴の女王を読みました。
東京イワシ頭、呑々草子に続く、銭湯と街の素顔を堪能するエッセイでした。
杉浦日向子と編集者ポワールが全国各地の銭湯をまわって、入浴している女性たちや、街の風景をレポートします。
杉浦日向子のレポートは面白く読んだのですが、前2作に描かれているような杉浦日向子とポがはじけたように呑んだり体験したりする体当たりのレポートではなかったので、ちょっと寂しく感じました。
ひょっとしたら、この頃から杉浦日向子は体調の不調を感じていたのではないだろうか、と邪推してしまいます。
ライナー・クニツィアのダイスゲーム百科を読みました。
有名なボードゲーム作家のクニツィアが世界で遊ばれているダイスゲームを紹介した本でした。
konnokも知っている、ヤッツィー、クラップス、5000($GREEDの元ゲーム)、シャット・ザ・ボックスなどが紹介されていて、ゲーム会でも十分活用出来る内容でした。
この本の中で紹介されているジェットコースターは子供向けのゲームとして使えそうな気がするので、友人の日記にあったローラーコースターのルールも含めて活用していきたいと思いました。
サキのサキ短編集を読みました。
欧米ではOヘンリーと並び称されるというサキの短編集でした。21の短編が収録されています。
意表を突く結末や語り口は気に入りましたが、突き放したような結末が多かったのはちょっと残念に思いました。
Oヘンリーの物語だったら、結末を読んだ後に心の中に暖かいものが残る物語が多いよなあ、と思いました。
坂木司の短劇を読みました。
26のショートショートが収録されている、奇妙な物語でした。
怖い物語、気持ちの悪い物語、どんでん返しの物語、驚きの結末の話、それぞれの物語をおもしろく読みました。
「最先端」の気持ち悪さ、「試写会」のどんでん返し、「秘祭」のばかばかしさ、「肉を拾う」のアイディア、さすが小説家のネタの引き出しはたくさんあるんだな、と感心しました。
伊坂幸太郎の仙台ぐらしを読みました。
伊坂幸太郎が仙台で暮らしているなかで出会ったいろいろな出来事を描いたエッセイ集でした。
心配性の伊坂幸太郎のエッセイはほほえましく読みましたが、震災の後のコメントは悲壮感が漂っています。
今やっていることをやり続けなさい、というコメントが心に残ります。
杉浦日向子の呑々草子を読みました。
東京イワシ頭に続く、杉浦日向子と編集者ポワール(略してポ)が体当たりで敢行する日本各地をめぐる体験記でした。
意味なし意義なし目的なし、起承なければ転結もなし、という面白旅行記なのでした。
杉浦日向子のエッセイとイラストそしてポのイラストが旅の楽しみを感じさせます。
さらに呑々(のんのん)の字のとおり、各地の銘酒が紹介されています。
konnokは酒は弱いので実体験はできませんが、呑兵衛の女性のエッセイは大好きなのでおもしろく読みました。
梨木香歩の雪と珊瑚とを読みました。
珊瑚は21歳で泰司と結婚し雪を産みましたが、泰司は珊瑚のところを去っていってしまいます。
乳飲み子をかかえて途方に暮れる珊瑚でしたが、「赤ちゃん、お預かりします」の張り紙を出していたくららと出会い、雪と一緒に生きていくことを決意します。
おなじアパートに住む友人の那美、アルバイト先のパン屋の桜井夫妻、パン屋のアルバイト同僚由岐、有機栽培農業をしているくららの甥貴行とその同僚時生、喫茶店店主の外村、といった人たちが珊瑚を支援してくれたおかげで珊瑚は惣菜カフェを開くことが出来たのでした。
次々と協力者が現われるところは物語としてできすぎじゃないかな、とも思いましたが、物語はおもしろく読みました。
「温かい食べ物は人に活力を与える」というコンセプトで書かれた物語で、たくさんの料理が紹介されていて読んでいて幸せになります。
伊坂幸太郎のジャイロスコープを読みました。
いろいろなテイストの7つの短編が収録された短編集でした。
7日間相談屋の助手をさせられることになった青年のお話、奇妙な生物が町を壊滅させていくSF、バスジャックを止めることが出来なかった男たちの再起の物語、親からクリスマスプレゼントをもらえない子供たちに贈り物を届ける組織の物語、新幹線の清掃を担当する仲間たちの物語、というような物語が収録されていました。
ちょっと全体像がわかりにくい物語もありましたが、奇抜なプロットとユーモアあふれる会話を楽しみました。
冲方丁の光圀伝を読みました。
義に生き、詩の天下をめざした徳川光圀の伝記でした。
父頼房から度々の試練を受けながら、父の信頼を得たいがために試練に挑戦していた幼少期。
「傾奇者」として江戸の町で暴れていたところを宮本武蔵にたしなめられた青年期。
ともに儒学を学ぶ友とそして最愛の妻を得たのもつかの間、彼らを亡くしてしまうことになった壮年期。
綱吉の悪政にあきれながらも、幕府の支援を続ける老年期。
光圀の兄頼重、生涯の友儒学者林読耕斎、最愛の妻泰姫、宮本武蔵、家老保科正之といった魅力的な登場人物たちと光圀の物語が語られていきます。
konnokの中の光圀のイメージが大きく変わりました。
近藤史恵のホテル・ピーベリーを読みました。
日本で心に傷を負い、職も失ってしまった木崎淳平は友人の杉下のすすめでハワイ島のヒロの町にあるホテル・ピーベリーに滞在することにします。
ホテル・ピーベリーは誰でも1度しか宿泊することが出来ず、しかも最長3ヶ月までというホテルなのでした。
ホテルを切り盛りしているのは和美さんというやせ形の女性でした。
ホテルに滞在していた佐奇森、蒲生、青柳、そして淳平と一緒に到着した桑島さんのホテル生活が始まります。
和美さんや宿泊者たちとの交流の中で淳平も癒されていくように見えたのでしたが。
しかし、蒲生がプールで溺れて亡くなるという事件が起きます。
そして続けて青柳がバイク事故に遭って亡くなってしまいます。
立て続けに死亡事故が起きてしまったことから、和美さんは憔悴してしまいホテルを閉めてしまうことを決断します。
ところが、杉下がハワイに淳平を訪ねて来たことにより意外な事実が明らかになります。
謎解きもおもしろく読みましたが、ハワイの風景の描写も心に残りました。
誉田哲也の黒い羽を読みました。
ヒロインの典子は右の肩胛骨のあたりに羽をもぎ取った痕のような醜い瑕があります。
瑕は痒みを伴い、かきむしると出血してさらに広がってしまいます。
この瑕を治すために人里離れた山奥にある研究施設に向かった典子たちは交通事故に遭い、谷底に落ちてしまいます。
何とか車から脱出して研究施設にたどり着いた典子たち4人は何体もの惨殺死体を目にします。
そして、研究施設に潜む何者かにより一人、また一人と惨殺されていくのでした。
ホラーはあまり好きではないのですが、物語としては面白く読みました。
恩田陸の雪月花黙示録を読みました。
学園ものSFファンタジーでした。
ヤマト国の生徒会長紫風は人望のある美男子。
その従姉妹の萌黄は日本美人そして蘇芳はワイルドな美人、しかも二人とも武術の達人。
紫風のライバルの及川道博はど派手な衣装で登場する軽薄な三枚目。
ところがヤマト国を脅かす「伝道者」の飛行物体がヤマト国に飛来し、事態は風雲急を告げます。
登場人物たちが賑やかに会話をしたり戦ったりするのはどこかで見たアニメのようですがkonnokは恩田陸のこのようなハチャメチャなコメディは嫌いではないです。
恩田陸にはこの物語のように思いっきり妄想の世界を描いてくれた方が楽しめるなあ。
高田郁のふるさと銀河線を読みました。
軌道春秋というサブタイトルがついている、電車を題材にした短編集でした。
気持ちを温かくさせる物語もあれば、アルコール依存症やアルツハイマー症候群を題材にした悲しい物語もありました。
帯に「生きにくい時代です。それでも、遠い遠い先にある幸福を信じていたい」と書かれていたとおり、それぞれの物語には悲しみの先にある希望が描かれていました。
柳原慧のレイトン教授とさまよえる城を読みました。
NintendoDSのレイトン教授シリーズを下敷きにしたミステリーでした。
ゲームの登場人物たちが登場していますが、物語はあまり面白くありませんでした。
装丁はしっかりしていているんですけどね。
万城目学の悟浄出立を読みました。
西遊記の沙悟浄、三国志の趙雲子竜、司馬遷の娘といった脇役にスポットをあてた短編集でした。
主役になれない人たちに勇気を与える物語、というコンセプトで書かれたんだと思いますが、いまいち面白く読めませんでした。
伊坂幸太郎のアイネクライネナハトムジークを読みました。
ごく普通の人たちの恋愛と出会いが描かれた連作短編集でした。
あと書きで伊坂幸太郎が「泥棒や強盗、殺し屋や超能力、恐ろしい犯人などがほとんど出てこない本になりました」と書いていましたが、これはこれでkonnok的には大歓迎です。
いじめられっ子だった女子高校生が大人になって、いじめる側だった女性のクライアントとして再会した話は面白かったのですが、結末が書かれていなかったのでちょっと消化不良です。
結局どうなったんだろうか。
物語の語り口がいいので、読んでいて気持ちがいいです。
東野圭吾の流星の絆を読みました。
兄、弟、妹の兄妹の父親が経営する洋食屋はハヤシライスが自慢の店でした。
しかし、親に内緒でペルセウス座流星群を観に出かけた3人の兄妹が、家に帰ると両親が惨殺されていたのでした。
成長した兄妹はひょんなことから、両親を殺害した犯人と思われる人物にたどり着きます。
その犯人に復讐するために3人は行動を開始するのですが...
最後の真犯人の設定はちょっと無理があるかなあという気もしますが、物語はおもしろく読みました。
宮藤官九郎のいまなんつった?を読みました。
私はテレビは朝ドラしか観ないので、あまちゃんの脚本の人はミヤフジさんという人なんだ、とか思っていました。
ところが、先日読んだ恩田陸の旅行エッセイ集で、旅行にクドカンの小説を持って行く、というくだりをみて読んでみようと思ったのでした。
舞台や映画などの台詞や日常耳にした言葉などを取りあげたエッセイ集でした。
通勤電車の中で読んでいて吹き出してしまうような面白い話が満載でした。
一番ウケたのは「悲しみのキーが1オクターブ違う」という台詞。
クドカンがいい台詞だなあと自画自賛していたら、1オクターブ違うとキーは一緒らしいよ、という指摘をもらって赤面・猛反省したという話です。
これを読んで脚本を書く人は言葉についての感性が鋭いんだなあ、と感じたのでした。
恩田陸の『恐怖の報酬』日記を読みました。
酩酊混乱紀行 イギリス★アイルランド★日本〈ほぼ縦断〉とサブタイトルがついています。
恩田陸がビールを求めてイギリス、アイルランド、生麦(キリンビール)、札幌(サッポロビール)、沖縄(オリオンビール)と旅行してひたすらビールを味わうという旅行記でした。
さらに、恩田陸は強度の飛行機恐怖症とのことで、その恐怖についてもしつこく書かれています。
とは言え、アイルランドのどこまでも続く丘を見ているだけで、手紙を書く青年、手紙を読む少女、空を飛んでいく帆船たち、それを見上げている少年、といったイメージが浮かんできて1篇の物語が書けそうだ、というところが恩田陸の小説家たる所以なんだろうな、と思いました。
まあ、それ以外は飛行機恐怖症でビール好きの飲んだくれのお姉さんだというギャップもいい感じなのですが。
浅田次郎のあやしうらめしあなかなしを読みました。
浅田次郎が幼い頃に聞かされた怖い話、自分の体験などをもとにした怪談短編集でした。
しかし、語られる物語が古い時代のものだったためか、あまり怖く感じませんでした。
池井戸潤の鉄の骨を読みました。
談合はどうしてなくならないのか、というテーマで書かれた小説でした。
主人公の富島平太は中堅建設会社一松組の新人です。
入社4年目の平太は人事異動により本社の業務課に勤務することになるのですが、そこは公共事業の入札を行う、談合課と揶揄される部署だったのでした。
仕事をしていく中でだんだん談合にならされていく平太に、ガールフレンドの萌はそれでいいの?と何度も問いかけます。
最後にどんでん返しがあって、その謎解きもおもしろく読みました。
有力政治家の息のかかった調整役として登場する山崎組顧問の三橋、上京してきて平太や萌の心配をする平太の母親、平太の恋のライバル園田の母親といった登場人物が魅力的で楽しめました。
七尾与史の死亡フラグが立つ前にを読みました。
死亡フラグが立ちましたシリーズの外伝短編集でした。
今回は本宮さんがノストラダムスの大予言による人類滅亡を阻止する話、陣内トオルの友人が「狩猟者」に追われる話、殺人のターゲットになるのになぜか運良く救われてしまう不死身の男の話、陣内トオルの上司ドS編集長の婚活の話、と盛りだくさんです。
都市伝説がテーマのトンデモのシリーズですが、なぜか気に入って読んでいます。
ジョン・ハートのラスト・チャイルドを読みました。
ジョニーは13歳、1年前に誘拐された双子の妹アリッサを探し続けています。
妹が誘拐されてしまったあと、父親は失踪し、母親は薬物依存症になってしまいます。
しかし、ジョニーは自分の信念をまげずにアリッサを探し続けます。
担当警官のハントはジョニーとその母親の助けになりたいと行動していきますが、成果があがりません。
そして、ジョニーの探索の結果、隠されていた事実が現われてきます。
文体がちょっと変で、誰が何をしているのかがすっと頭に入ってこないので読んでいていらいらしました。
訳が悪いのか、もともとの文体が悪いのか。
謎解きはそれなりに面白かったのですが。
ふうかのボードゲームって本当におもしろいの?を読みました。
代表的な定番ゲームをボードゲームを遊んだことのない人に紹介して、感想を書いてもらったというクロスレビュー本でした。
私もボードゲーム会を開催してゲームの紹介をすることが多いので興味深く読みました。
それぞれの人の感想は、なるほどと思えるもの、そうじゃないんだけどなあと感じるもの、いろいろでしたが、自分もゲームを紹介するときには参考にしようと思いました。
中道裕大の放課後さいころ倶楽部5を読みました。
ボードゲーム紹介コミックの5巻目でした。
今回も女子高生3人+留学生1人がボードゲームを紹介しています。
今回はピット、オニリム、エルフェンランド、パンデミックが紹介されています。
自分のゲーム会でも定番ゲームとして準備しておきたいと思ったのでした。
ダ・ヴィンチ編集部編のサイドストーリーズを読みました。
姫川玲子シリーズ、榎本径シリーズ、さよならドビュッシー、天地明察、まほろ駅前シリーズなどの登場人物たちの「一服ひろば」を題材にしたサイドストーリー短編集でした。
元のシリーズも楽しんで読んでいたので、これらの短編もおもしろく読みました。
12編のうち半分は元のシリーズを読んでいないのですが、これを機会に読んでみたいな、と思いました。
七尾与史の死亡フラグが立ちました! カレーde人類滅亡!?殺人事件を読みました。
死亡フラグが立ちましたの続編でした。
今回は偶然を利用して殺人を行う「死神」の他に映像で呪いを送ることが出来る「魔女」が登場します。
魔女の仕掛けた呪いを解除すべく、主人公の陣内トオルと本宮さんは行動を開始するのでした。
荒唐無稽な設定、冗談なんじゃないか思える語り口、だけどつい物語に引き込まれてしまいます。
小路幸也のフロム・ミー・トゥ・ユーを読みました。
一昔前のホームドラマ東京バンドワゴンの8冊目、今回は短編集でした。
本編で語られているエピソードを登場人物の一人を主人公にして短編の形で描いているこのシリーズの読者としては珠玉の1品でした。
青が東京バンドワゴンに連れられてきたとき、紺と亜美のなれそめ、我南人と秋実さんの出会い、藤島が最初に東京バンドワゴンで本を買おうとしたとき、研人とマリーが学園祭のバザーでやった東京バンドワゴン・ワゴン、藍子が花陽を産んだとき、といった本編では触れられているだけのエピソードが短編の形で描かれています。
特に本編ではあまり描かれていない秋実さんのエピソードはおもしろく読みました。
そうか、秋実さんってそういう人だったんだ。
そして秋実さんが家に来たときのサチさんの反応はそんな感じだったんだ。
単行本では10冊目まで出ているこのシリーズ、まだまだ楽しめそうです。
三浦しをんのむかしのはなしを読みました。
かぐや姫、桃太郎などのむかしばなしを題材にした短編集でした。
それぞれの短編が誰かに語りかける一人語りの形式で物語られています。
読んでみた感想としては、形式にこだわるあまり、物語としては面白くならなかったのかな、と思いました。
坂木司の夜の光を読みました。
家庭内に問題を抱えて、苦悩する4人の高校生が主人公の物語でした。
彼らは自分たちの行動をスパイの活動になぞらえて家族から自立するための準備を進めていくのでした。
ジョー、ゲイジ、ギィ、ブッチの4人はゆるい部活の天文部に所属してそれぞれの苦悩を分かち合いながら高校生活をおくっていきます。
泊まりがけの星座観測会でギィが煎れたコーヒーを楽しむ時間が4人がくつろげる時間なのでした。
似鳥航一の下町和菓子栗丸堂3を読みました。
下町和菓子栗丸堂シリーズの3冊目でした。
浅草を舞台に、和菓子屋栗丸堂を継いだ栗田仁と天然系美人葵が活躍します。
今回も和菓子に関する蘊蓄を利用してそれぞれの家族の気持ちのすれ違いを解決していく二人なのでした。
酒見賢一の泣き虫弱虫諸葛孔明を読みました。
友人に勧められて読んだ、諸葛孔明を題材にした小説でした。
konnokは三国志を読んだときにイマイチ面白さが分からなかったので、この小説もちょっと評価は低くなりました。
文章は読みやすいし、面白いかも知れないな、とは思うのですが、知らない人の内輪話を延々と聞かされているような気がしました。
三国志を気に入っている人にとっては諸葛孔明はヒーローなのでしょうから、その裏話的なこの物語は面白いんだと思いますが。
三浦しをんの三四郎はそれから門を出たを読みました。
読書好きを自他共に認める三浦しをんが書いた、新刊案内、中学生向けの読書案内、紀伊國屋書店のPR誌の連載などの本についてのエッセイ集でした。
本に関係しないカルチャーについてのエッセイも収録されていますが、どれも楽しめました。
紹介されている本はそのうち読んでみたいなあ、とは思うものの何しろ冊数が多いので挫折は間違いありません。
三浦しをんのおすすめの100冊なんて公開してくれないかなあ。
似鳥航一の下町和菓子栗丸堂2を読みました。
下町和菓子栗丸堂シリーズの2冊目でした。
前作に続いて和菓子職人の栗田仁と天然系美人の葵は下町のトラブルを和菓子を使って解決していきます。
そんな簡単には解決しないだろう、と思うところもありましたが、キャラクターが立っているので楽しんで読むことが出来ました。
高橋源一郎・内田樹選の嘘みたいな本当の話を読みました。
「ナショナル・ストーリー・プロジェクト」として一般公募した嘘みたいな本当の話を収録した本でした。
それぞれの物語は、恩田陸選の新耳袋コレクションや死ぬかと思ったシリーズに比べるとちょっとパンチに欠けるかなという印象でした。
しかし、巻末の内田樹と柴田元幸の対談で、日本人が物語を書くと欧米人に比べて均質的な物語に落とし込む傾向があると解説されているのは納得したのでした。
ジェフリーアーチャーの追風に帆を上げよを読みました。
クリフトン年代記の第4部です。
今作でも、敵役のペデロ・マルティネスの策略により、バリントン海運のエマ・クリフトンや労働党議員のジャイルズ・バリントンは何度となく苦境に立たされ、さらに最愛の家族を失ってしまいます。
しかし、善意の協力者も現われ、ドン・ペデロに一矢報いることが出来るのでした。
作中にソニーの盛田社長が登場するのですが、日本人というのはこのように見られているんだな、と感心してしまいました。
毎回、ジェットコースターのようにいろいろな事件が起きる作品ですが、また次巻を楽しみにしたいと思いました。
和田竜の村上海賊の娘を読みました。
織田信長が一向宗の大坂本願寺を攻めたときの物語です。
織田信長が城を包囲して兵糧攻めの準備を始めたため、大坂本願寺の顕如は毛利家に十万石の兵糧を要望します。
海路を通って米を運び入れるには当時瀬戸内海を支配していた村上海賊の協力が不可欠です。
毛利家から村上海賊の城に派遣された乃美宗勝と児玉就英の二人は、村上海賊の当主村上武吉から児玉就英が娘の景を嫁に迎えるのであれば協力しよう、という条件を出されてしまいます。
村上武吉の娘の景は悍婦(気の強い女性)にして醜女(目鼻立ちがくっきりしている)、当年20歳、海賊働きの船に乗り込んでは先頭に立って海を駆け回っている女性です。
毛利家がその対応の相談をしていたその時、景は一向宗の門徒と一緒に難波をめざしていきます。
景は大阪湾を支配していた泉州の真鍋家と一緒に織田信長と一向宗門徒の戦いを目にすることになるのでした。
毛利家は十万石の兵糧を積んで淡路島まで船を進めますが、そのまま引き返す予定でした。
ところが、景が独断で一向宗に肩入れをすることにしたため、泉州の真鍋家の船団と毛利家・村上海賊の船団は全面戦争に入ってしまいます。
この物語では上巻で大坂本願寺と織田信長の戦闘、下巻で泉州の真鍋家の船団と毛利家・村上海賊の船団の戦闘が描かれており、臨場感があって引き込まれてしまいます。
それぞれの武将たちは自分の所属する家の存続をめざして戦っているということも解説されているため、当時の武将たちに思いをはせたのでした。
近藤史恵のヴァン・ショーをあなたにを読みました。
タルト・タタンの夢の続編でフランス料理をテーマにした日常の謎ミステリー短編集です。
今作でも、下町のフレンチレストラン、ビストロ・パ・マルを舞台に、三舟シェフと志村料理人、ソムリエの金子さん、ギャルソンの高築たちが謎の推理を展開します。
さらに、三舟シェフがフランスで修行中のときのエピソードも収録されていて、おもしろく読みました。
似鳥航一の下町和菓子栗丸堂を読みました。
親が事故で急死してしまったため、大学を休学して和菓子屋の栗丸堂を継いだ栗田仁。
そこに現われたのは美人だけど会話には天然が入っている、でも和菓子の知識は玄人級という葵。
栗田と葵は近所から持ち込まれる謎を豊富な和菓子の知識を元に解決していくのでした。
よくあるパターンなんだけど、つい引き込まれて読んでしまいました。
米澤穂信のさよなら妖精を読みました。
守屋路行は地方都市藤柴市の高校生です。
守屋と同級生の大刀洗万智が雨の中自宅に帰る途中、外国人の女の子が雨宿りしていました。
それが父親についてユーゴスラビアから日本にきていたマーヤとの出会いです。
マーヤは知人を訪ねて来ていたのですが、その知人は亡くなっていたのでした。
守屋と大刀洗はマーヤを民宿の娘である同級生の白河いずるに紹介し、民宿にマーヤは滞在することになります。
遠く故郷を離れて日本に来たマーヤと守屋たちは短い期間ですが深く交流するのでした。
2ヶ月後、マーヤは紛争が起きてしまったユーゴスラビアに帰って行きます。
その1年後、守屋はマーヤの消息を訪ねてユーゴスラビアに行こうとするのですが...
最後に隠されていた真実が明かされると、それまでの物語に別の側面が見えてくるのでした。
小路幸也の猫と妻と暮らす 蘆野原偲郷を読みました。
蘆野原という隠れ里はあの世に通じていると言われています。
蘆野原一族の長筋の生まれの和野和哉は厄災をもたらすモノを祓う力を持ち、見立ての力を持つ美津濃泉水とともに人々に禍を起こすモノに立ち向かっていきます。
和哉の妻優美子は和哉が厄災をもたらすモノと対峙するときに何故か猫になってしまい、猫の姿で和哉を助けることになるのでした。
穏やかな語り口で異能者の生活と禍との対峙が描かれています。
優美子は男性からみたちょっと古風な理想の女性像として描かれていて、ファンタジーとして楽しむことが出来ました。
三浦しをんのロマンス小説の7日間を読みました。
ロマンス小説(ハー○クインロマンスの類)の翻訳の仕事をしているあかりは神名(かんな)と同棲中です。
ところが、神名が会社を辞めてきた、と告げたことから、あかりは動揺してしまいます。
しかも神名は会社を辞めようと思っていることをあかりには内緒にしていたのに、他の人には相談していたようなのです。
そのストレスから、あかりは原書のストーリーとは似ても似つかない別のストーリーの物語を創作してしまうのでした。
並行して語られる、現実のあかりと神名の物語、そしてどんどん元のストーリーから外れて創作されていくロマンス小説の物語、の二つはどうなってしまうのでしょうか。
杏の杏のふむふむを読みました。
モデル・女優の杏が書いたエッセイ集でした。
私は女性タレントの書いた本などには全く興味がないのですが、本屋で平積みにしてあって手に取ったら村上春樹が解説を書いているので読んでみようと思ったのでした。
杏が自分の好きなこと(歴史好きで歴女のはしり)、モデルの仕事でアメリカやフランスに行ったときの顛末、本好きでラジオの読書の対談番組をやっていること、などなどを書いています。
手書きが好きと言うことでタイトルは自分の字で書いてあるし、かわいい挿絵が描いてあっていい感じです。
見かけによらず、ポジティブに行動する普通の女の子なんだなあ、と親近感を感じてしまいます。
妖怪人間ベムのDVDを借りて観てみようかなあ、と思ってしまいました。
沼田まほかるのアミダサマを読みました。
産業廃棄物の冷蔵庫の中に放置されていた少女ミハルを助けた僧侶の浄鑑は母と一緒にその少女を育てることにします。
しかし、その少女が寺に住み始めた後、集落には凶事が起きるようになってしまいます。
ミハルは亡くなってしまった飼い猫や浄鑑の母が生き返ることを望むのですが...
サイコホラーはあまり好きではないので、評価は低くなります。
アンソロジーの和菓子のアンソロジーを読みました。
坂木司が企画した和菓子のアンソロジーでした。
konnokが気に入っている木地雅映子、北村薫、近藤史恵、坂木司、畠中恵といった作家が短編を書いています。
それぞれの作家らしい切り口で和菓子を題材にした短編が書かれています。
中でも気に入ったのは木地雅映子の糖質の彼女、近藤史恵の迷宮の松露、日明恩のトマどら、畠中恵の甘き織姫でしょうか。
日明恩は初めて読みましたが作風が気に入ったので今度別の本も読んでみようと思いました。
村上春樹の夢を見るために毎朝僕は目覚めるのですを読みました。
あまりインタビューを受けない村上春樹の1997年から2011年のインタビュー集でした。
大人(小説家)が若い人たちに、カルトが提供する悪しき物語に対抗する良い物語を提供出来なかったことについて。
個人的に興味があるのは人間が自分の内側に抱えて生きているある種の暗闇のようなもの。
人間を家にたとえると、地下室のその下に隠れた部屋がある。小説を書くことはその暗く不思議な空間に降りていくようなもの。
作家が物語を立ち上げるときは抱えている毒を処理しなければならない、強い肉体がないと毒に打ち勝てない。
久しぶりに海辺のカフカやアフターダークを読み直してみたいと思いました。
米澤穂信の儚い羊たちの祝宴を読みました。
裕福な家の娘たちが集う「バベルの会」に関連する若い女性たちが主人公のミステリー短編集です。
登場人物たちの悪意が描かれていてちょっと不気味な物語たちでした。
「玉野五十鈴の誉れ」は以前アンソロジーに収録されていたものを読んだことがあって気に入っている物語です。
男の跡継ぎを望む暴君的な祖母に疎まれて、死の一歩手前まで追い詰められてしまう女学生の物語ですが、その女学生の世話をすることになる五十鈴の言動が心に残ります。
二村ヒトシのすべてはモテるためであるを読みました。
女の子が「キモチワルイ」と思う男(そう、あなたのことです)がそれを克服してめきめきとモテるようになる、ということを解説した本です。
とは言いながら、書かれていることはコミュニケーションの重要性、相手の土俵にのること、というような基本的な事柄ばかりでした。
まあ、表現方法はちょっとアレなところはありますが。
何しろ、あの上野千鶴子が解説を書いています。
人生論としておすすめです。
坂木司のウィンター・ホリデーを読みました。
ワーキング・ホリデーの続編です。
夏休みに大和と生活していた進が母親のところに帰ってから、大和はまた進に会うのを楽しみに宅配便ハチさん便の仕事に精を出しています。
冬休み、クリスマス、バレンタインデーの期間でいろいろな事件が起きて大和と進はまた少しずつ親子になっていくのでした。
今回は進の母親由希子も登場し、大和の持っていたイメージとはちょっと違った性格だということがわかってきます。
親子の物語を今回もおもしろく読みました。
三浦しをんの白いへび眠る島を読みました。
古い伝統の島拝島(おがみじま)出身の悟史は本土の高校で寮生活をおくっていますが、夏休みに島に帰ってきます。
島には持念兄弟というしきたりがあり、生まれたときに持念石を持たされて持念兄弟となった光市が港まで迎えに来ます。
今年は荒垣神社の大祭があるので、悟史の妹の日和子は近所の佐和子と奉納の踊りの練習をしています。
まつりの準備にわいている集落で不穏な出来事が発生します。
村のしきたりに対する悟史の揺れる気持ちが描かれています。
伝奇ものとしての味付けもあっておもしろく読みました。
岡嶋二人のダブル・プロットを読みました。
以前出ていたものにいくつか短編を追加した短編集でした。
再度読むことになった短編は懐かしく読みました。
今回収録されたダブル・プロットはミステリーと言うよりはコメディ風味でしたが、このような掌編は好きです。
万城目学のとっぴんぱらりの風太郎を読みました。
風太郎は伊賀の柘植屋敷で忍びとしての修練を受けた忍びです。
しかし、城内での訓練でしくじってしまったため、伊賀の里を追い出され、京の近くのあばら屋に住んでいます。
世は豊臣秀吉が亡くなったばかり。
家康が大坂城を攻め落とす算段を整えつつある時です。
その風太郎に、伊賀とつながりがあるひょうたんの店の瓢六を通じて依頼が舞い込んできます。
高台院様(ねね様)からの依頼でひさご様という公家の護衛をして祇園会に行くことになります。
そこではひさご様を狙っている腕の立つ忍びとの立ち回りが起きてしまうのでした。
その後、ひょうたんのもののけ(精霊)からの依頼とねね様からの依頼で、大坂夏の陣のまっただ中、風太郎は秀頼のもとに届け物をすることになってしまいます。
のほほんとしている風太郎、外国帰りの黒弓、腕の立つ忍び蝉左右衛門、美人で大坂城に勤める常世、女忍び百市、瓢六の店員芥下、ひさご様、敵役の残菊といった魅力的な登場人物たちが活躍します。
忍びの戦闘が描写されていてその中で命を落とす者も多く、万城目学としては新境地だと思いますが、物語はおもしろく読みました。
坂木司の先生と僕を読みました。
主人公の伊藤二葉は田舎から出てきたばかりの大学生です。
小心者でこわがりで極度の心配性ですが、視界を写真のように記憶することが出来るという特技の持ち主です。
そんな二葉がなりゆきで入った推理小説研究会で指定されたミステリーを公園で読んでいると中学一年生の隼人が「僕の家庭教師にならない?」と声をかけました。
成績優秀な隼人は家庭教師などは要らないのですが、母親の要求をのんで家庭教師のふりをしてくれる大学生を捜していたのでした。
田舎のねずみの二葉と都会の猫の隼人のコンビは日常で出会う謎を解き明かしていくのでした。
今回は謎解きはそれほど面白くありませんでしたが、二葉と隼人の掛け合いが楽しく、あっという間に読み終えました。
この本で紹介されていた小説もそのうち読んでみようと思ったのでした。
村上春樹の羊をめぐる冒険を読みました。
内田樹のもういちど村上春樹にご用心で言及されていたので、羊をめぐる冒険を読み直しました。
主人公の「僕」は友人と翻訳の会社を経営しています。
ある日、裏社会のドンの秘書という男性が現われて羊についての情報を開示するように要求します。
その羊は僕の友人の鼠が手紙で送ってきた写真の中に写っていたのでした。
僕はその情報を開示することを拒否しますが、その結果自分でその羊を探すことになるのでした。
僕と完璧な耳を持つガールフレンドの二人は羊を探しに北海道に行くのでした。
内田樹によると、村上春樹の小説は主人公たちが歩哨となって邪悪なものからなんとか自分たちの世界を守る、という構成になっているとのこと。
そのような前提で読めば確かにその通りだけど、村上春樹の小説の魅力はそれだけでは語れないよなあ、と思ったのでした。
東野圭吾のパラドックス13を読みました。
宇宙の観測でブラックホールの崩壊により、P-13と名付けられた事象が発生することが予測されました。
しかし、そのP-13事象でどのようなことが発生するのかは科学者たちにもわからないのでした。
P-13事象が発生したとき、13人の男女がパラレルワールドに飛ばされてしまいます。
彼らはその世界で生き抜くために苦闘していくのでしたが...
読み終えての感想としては、何を主張したいのかよく分からない小説だったなあ、というものでした。
東野圭吾の小説でも外れはあるんですね。
梨木香歩のピスタチオを読みました。
棚という名前で通している女性ライターがアフリカのウガンダに取材旅行に行くことになります。
出発の前には飼い猫の子宮に腫瘍ができてしまったり、アフリカで取材をしていた友人の男性が亡くなったという連絡が来たり、不吉な出来事が重なります。
アフリカの呪術師の取材の中で、棚はナカトという女性と知り合いになります。
ナカトは幼い頃に双子の姉妹のババイレをゲリラの襲撃で連れ去られてしまったのでした。
棚とナカトはババイレの消息を追ってウガンダの中を旅していくのでした。
この物語で描かれているアフリカの現実を思いやると気持ちが暗くなってしまいますが、その中でも人々は明るく暮らしているのでした。
仁木英之の僕僕先生・零を読みました。
僕僕先生シリーズの外伝として王弁が僕僕に世界が始まった頃の話を語ります。
世界を作った老君、最初に作られた3人の神仙、そのあとに作られた神仙たちの物語が語られていきます。
読んだ感想としては、物語になじめないと感じました。
僕僕先生のシリーズは唐の時代の人間たちが活躍する物語なので、仙人が登場してもあまり違和感はありません。
しかし、人間の登場しない仙人たちだけの物語はあまり面白く感じませんでした。
森絵都のあいうえおちゃんを読みました。
「あきすに、あったら、あきらめな」「いんどに、いったら、いんどかれー」といった5・4・4調のかけことばを集めたユーモア絵本でした。
森絵都というとシリアスな作品が多いので、突然こんな本を出してどうしたんだろう、と思ってしまいます。
まあ、それなりには楽しめたのでそれでよかったのですが。
内田樹のもういちど村上春樹にご用心を読みました。
内田樹が村上春樹のファンの立場で、村上春樹論を展開します。
なぜ、村上春樹が全世界に翻訳されて読まれているのか、という解説やエルサレムでの壁と卵のスピーチの解説などは面白く読みました。
文化的雪かきの話や、掃除や料理が重要であること、邪悪な物に対する物語という視点も面白かった。
風の歌を聴けや1973年のピンボールを読んだのはもう30年以上も前だし、この本では重要な小説として取りあげられている羊をめぐる冒険も当時読んだときはイマイチよくわからない小説だというイメージだったので、村上春樹の小説を初めからもういちど読み直してみたいなあ、と思ったのでした。
仁木英之の鋼の魂を読みました。
僕僕先生シリーズの6作目です。
僕僕先生と王弁たちは唐と吐蕃という大国に接している南詔を旅していきます。
ここには、空に聳えるほどの大きさの鋼の勇者が眠っているという伝承があります。
その伝承の鋼の勇者を探しに胡蝶や吐蕃のスパイが暗躍するのでした。
その鋼の勇者は僕僕の知り合いである神話の時代の勇者を模したもので湖の底に沈んでいるのでした。
僕僕たちは湖の底に降りて、その鋼の勇者の魂に触れるのでした。
今回もいろいろな登場人物たちの活躍を楽しみました。
柳内たくみのゲート外伝1を読みました。
銀座に他の世界との門が開いてしまい、自衛隊が他の世界で活躍するという「自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり」ゲートの外伝1南海漂流編でした。
今回は伊丹と帝国の皇太女ピニャが帝国と敵対するテュマレン王国に使節として向かうことになりますが、船が座礁したため伊丹とピニャは漂流してしまいます。
彼らがたどり着いた場所はマーメイドたちが生活する村でしたが、皇太女ピニャを付け狙う軍隊に追われることになります。
そして、ピニャの副官ハミルトンが用意した危険な酒が原因で大変なことが起きてしまうのでした。
オタク趣味だけど、有能な自衛官伊丹の活躍を今回も楽しみました。
ピエール・ベルロカンのロジックのパズルを読みました。
20年前に出版された論理パズルが100問収録された本でした。
収録されているパズルは英文字の組合わせのパズル、絵の共通点を見つけるパズル、マスターマインド、数の計算のパズル、三段論法のパズル、推理パズルといったものでした。
この中には数独やカックロのように最近開発されたパズルもないし、リアル脱出ゲームの問題のように考え込まれたパズルもありません。
さらに、ウボンゴシリーズを筆頭とするボードゲームのパズルの楽しさを知ってしまうと、ここに出題されている問題は色あせているように感じられます。
パズルのような楽しみについても20年で大きく進歩しているんだなあ、と思ったのでした。
坂木司のワーキング・ホリデーを読みました。
ホストをしている沖田大和のところに大和をお父さんと呼ぶ小学生の進が訪ねてきます。
昔つきあっていた由希子の子供だったのでした。
大和は夏休みを進と暮らすためにホストから宅配便の配達の仕事に転職して進と生活を始めます。
級友からお母さんみたい、と言われている進は家事もできるしっかり者で、職場にも弁当を作って差し入れてくれたりします。
進と新しくできた友達たちが起こした事件を大和が解決したりして進と大和の絆も強くなっていきます。
しかし、夏休みが終わる日、進は母親のところに帰って行ってしまうのでした。
今年も、面白そうな本を探して読んでいきたいと思います。
そしてなるべく本を選ぶときに参考になるようなコメントを記録していきたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。