2007年に読んだ本


2007年12月29日

佐藤正午のカップルズを読みました。
タウン誌の編集長を妻に持つ、地方都市に住む中年の作家が主人公の短編集でした。 主人公が聞いた噂を作家らしい取材という方法で検証していくという物語でした。 それぞれの噂の主人公たちが人間くさい物語を紡ぎだしていて、面白く読みました。 短編のいくつかは主人公が妻と出会い付き合い始めるところとも関連していて、こういうところも佐藤正午らしいなあ、と思いました。
とは言え、「カップル」の浜田君や「食客」の片岡君の物語は、小説だからふんふんと読んでいますが、普通の人だったらありえないだろう、と思ってしまいました。 私はやはり頭が固いのかなあ、と思ってしまいます。
一番気に入った短編は「輝く夜」ですね。 今は女優になってしまった、高校時代付き合っていた女性との一夜の出来事を記憶している男の人の物語です。 私には経験のない、高校時代の胸のときめくような思い出を一生心の中に暖めていける人生っていいなあ、と憧れてしまいます。


2007年12月25日

奥田英朗のイン・ザ・プールを読みました。
この本は本屋で見かけて気になっていたのですが、「こいつ、本当に医者か!?」というコピーと水の中に浮かぶ乳児の表紙から、ずっとサイコホラーのような小説だと思っていました。 ところが、読んでみると、常識ハズレの変な精神科医とこれまた変な患者たちの物語でした。 強迫神経症の患者たちの面白くも大真面目な症状と、それを変な方法で解決してしまう伊良部医師の治療方法がマッチして面白い物語になっています。 konnok的にはこの伊良部医師に自分の性格と同じものを感じて嬉しくなってしまいます。
まあ、こんな小説を読んで喜んでいるようだと、本格的な精神分析の知識からはどんどん離れていってしまうんでしょうけどね。


2007年12月19日

D.R.クーンツの雷鳴の館を読みました。
交通事故の昏睡から目覚めた女性に、若いころの恐怖の体験がなぜか再現されてしまうという物語でした。 この物語のトリックは最初に思いつくのですが、一般的な感覚ではコスト的に合わないのでありえないんじゃないかなあ、と思って読んでいました。
最初は体が動かないのですが、それが回復して少しずつ行動範囲が増えてくると、それに伴っていろいろな恐怖の体験が待っています。 クーンツの物語は息もつかせずに展開していくので、語り口に引き込まれて一気に読んでしまいました。
最後にハッピーエンドになるのですが、この点だけはちょっとご都合主義的ではないか、と思ってしまいました。


2007年12月17日

グレン C.エレンボーゲン編の星の王子さまと野菜人格 卓越した心理療法家のための参考書を読みました。
友人のおすすめということもあり、表紙に「注意 本書を読むと笑いが止まらなくなることがあります。また、気分が高揚することがあります。」と書かれていこともあり、期待して読んでみました。
読んでみた感想としては、内容が高度すぎてちょっと面白さが感じられませんでした。 卓越した心理療法家向けということで、実際に心理療法を行っている人だったら面白いと感じるのかもしれませんが、心理学について本で聞きかじりの知識しかないkonnokとしては、ちょっと首をかしげてしまいました。 ジョークが米国の常識をベースにしている(らしい)こともそう感じた理由の一つかもしれません。


2007年12月14日

藤島康介のああっ女神さまっ 小っちゃいって事は便利だねっを読みました。
ああっ女神さまっの別冊でした。 古本屋で105円だったのでつい買ってしまいました。 ウルドが小さくなってねずみさんと一緒にいろいろなことを起こすというギャグの4コママンガでした。 かわいい女神たちのいつものギャグが炸裂していて楽しめました。
ところで、これには英訳がついていました。なぜなんでしょうね。


2007年12月12日

京極夏彦の狂骨の夢を読みました。
今回も面白く読みました。 でも、話の始まりが全て伝聞なので物語の骨組みがわかりにくかったということや、京極堂が始動するのが後半だったので、憑き物落としがイマイチだったということで、ちょっと満足度が低いですね。 また、数百年にわたる怨恨というのもちょっと実感がわかないので、物語にのめりこみにくかったと思います。
シリーズの次の作品の鉄鼠の檻はmixiの友人のおすすめなので、次に期待、というところです。


2007年12月10日

畠中恵のおまけのこを読みました。
しゃばけシリーズの4冊目の短編集でした。 今回は単純な謎解きだけでなく、妖したちからも見放されている妖怪の話や、厚化粧が止められない娘さんの心を解きほぐす話、そしておいらんの世界の娘の心の不条理の話など、人の心の深みにからむ物語が面白く読めました。
最後は一匹の鳴家(家鳴り)の冒険譚でした。 友人の日記に書いてありましたが、この物語の鳴家がかわいいく感じられて、ストラップがほしくなりました。 応募してみようかなあ。
そうそう、投扇興が題材に使われていたので、ゲーム好きとしてはちょっと嬉しくなりました。


2007年12月3日

長野まゆみのよろづ春夏冬中を読みました。
春夏冬で「あきない」と読ませます。 この世とあの世の境界を夢を媒体にして描いた短編集でした。 亡くなってしまった人が生きている人のところに現れる、夢を見ていた人が自分は死んでいることを知る、というような物語でした。
ところが、そこにホモセクシャルの味付けされていたので、konnokとしてはそれぞれの物語が汚らしく感じられて楽しめませんでした。


2007年11月30日

小野卓也のドイツゲームでしょう!を読みました。
先日のテーブルゲームフェスティバルで知り合いが売っていました。 ドイツの4大ゲーム賞の各年の受賞作をそれぞれ簡潔に紹介した本でした。 知っているゲームや知らないゲームがわかりやすく紹介されています。 値段が高めなのですが、現在売られている主要なゲームやゲームの作者が簡潔に紹介されているので、ボードゲームの薀蓄が語れるようになるかも。
この本を読むと、ボードゲームがポピュラーになってどこでも遊べるようになるといいのになあ、と思ってしまいます。


2007年11月29日

石田衣良ほかのオトナの片思いを読みました。
11人の作家がオトナの片思いを描いた短編集でした。 それぞれの持ち味で、若くはないけど恋をしてしまうオトナたちが描かれています。 若いころのようにしゃにむに求めることはないけど、心の奥にともった暖かさが嬉しい、という物語たちでした。 一つ一つの短編に味とコクがあって、バイキングでいろいろなおいしい料理をつまみ食いしたような満足感がありました。
一番気に入った物語は読みくちのさわやかだった栗田有起の「リリー」でしょうか。
もう、恋なんてどこかに忘れて仕事に没頭しているシングルの女性が、代理で納品に来た業者の男性に恋をしていることを知る。 若い頃から男性に恋をすると体調が悪くなる体質だったのでした。 でも、そんなことは口にも出さず過ごしていくんだけど、納品の社員が復帰してその男性が来なくなるということを知る。 ところが...


2007年11月27日

奥田英朗のサウスバウンドを読みました。
元過激派の父と元過激派の母を持った小学生とその妹の物語でした。 東京の中野で生活していた一家は、居候していた過激派の父の仲間の逮捕をきっかけに、沖縄の西表島に移住して掘立て小屋にすむことになってしまいます。 東京と沖縄の生活のギャップに戸惑う主人公たちが面白おかしく描かれていきます。
元過激派の父という設定ですが、世間の常識にとらわれない父親と母親が魅力的で、あっという間に読み終えてしまいました。 エンディングがちょっとおざなりかな、という感じがしましたが、全体を通して爽快感のある楽しい物語でした。
昔、村上春樹のエッセイで「高校のときの同級生の女の子は学生運動家と結婚したらしい、活動家との結婚生活とはどのようなものなんだろう」という記述があって、心に引っかかっていたのですが、こんな結婚生活だったらいいよなあ、と思ったのでした。


2007年11月22日

ゼナ・ヘンダースンの血は異ならずを読みました。
恩田陸が常野物語を書くときにインスピレーションを受けたというピープル・シリーズの2冊目でした。 宇宙船で地球に不時着した、超能力を持つ異星人たちが、人間の世界の片隅に隠れて生活しているという物語でした。 今回はこれらの人々が崩壊する母なる星を脱出するときの物語も描かれていました。 物語としてはそれなりに面白く読みました。
ところが、原作が悪いのか訳が悪いのかわかりませんが、読んでいて物語がすっと頭の中に入ってきません。 私は通勤電車などで本を読むので、15分単位くらいにぶつ切りで読んでいます。 物語がすっと頭に入ってこないと、読み始めたときに前の物語を思い出す必要があるのでちょっと不満でした。


2007年11月19日

奥田英朗のマドンナを読みました。
中年の課長さんたちのユーモアとペーソスあふれる短編集でした。 私もほぼ同じ立場なので、同感するところもあって、面白く読みました。
部下になった美人社員に片想いしてしまう課長、息子がダンサーになりたいというので何とか説得しようとする課長など、いろいろな場面が描かれています。
これらの物語の中に出てくる奥さんは性格が可愛いし、登場する上司や部下などの女性たちもみんなやさしくて魅力的なのが現実とは違うなあ、と感じてしまいました。 私の場合は、怖いカミさんだし、怖い女性の上司や怖い女性の部下が多かったので、ことさらにそう感じるのかもしれませんが。
最後の短編に登場するおじいさんはちょっとかっこいいと感じました。 私も会社をリタイアしたらこんなおじいさんになりたいなあ。


2007年11月16日

サイトウアキヒロのゲームニクスとは何かを読みました。
なぜ、テレビゲームは面白いのか、子供たちをとりこにするテレビゲームの面白さが分析されていました。
(1)直感的なインターフェース (2)マニュアルなしでシステムが理解できる (3)はまる演出と段階的な学習効果 (4)ゲームの外部化
単純に技術的に優れていてもこのような考慮がされていないゲームは淘汰されていく、という主張でした。 これは、ゲームだけでなく他のパッケージプログラムにも適用できる原則ではないかな、と思ったのでした。


2007年11月15日

上橋菜穂子の虚空の旅人を読みました。
精霊の守り人シリーズの外伝で、ちょっと大きくなったチャグムが南隣のサンガル王国で活躍する物語でした。 この物語でもこの世と並行して存在しているナユグが物語の重要な舞台になっています。
チャグムはサンガル王国の皇太子の即位の式典に招かれます。 そして、海の向こうからサンガル王国を攻め落とそうとするタルシュ帝国の陰謀や、呪術使いの呪いがサンガル王家の人たちを危険にさらします。 そこで、チャグムとシュガが活躍してサンガル王家の人たちを助けるのでした。
サンガル王国の王族たちも魅力的に描かれていて読んでいて気持ちのよい物語になっています。 この経験を通してチャグムもまたひとまわり大人になったのではないでしょうか。


2007年11月13日

J.P.ホーガンの星を継ぐものを読みました。
月面で宇宙服を着た死体が見つかったが、これは地球のどの国にも属していない人間だった。 この死体は5万年前に死んでいたのだった。 彼はどこから来たのか。 そして、木星の衛星ガニメデでは全く違った宇宙船が発見された。
この小説はSFなのですが、ミステリー仕立てになっています。 少しずつ情報が解明されていく中で、いろいろな仮説が出ます。 その中で定説となるものが、新たな発見によってまた揺り戻されていく、という論理の組み立てがすばらしい。
ミクシィの友人のおすすめで読んだのですが、確かに面白かった。おすすめです。


2007年11月9日

村山由佳の天使の梯子を読みました。
天使の卵の続編で10年後の物語でした。 夏姫と歩太も大人になって生活していますが、いまだに10年前の心の傷を負っているのでした。 その夏姫と付き合い始めた年下のボーイフレンドの視点で物語が語られていきます。
罪の意識を背負って生きてきた元恋人たちの再生の物語が村山由佳らしい語り口で語られていきます。 年下のボーイフレンドの嫉妬の感情がほほえましく感じました。
そう言えば、天使の卵は映画化されたんでしたね。 今度ビデオレンタル店で借りて観てみようかな。


2007年11月6日

村上龍の半島を出よ(下)を読みました。
下巻はいくつかのテーマでの物語でした。 上巻から続く北朝鮮のコマンドの物語、占領された福岡市民のそれぞれの都合と行動の物語、イシハラ部隊とコリョの血なまぐさい戦闘シーン、ほとんど登場しない無能な日本の指導者たち。
九州出身の村上龍が福岡市をイシハラ部隊に託したのは、村上龍の日本の政治家に対する深い絶望を感じました。 蒙古が来襲したときには神風が救ってくれた九州地域を、この物語では既成の枠に入れなかったイシハラ部隊が救うという物語に奇妙な符合を感じてしまいました。
実は私はほとんど村上龍の小説を読んでいません。 記憶に残っているのは20年以上前に読んだコインロッカーベイビーズと最近読んだ五分後の世界くらいです。 どちらの小説も、半島を出よと同じような暴力とそれに対峙する人間たちが描かれていて妙に印象に残っています。 後書きに「13歳のハローワーク」チームが「半島を出よ」チームとなって取材や資料の手配を行ったと書いてあったのが面白く感じました。


2007年11月1日

村上龍の半島を出よ(上)を読みました。 上巻を読み終えて、下巻を読み始めたところですが、とても印象が強かったので感想を書くことにしました。
北朝鮮の特殊部隊が福岡を占領して独立宣言する、という物語でした。 そして、そのような重大事件であるにもかかわらず、日本政府はなんら有効な手を打てないまま事態はどんどん悪化していき、北朝鮮のテロリストたちに有利になっていくのでした。
読んでいるうちに恐怖のために背筋がぞわぞわとしてきます。 毎日生活しているこの同じ時間の中で、実際に福岡が北朝鮮に占領されていると思えるような現実感があります。
多分、霞ヶ関あたりにいる官僚たちの感覚では、そんなことがあるはずがない、ということになるのでしょうが、門外漢から見るとその通りになってしまうのではないか、と不安になってしまいます。 失敗知識データベースなどを読んでいると、経験したことのない未知の事態に遭遇すると正常な判断の感覚を失ってしまうこともよくあることだからです。
村上龍の小説では五分後の世界も同じように戦争が続いている世界を描いた小説ですが、パラレルワールドの中なので自分とは関係のない世界だ、と思うことができました。 しかし、この小説は来年にでも起きてもおかしくない戦慄の世界が描かれているのでした。
マルチプレーヤーの戦略ボードゲームでは、国を富ませるには経済を発展させるか軍備を拡張するかの2つの選択肢があることが多く、軍備を拡張するのは経済を発展させた他国を侵略するのが目的です。 マクロ的に陸軍のコマを1個他国に移動させて占領する、と宣言することは、実際の場所ではこの小説のような事態が発生しているんだよなあ、と考えさせられてしまいました。


2007年10月29日

上橋菜穂子の夢の守り人を読みました。
精霊の守り人シリーズの3巻目で、今回はトロガイ師のエピソードでした。 あのトロガイ師にも若いころがあったということが、しかも夢の中ではきれいな母親だったということが物語られていきます。 バルサはタンダより2歳年上だったんだ、というのがちょっと面白く感じました。
とは言え、前2作に比べるとちょっとパワー不足に感じてしまいました。 続編に期待ですね。


2007年10月26日

石田衣良の東京DOLLを読みました。
完璧な人形のような女性と成功したゲームクリエータとの恋物語でした。 東京が舞台のゲームというとkonnokとしては女神転生シリーズを連想してしまいますが、そこに登場するサイバーな巫女をイメージさせるような女性が石田衣良らしく魅力的に描かれていました。 大人のためのファンタジーといった趣の物語でした。


2007年10月24日

奥田英朗の最悪を読みました。
登場する3人の主人公たち(零細な鉄工所の社長、セクハラを受ける女子銀行員、やくざに睨まれるチンピラ)が泥沼にはまっていく様がリアルで、読み続けるのが怖くなってしまうような小説でした。 私は一番年齢の近い鉄工所のおじさんに感情移入して読んでいましたが、どんどん底なしの深みにはまっていく様子が他人事とは思えませんでした。
以前読んだLASTのあとがきで、石田衣良が不幸な登場人物を楽しんで書いています、と書いていたのを思い出して、そういう気持ちで読み続けました。
終盤で物語が急展開します。 客観的に見れば、これまでよりももっと悪い、最悪の状況になってしまっているのですが、なぜか今までの状況から逃げ出せてほっとしてしまっている、自分に気がついてしまいました。
konnok的にはとても面白く読みました。 奥田英朗のほかの本も読んでみようかな、と思ってしまいました。


2007年10月22日

アーシュラ・K・ル・グインのアースシーの風を読みました。
ゲド戦記の5巻目でした。 この巻ではゲドは過去の人になっていて、魔法使いの力もなくなってゴントで静かに暮らしています。 レバンネンやテナーやテハヌーが活躍して、シリーズ全体を通しての解決編となっています。 物語としては面白く読みました。
ところが、ゲド戦記の初期3部作を読んだのは20年くらい前だったので、初期3部作の物語の細かいところは忘れてしまいました。 初期の作品に登場していた名前が出てきてもおぼろげにしか思い出せない、という状況でした。
これは、初期のゲド戦記から外伝も含めて通して読み直さないといけませんね。


2007年10月18日

上野千鶴子のナショナリズムとジェンダーを読みました。
太平洋戦争などの歴史を現代に生きる我々がどう評価するか、ということは、とりもなおさず現在の我々の生き方を規定する、という主張の本でした。 ジェンダー論は難しくてよくわかりませんが、歴史をどう判断するかということがそのまま現在の自分の生き方にはねかえってくる、という主張は納得できました。
従軍慰安婦問題についても、これをどのような問題ととらえ、どのように歴史を再評価するか、という論理の枠組みが重要だと思いました。


2007年10月15日

米澤穂信の夏期限定トロピカルパフェ事件を読みました。
春期限定いちごタルト事件の続編でした。
小佐内ゆきさんの正体が暴露されてしまいます。 書評では、後味が悪い、という感想が多かったのですが、確かにそう感じる人は多いと思います。 でも、やっぱりそういう人だったんだ、と納得するか、いや、そんなはずはない、と不条理感を感じるかは読んだ人それぞれでしょうが。
とは言え、私は結構面白く読みました。 あの小佐内ゆきさんに手を出すなんて、小鳩君もチャレンジャーだなあ。 そして、最後に見せた小佐内さんの涙はなんだったんだろう。


2007年10月12日

恩田陸の蛇行する川のほとりを読みました。
3つの章からなる、魅力的な少女たちの物語でした。 3つの章がそれぞれ登場人物の一人の視点で描かれています。 10年前の、登場人物たちがまだ幼い子供の頃に起こった事件とはどのような事件だったのか。 そして最後に事件の真相が語られます。
少女たちの想いや行動が淡々と描かれていて引き込まれてしまいました。


2007年10月3日

江國香織の東京タワーを読みました。
大学生の男の子と年上の夫もいる女性との恋愛を描いた小説でした。 恋はするものではなく、落ちるものだ、という主人公の大学生の独白がしっくりくる物語でした。 詩史という大人の女性がとても魅力的で引き込まれそうでした。
恋というものは普通は透明なきれいなものですが、ある種の恋は成就したとたんに腐臭を放ちはじめます。 そして、その腐臭が香ばしく感じられてしまうところが麻薬的なんですね。


2007年10月1日

岡田斗司夫のいつまでもデブと思うなよを読みました。
紀伊国屋に平積みされていたのでつい買ってしまいました。 内容はレコーディングダイエットというダイエット法の紹介でした。 著者はダイエットに成功してテレビにも出ていた、ということなので効果があるかもしれません。
通常、ダイエット本は最初にダイエット法の理論的な根拠が説明されているものですが、この本では違いました。 現代の日本は、見た目が一番重要視される社会であり、デブであるということはそれだけで「デブのキャラ」という烙印が押されてしまっている、という警告から説明が始まります。 私は見た目を気にしない人間なので、このお話自体はとても面白く読みました。
で、テーマのダイエット法ですが、これは自分が食べたものを執拗に記録することにより、自分の食生活がどれだけデブを維持する方向に傾いているか、ということを認識する、というダイエット法でした。 孫子の敵を知り己を知れば百戦して危うからず、という格言を連想しました。
基本的な部分はオーソドックスなカロリー計算を適用しています。 そして、無理をしてダイエットしてもリバウンドするだけである、楽にできるようにダイエットをしなければならない、ダイエットは始めることより継続することが重要なので「頑張る」ことは結果的に失敗につながる、などの納得できる主張がされています。
私はどちらかというと、こだわりのない性格なので、このダイエット法は向いていないと思いましたが、粘着質の性格の人は効果があるんじゃないかなあ、と思いました。


2007年9月28日

京極夏彦の魍魎の匣を読みました。
箱に詰められた美少女がきっかけで、登場人物がつぎつぎに魍魎に魅入られて彼岸の境界を越えて行ってしまいます。 禍々しい物語で、京極堂の薀蓄を延々と聞かされる物語でしたが、今回も楽しめました。 そして、今回は木場修の物語でした。 脇役の役どころと思える木場修の物語が語られていきます。
ところで、この物語を読みながら私が連想していたのは...
私はテーブルトークRPGを遊んだことがなかったのですが、昨年はじめてクトゥルフに誘ってもらいました。 物語は高尾山の奥にある怪しい寺院が舞台で、秘密の儀式が行われている、という設定のシナリオでした。 マスター(クトゥルフなのでキーパーですかね)の、だちゅらさんのお話とおどろおどろしい呪術の資料を見たり聞いたりしながら、仲間と一緒に冒険していくというお話でした。 なぜか、このお話を読んでいると、RPGに参加していたときに感じた感覚と同じ感じを持ったのでした。


2007年9月27日

きたみりゅうじのパソコンマナーの掟を読みました。
妹がきたみりゅうじのSEシリーズを読んで面白がっていたので、パソコンを使うときの注意事項をまとめた本をまた買ってしまいました。 常識的なパソコン使用時の「べからず!」集でした。 私もパソコン使用のプロのはずなのですが、書かれているマナーの内容には再認識させられてしまうものもありました。
初心忘るるべからず、ですね。


2007年9月25日

山田宗樹の嫌われ松子の一生を読みました。
友人がお薦めしていたので、読んでみました。 ところが、どうもこのお話は私は肌が合わないようで、あまり面白く感じませんでした。 具体的にいうと、松子のエピソードが絵空事のように感じられて実感がわかないため、感情移入できなかったのです。 普通の人はこんなことしないだろう、というような物語の展開に感じられてしまいました。
韓国ドラマの冬のソナタのときも友人がビデオを貸してくれたのですが、途中のヒロインの行動に怒りを感じてしまって、友人にちゃんと御礼をせずにビデオを返してしまい、友人関係が破綻の危機に面したということもありました。
小説の好みもゲームの好みと一緒で人それぞれですから、難しいものですね。


2007年9月19日

リリー・フランキーの誰も知らない名言集イラスト入りを読みました。
友人がお薦めしていたので、読んでみました。 リリー・フランキーが出会った、トホホな人たちのエピソードを「お言葉」として集めたものです。 セックスの話、排泄物の話、切羽詰った話、エロな話、汚い話、シモネタいっぱいのエッセイでした。 私はシモネタも嫌いではないので、とても面白く読んだのですが、普通の常識人におすすめするか、というとちょっと躊躇してしまいますね。


2007年9月14日

石田衣良の反自殺クラブを読みました。
池袋西口公園物語の5冊目でした。 今回もちょっと不器用なんだけどクールなマコト君の活躍が楽しめます。 4つの物語の中では、最後の反自殺クラブが気に入りました。 現代は心を病む人が多くなっている時代なんでしょうか。
池袋は牛に引かれてサンシャインに行ったり、重いカバンを持って袋小路に行ったりしているのですが、西口はほとんど行きません。 去年、わざわざ西口公園を見に行ったことを懐かしく思い出しました。


2007年9月13日

米澤穂信の春期限定いちごタルト事件を読みました。
小市民の小鳩君とケーキ好きの小佐内さん、高校生二人が主人公の殺人のないミステリーでした。 小佐内さんが小柄ということから、岡島二人のとってもカルディアみたいな物語かと思ったら、いえいえそんなことはありませんでした。
小佐内ゆきさんと双子の妹のまきさんの落差を楽しむ物語だったんですねえ。 私は、表面はおとなしそうに見えるけど、実は...という女性の登場人物に惹かれてしまうので、とても気に入ってしまいました。 続編も出ているようなので早速注文しないと。


2007年9月11日

恩田陸の木曜組曲を読みました。
それぞれ性格の異なる血縁関係にある5人の女性たちが、4年前に亡くなってしまった偉大な小説家であった大叔母をしのんで集まるところから物語が始まります。 その大叔母は殺されたのか、自殺だったのか、そしてまた動機は、方法は。 女性たちが4年前を思い出しながら会話をしていく中で、次々と新たな事実が明かされていきます。
恩田陸らしく魅力的な女性たちの物語が紡ぎだされながら、謎解きされていきます。 久しぶりに恩田陸を堪能しました。


2007年9月7日

倉橋由美子の老人のための残酷童話を読みました。
大人のための残酷童話の続編でした。 童話をモチーフとした倉橋由美子の世界が描かれていきます。 物語の展開や描写の仕方が倉橋由美子らしくて、ひさしぶりに堪能しました。
「天の川」などの女性の描き方も倉橋由美子らしくてエロティックな中に怖さも描かれていて嬉しくなってしまいます。 倉橋由美子も既に鬼籍に入り、新しい小説が書かれることはないんだなあ、と思うと一つ一つの物語を大切に読んでいきたい、と思ってしまいます。


2007年9月5日

北尾トロの怪しいお仕事!を読みました。
危ないお仕事!の前作で、この本が気に入ったので読んでみました。
読んだ感想としては、着眼点やレポートはそれなりに面白かったのですが、踏み込みが足りないなあ、と感じました。 取材した相手は自分とは全く違う世界の人だ、という感覚がそこかしこにあって、危ないお仕事!のように取材した相手の立場での記事になっていませんでした。
書かれたのは10年前のパソコン通信の時代なので、現在のインターネットが普及している状況とはまた違った前提で取材されているということも違和感を感じる理由の一つだと思いますが。


2007年9月3日

吉田太一の遺品整理屋は見た!を読みました。
誰にも看取られることなく孤独のうちに亡くなってしまった人、自殺してしまった人、その人たちの死後、時間の経過した遺体と亡くなっていた部屋の後片付けを職業とする著者の46のエピソード集でした。
いろいろな依頼人がいます。当惑している人、悲しんでいる人、遠い親類の後始末をしなければならなくなって怒っている人、身勝手な人、そして親切な人。 いろいろな人間模様が伝わってきます。 私もいつかは死ぬんだから、ちゃんと後始末ができるようにしておかないといけないなあ、と思いました。 現代人は、自分はいつかは死ぬということに目をつぶって考えないようにしています。 なので、誰かが死んでしまうとそれに対する対応が自然体でできないのです。 それはこの社会が病んでいる証拠ではないか、と思ってしまいます。
この本は上野千鶴子のおひとりさまの老後の中で紹介されていたので読んでみたのですが、遺品整理屋は見た!を読んでいるにもかかわらず、あのような能天気なエッセイを書いたということは、確信犯だな、と思ってしまいました。


2007年8月30日

リリー・フランキーのボロボロになった人へを読みました。
大事なものを喪失してしまった人が希望を求めて進んでいく、というテーマの6編の短編小説集でしたが、konnokとしては、全く面白く感じませんでした。
ストーリーはひねってはあるけどそれだけだし、文章がうまいわけでもない、結末の必然性もよくわからない。 女性の性が描かれているけど、だからどうなの? ということで、いいところがありませんでした。


2007年8月29日

長野まゆみの夏期休暇を読みました。
友人がおすすめしていたので、読んでみました。 長野まゆみの描く少年たちの夏休みの物語でした。 暑い夏休みを過ごしていく少年たちと少女の静謐で透明な物語がやわらかい文体で語られていきます。
ずっと昔に亡くなったはずの少年の兄が現れて、物語にアクセントをつけていきます。 そして、暑い夏の物語の最後に、ひやりとするエピソードが待っています。 エンディングは涼しげにさびしげに語られます。
長野まゆみは少年たちの禁断の愛情を描くだけかと思っていたら、このような宝石のような小説も書けるんだなあ、と見直してしまいました。


2007年8月27日

上野千鶴子のおひとりさまの老後を読みました。
女性でシングルを通した人の老後はどう生活していけばいいのか、ということを論じた本でした。 結婚していようがいまいが、最後はひとり、という強い論調で書かれていました。 そこまで、肩肘張ってシングル女性であることを肯定しようとしなくても、と思ってしまいました。 読んでいて痛々しさを感じてしまいました。
お一人様の老後については、前に読んだ香山リカの老後がこわいに書かれている通り、経済的な問題が影を落とします。 この本に書いてあるようなバラ色の老後を迎えられるのは上野千鶴子のようにほんの一握りの女性だけじゃないのかなあ、と思っています。 まあ、先のことはわからないので、淡々と今できる事をしていくだけだよなあ、と自分としては納得しているのですが。


2007年8月23日

上橋菜穂子の狐笛のかなたを読みました。
呪者に操られている妖孤と人の心を読むことができる少女の物語でした。 物語の設定や登場人物は良く描かれていて、物語の語り口もいいのですが、結末がいまいち納得できませんでした。 感情移入して読み進んでいくと「あれ、こんな結末なの? それはないんじゃないの」と思ってしまいます。
恩田陸のSFと同じで、女性の小説家にはありがちな欠点なんだろうか、と想像してしまいます。


2007年8月21日

K.ブランチャードとS.ボウルズの1分間モチベーションを読みました。
「やる気と業績を伸ばす3つの秘訣」というサブタイトルがついていました。 読み物としてはそれなりに面白かったんですけどね。 本の内容としては、リスの精神(仕事にやりがいを持つ)、ビーバーの行動(セルフコントロールしながら仕事を達成する)、雁の才能(励ましあうことにより心のニーズを満たす)というのが3つの秘訣です。
でも、この程度の読み物を読んだだけで仕事のやり方が飛躍的に改善するということはなかなかないんじゃないかなあ、と思ってしまったのは向上心がないからでしょうかね。


2007年8月20日

北尾トロの危ないお仕事!を読みました。
法律に触れるすれすれのところで仕事をしている人たちのレポートでした。 いろいろな仕事があるものだなあ、と感心させられます。
10例の職業の紹介の中で特に面白く読んだのは、お色気を売り物にしてしっかり稼いでいる主婦のお仕事とダッチワイフ製造販売の社長さんの話でした。 持ち前の色気や技術力を元手として創意工夫を重ねながら、コストと売上をしっかり管理して利益を上げていくそのしたたかさには脱帽してしまいます。 よくニッチな産業がねらい目という言い方をしますが、ここまで徹底できればいいなあ、と思いました。


2007年8月9日

上橋菜穂子の闇の守り人を読みました。
精霊の守り人の続編でした。 今度は、女主人公の生い立ちが織り込まれていましたが、やはりメインのテーマは少年が周りの欺瞞と対立しながら成長していく過程を描いていくという、ファンタジーの王道のストーリーになっていました。 前作に続いてパラレルワールドの存在が物語のキーになっているのも嬉しいですね。 物語としてはとても面白かったのですが、まあ作者が本職の小説家ではないようで、語り口と物語の描写にはちょっと不満のところもありましたが。
ところで、この物語を読んだ人は女用心棒バルサにどんなイメージを持っているんでしょう。 私はなぜか、元女子バレー選手の三屋さんの選手時代のイメージで固定してしまいました。


2007年8月9日

上橋菜穂子の精霊の守り人を読みました。
子供を対象としたファンタジーでした。 百年に一度選ばれた少年にパラレルワールドに住む水の精霊の卵が宿る。 この水の精霊を無事孵すことができなければ、この地は日照りに見舞われ旱魃の被害が出てしまう。 その少年を守るために女用心棒が雇われて見えない敵との戦いが始まる。
ゲド戦記や指輪物語と同じような質のよいファンタジーノベルで、物語を楽しんで読むことができました。 登場人物も魅力的なので、続編も続けて読んでみようと思いました。


2007年8月8日

大前研一の私はこうして発想するを読みました。
新しいビジネスを開拓するために発想するための6つのステップについて解説された本でした。
1 先入観を疑う。 2 ネットワークから考える。 3 “他にはないもの”を目指す。 4 歴史から教訓を引き出す。 5 敵の立場で読む。 6 討論する。
主張は確かにそのとおりだな、と面白く読みましたが、実際のビジネスに展開しようとすると、なかなか難しいなあと感じました。 教育とは教えること(Teach)ではなく、考え方・学び方のトレーニング(Learn)である、とか韓国・北朝鮮の立場になってみて日本を考えてみる、というような考え方はなるほどなあ、と思いました。


2007年8月6日

石田衣良の約束を読みました。
傷を受けてしまった心が、何かのきっかけにより回復していく、という7つの物語の短編集でした。 石田衣良の物語はほんのりと暖かく、安心してさくさく読めました。
一番気に入ったのは「天国のベル」でしょうか。 完全主義のお母さんに育てられた男の子が心因性の難聴になってしまいます。 でも、なぜか電話のベルだけは聞こえるのでした。 心理学のお話かと思わせておいてそうではないのでしたが、私は楽しめました。


2007年8月1日

梨木香歩のぐるりのことを読みました。
境界、ということをテーマにしたエッセイ集でした。 土地の境界、人種の境界、自分と他人の境界、昔の日本と最近の日本の境界、日本の文化と世界の境界、などのような境界をテーマにして梨木香歩の想いが語られていきます。 頭だけで考えたロジックではなく、自分が肌で感じた感覚で境界が語られていきます。
私の感覚では結構古い田舎の価値観で世の中で起きることを認識していますが、ミクシィの友人の日記では都市に住む現代人の感覚での意見が書かれていたりして、自分とは感じ方が違うなあ、と思うことも多いのですが、そのような境界が語られていて、納得する意見が多かったです。
「ぐるりのこと」という言葉は茸を研究している吉見さんという人の言葉だそうで、まずは自分の周りを見回して、そこを観察しよう、という意味だそうです。 梨木香歩はそれを聞いて自分の足で一歩一歩確かめながら「ぐるりのこと」を書こうと思った、と書いています。 テレビのニュース番組の物知り顔のキャスターの解説を鵜呑みにするのではなく、自分の頭で考えて肌で感じた意見を持っていこう、と思いました。


2007年7月30日

東野圭吾の怪笑小説を読みました。
ちょっとブラックな味付けの短編集でした。 解説を読んでいると東野圭吾の初期の作品集だそうで、確かに練りが足りないなあ、と感じる作品が多かったですね。
しかし、最後の動物家族は結構気に入りました。 あとがきには、この物語は人を選ぶ、と書いてありましたが、私は気に入りました。 このふつふつと怒りを覚える感じは後の作品にも引き継がれています。


2007年7月25日

スタニスワフ・レムの虚数を読みました。
存在しない架空の本の序文を集めたものと、計算機の中に宿った知能の講義録という構成の短編集でした。 以前からずっと読んでみたいと思っていたのですが、やっと読むことができました。
架空の本の序文は、まあ、こんなものかな、と思いました。 しかし、GOREM14の講義録はレムらしい物語で懐かしく感じました。 レムは「惑星ソラリス」や「砂漠の惑星」で人間とは異なる形で進化した生物を描いていましたが、今回は計算機の中に宿った知性を描いていました。
計算機を扱って仕事をしている人間から見ると、計算機が意識と呼べるような知性を持つようになるには、あと2ステップくらい質的な向上がないとダメだろうな、と思っているのでこれも絵空事の物語ではあるのですが。
久しぶりにレムの世界を堪能しました。 完全な真空も買って積んであるので、他の本を読んだ後の楽しみに取っておこう。


2007年7月20日

京極夏彦の姑獲鳥の夏を読みました。
姑獲鳥とかいて「うぶめ」と読みます。 表紙に描かれている人面鳥のような姿は西洋のハーピーを連想させます。 この姑獲鳥を題材にしたミステリでしたが、脳と心についての講釈が長くて、ミステリと言うよりは仮想的なケーススタディによる心理学の教科書のような感触でした。
友人が面白いから読んでみなさいよ、と言って紹介してくれたのでした。 おどろおどろしい設定は面白く感じましたが、物語としてはちょっとイマイチかなあ、と感じました。 ただ「京極堂」とか「ダチュラ」という最近よく目にするようなキーワードが散りばめられているので、ちょっと親近感を感じてしまいましたが。


2007年7月17日

村山由佳の聞きたい言葉を読みました。
「おいしいコーヒーのいれ方」シリーズの9冊目です。 かれんは鴨川で介護福祉士を目指すことを決心し、育ての親の花村の叔父さん叔母さんに報告するのですが...
ソフトクリームのように甘い、いつものショーリとかれんの恋物語ですが、韓国ドラマじゃないんだからそろそろ決着をつけてほしいところです。 あとがきを見たら、次の巻で第1部は終って第2部に入るらしい。 そろそろ見切りをつける潮時かなあ。


2007年7月9日

恩田陸の黄昏の百合の骨を読みました。
不気味な洋館に住んでいる美人姉妹は、その母親を殺したのか。 その洋館に秘められた謎とは。 期待を持たせて物語が語られていきます。
konnok的には恩田陸の作品は当たり外れが激しいと感じていますが、この作品はハズレでした。 恩田陸は文章は良く書けていて読み進むのは苦痛ではありません。 しかし、設定は面白いんだけど、最後まで読んでもほとんどの謎が解決していない、説明もされていないというダメなパターンなのでした。


2007年6月6日

村上春樹のうさぎおいしーフランス人を読みました。
村上春樹のダジャレ・ネタ満載のジョークカルタでした。 帯には「村上さん、こんなことをしてていいんですか?」と書かれていました。 全くその通りです。 こんなおやじジョークのカルタを書いているくらいだったら、海辺のカフカに続く作品を出してもらいたいところです。
とは言え、私はベタなジョークは嫌いではないので、楽しんで読みました。 他の人におすすめするか、というとちょっと微妙ですが。


2007年6月2日

梨木香歩の村田エフェンディ滞土録を読みました。
明治から大正の時代にトルコに滞在して考古学の研究を行った村田という青年が主人公の物語でした。 当時の世界情勢を背景にギリシャ人やドイツ人の友人、イギリス人の下宿の女主人、トルコの友人たちとの交流が描かれていきます。 物語の終盤で登場人物がつぎつぎと戦争に巻き込まれていきます。 やりきれない読後感の物語でした。


2007年6月27日

宮部みゆきの孤宿の人を読みました。
四国の小藩に江戸幕府の元勘定奉行が流されてくる。 罪人でもあり、幕府の上層部でもあった流罪人をその藩の人たちはうやうやしく、厳しく遇するのでした。 そのうちに、その流罪人は「悪霊」である、というまことしやかな噂が囁かれるようになってきます。
その「悪霊」と呼ばれた流罪人と無垢な少女の心の交流は、しかし突然に断たれてしまうのでした。 小藩の社会が自分を存続させるために、無力な町人たちを翻弄していくのでした。
この本は友人からお薦めされていたのですが、古本屋で上下巻で売られていたので早速買って読みました。 宮部みゆきの作品としては異色だと思いますが、それなりに面白く読むことができました。


2007年6月20日

岩井志麻子の岡山女を読みました。
妾として囲われていた男に切りつけられて隻眼になってしまった、女霊媒師の物語でした。 いつもの岩井志麻子らしい怖い話でしたが、読んでみて感じたのは、死霊や生霊の怖さは、生身の人間の怖さを凌げないということでした。 岩井志麻子の描く、女のひとの情念の怖さに比べれば、死霊なんて穏やかなものです。


2007年6月17日

漆原友紀の蟲師3〜7を読みました。
前に蟲師1巻と2巻を読んで、感想を書いたのですが、長女からクレームが入りました。 先の物語まで読まずに、面白くない、などと書かないでほしい、だから通りすがりの人からコメントされるんだ、とのこと。 なので、7巻まで読んでみました。
(仙台から東京に戻って)梅雨の合間の晴れの午後に、部屋に風を通しながら怪奇譚を読んでいると、子供の頃の穏やかな休みの日を思い出しました。 私が子供の頃はテレビゲームもなかったし、パソコンもなかったので、縁側で寝転がりながら本を読んだりうたた寝したりして、穏やかに休みの日を過ごしたことを思い出しました。
私の子供の頃の農村では自然の中に人間と共存して棲んでいるものが信じられていたので、この物語のなかのいろいろな怪異もあまり違和感なく感じることができます。 エピソードはそれなりに面白かったのですが、物語として読んでみた感想としては、絵も雑だし、やはりちょっとイマイチかなあ、と感じました。


2007年6月13日

石田衣良の1ポンドの悲しみを読みました。
スローグッドバイと同じような素敵な恋物語の短編集でした。 30代前半の普通の女性が普通の男性に恋をする、という瞬間をみずみずしく描き出しています。
気に入っているボードゲームのコンポーネントのような愛しい物語たちでした。 一番気に入ったのは、やはり本好きの女性の物語「デートは本屋で」でしょうか。 好きな作家は、と聞かれた男性がル=グインと答えるところも、好きな作品は、と聞かれて「闇の左手」や「所有せざる人々」と答えるところも、そうこなくっちゃ、と思ってしまいます。


2007年6月11日

スコット・フィッツジェラルドのマイ・ロスト・シティを読みました。
フィッツジェラルドの短編集ですが、村上春樹訳が新しく出たので読み直してみました。 1920年代のニューヨークを舞台にしたいくつかの物語が語られていきます。 フィッツジェラルドの生涯と重なる物語もあって楽しめました。
一番気に入った物語は「氷の宮殿」でした。 南部育ちのヒロインがニューヨークに行って感じたことに大きく共感してしまいました。(実際のニューヨークはこんな街ではないのでしょうが)


2007年6月8日

東野圭吾の幻夜を途中まで読みました。
途中まで読んで飽きてしまいました。 東野圭吾の本を読んで途中で飽きてしまったのは初めてです。
白夜行の二番煎じで目新しさがありません。 さらに、東野圭吾の小説らしいストーリーテリングの緊張感がありません。 ダラダラと物語が語られていきます。
それなりにトリックは面白いんですけど、主人公が魅力的なわけでもない、ミステリアスに不気味なわけでもない、魅力を感じませんでした。


2007年6月4日

漆原友紀の蟲師1〜2を読みました。
先日帰省した時に、長女にすすめられて読んでみました。 読んでみたところ、諸星大二郎の寓話的な怪奇譚をちょっとシリアスにしてディテールを付け加えたような物語だなあ、という感想でした。 まあ、それぞれのエピソードはそれなりには面白かったのですが。
気になったのは主人公がくわえタバコをしているということです。 これでニヒルな感じを出そうとしているんでしょうが、時代考証的にもおかしそうだし、それよりちょっとワンパターンなんじゃないかな、と思ってしまいました。


2007年5月31日

蘇部健一の六枚のとんかつを読みました。
背表紙に「空前絶後のアホバカ・トリック」と書いてあったのでつい買ってしまいました。 東野圭吾の名探偵の掟を、思いきり下品にしたようなテイストの短編集でした。 シモネタ満載の下品なアホバカな謎解きがベタなギャグと一緒に語られていきます。 私はベタなギャグは嫌いではないので、まあこんなものかなあ、と思いながら読みました。
前半はアホバカ・トリックのオンパレードでしたが、「オナニー連盟」をピークに後半はある程度まともな謎解きになってきたので、逆につまらなくなってしまいました。 アホバカ・トリックならアホバカ・トリックで初志貫徹してほしかった。


2007年5月29日

香山リカの老後がこわいを読みました。
シングルの女性がだんだん年老いていくとどのような老後がやってくるのか、ということを考察した本でした。 老人の一人暮らしで、持ち家もないという場合、どのくらいのお金を用意しておかなければならないのか。 リタイアした女性の一人暮らしではどんな困難が待っているのか。 女性の一人暮らしでその人が死んだ後どうなるのか。
私は古い価値観を持っているので、女性は家族に囲まれて老いていくのが幸せだ、というふうに思っているのですが、いろいろな都合でそれがままならない場合もあるわけですね。
この本を読んで違和感があったのは、母親と娘が共生関係になってしまって結婚しようとしない、とか、シングルの女性が子供ではなく自分の言いなりになるペットを飼って満足しているというなエピソードです。 該当する女性はたくさんいるのでしょうが、男性に興味を持たない、子供を育てようとしないというこれらの状態はちょっと病的なように感じてしまいます。


2007年5月24日

加納朋子のてるてるあしたを読みました。
ささらさやの登場人物や佐々良の街をそのまま使って別の物語が語られていきます。
高校生(事情があって高校生ではないけど)の照代さんの視点から、子供たち大人たち老人たちの言葉や行動がいきいきと描かれていきます。 主人公の母親の恩師である、久代さんの生き様は私の祖母の時代に理想とされたものだと思いますが、現在では時代に合わなくなって来てしまっています。 それに替わる生き様を私たちは見つけているのでしょうか。
謎解きという点ではちょっとイマイチかな、とは思いましたが、加納朋子らしく登場人物が魅力的に描かれていました。 主人公の母親の行動を見ているとハラスメントは連鎖するの主張をなんとなく思い出してしまいました。


2007年5月22日

しげの秀一の頭文字〈イニシャル〉D 35を読みました。
峠の走り屋の物語の35巻目でした。 神奈川エリアの緒戦もプロジェクトDの勝利で終りました。 ドライビングテクニックが互角の相手でも、極限状態でついていくことで運を呼び込んでしまうところが拓海です。 美佳ちゃんとのデートとその後の危機一髪のエピソードもほほえましく読みました。


2007年5月18日

浅田次郎の五郎治殿御始末を読みました。
明治維新で居場所を失ってしまった侍たちが、自分の誇りにかけてどのように身の始末をしたか、という短編集でした。 侍たちの覚悟と行動が浅田次郎らしく物語られていきます。 今、この時代に生きている私たちから見ると、かの時代は古きよき時代のように見えるわけですが、実際にどうだったのかなあ、と考えさせられます。 そのような時代にしっかり引き際を考えて身の始末をした侍たちと比べて、100年後の私たちは人間的にも100年分だけ進歩しているのでしょうか。


2007年5月14日

恩田陸のQ&Aを読みました。
ある郊外型の大型店舗で発生した事故にまつわるエピソードがインタビュー形式で物語られていきます。 その事故はなぜ起きたのか、そもそも事故なのか。 それに巻き込まれた人たちのその後の人生はどう変わってしまうのか。 事故の波紋がどんどん広がっていきます。
恩田陸らしい筆致で物語が語られていきます。 フィクションなのに妙にリアルに感じられるところが怖いですね。


2007年5月11日

安冨歩と本條晴一郎のハラスメントは連鎖するを読みました。
「しつけ」「教育」という呪縛、というサブタイトルがついていました。 帯には、ひとのコミュニケーションに、ハラスメントの悪魔はいつでも忍び込む、と書かれていました。 この本ではハラスメントとは、相手とのコミュニケーションを一方的に遮断し、罪悪感を抱かせた上、「おれの言うとおりにしてればいいんだよ」「私の命令に従っていればいいのよ」と支配しようとすること、と定義されています。 ハラスメントとはどのようなものかを考察した上で、人間のコミュニケーションにはいつでもハラスメントが発生してしまう可能性がある、と主張しています。
例えば、 (1)健康な状態とは異なる「正常な状態」という精神病質の状態がある。 (2)子供に暴力とうわべだけの愛情という矛盾したハラスメント(「闇教育」と呼ばれる)を仕掛けることにより、子供の自然な学習能力が死んでしまう。 (3)ハラスメントの現場では第三者により、加害者も被害者もどっちもどっち、というような主張をされることがあるが、それは全くの誤りであり、それ自体がセカンドハラスメントとなっている。 (4)戦前の、夫や子供をお国のために死なせろ、という教育はハラスメントの典型である。 (5)ハラスメントを受けた人は、抵抗できないと魂が死んでしまうので、その人が新たにハラスメントを仕掛けてしまうという、吸血鬼が増殖するように魂の死んだ人が増えていく状況になる。 (6)ハラスメントで事件がおきたときは、加害者と被害者とは別にハラスメントを仕掛けている真犯人がいることがある。 などという結構過激な主張が繰り広げられています。
私の感想としては、結構荒削りだけどこの主張は正鵠を射ているのではないかなあ、というものです。 何度か読んでみて、その主張が本当に正しいかどうか考えてみたいと思います。


2007年5月5日

松田道弘の面白いトランプゲームを読みました。
この本は10数年前の本で、以前読んだことがあったはずなのですが、古本屋で見かけたのでまた買って読みなおしてみました。 この本では、ハート、ジン・ラミー、クリベッジ、ピノクル、スカート、ナインティ・ナイン、エリューシスというようなカードゲームが紹介されています。 以前、この本を読んだときも、名前だけは聞いたことのあるこれらのゲームを覚えて遊んでみたいなあ、と思ったことを思い出しました。
最近、ゲームの会に顔を出すようになっても、スカートのルールも知らないし、ジン・ラミーのプレー方法は間違って記憶しているし、と全然成長していません。 ここ数年の東京にいる期間にスカートくらいは覚えて帰りたいものです。


2007年4月27日

森博嗣のすべてがFになるを読みました。
主人公のカップルの性格がはっきり描かれていて楽しめました。 脇役の登場人物もそれぞれ面白い性格で絡み合いが面白い。 謎の部分にはコンピュータのOSまわりの記述があって、これはこれで興味深く読みました。
とはいえ、基本的な部分では骨太なミステリーであり、伏線もしっかり張られていて、謎解きも楽しめます。 物語の中で語られているガラス瓶に木片が通っている不可能物体の話題もぴったりでした。


2007年4月18日

あさのあつこのバッテリー6を読みました。
原田巧と永倉豪のバッテリーの物語の最終巻でした。 新田東の野球部と横手の野球部が非公式の試合をするためにいろいろな人が骨をおってくれました。 そして、試合の日、巧は豪のミットに向けてのびのびとピッチングをするのでした。
登場人物の中学生たちの心の動きがみずみずしく描かれています。 巧と豪はこれから高校生になってどのように成長していくのか、楽しみになります。


2007年4月16日

宮部みゆきのドリームバスター3を読みました。
結構気に入っているドリームバスターのシリーズの第3巻です。 シェンとマエストロのコンビに加えて、新たなキャラクターも登場してにぎやかになってきました。 シェンとカーリンの掛け合いが楽しいですね。 第3巻では、第1巻、第2巻と続いてきたドリームバスターの仕事からちょっと離れて、「時間鉱山」という謎の場所に物語の舞台が移ってきました。 物語がどのように展開するのか楽しみです。
第4巻も出ているようだけど、古本屋に出回るまではお預けです。


2007年4月12日

森博嗣の今はもうないを読みました。
mixiでどんでん返しのミステリ、という紹介があったので読んでみました。 ドライブ中の女性が助手席の男性にミステリのお話しをする形で物語が語られていきます。
どんなどんでん返しがあるのかな、と読み進めていったら、予想もつかない形のどんでん返しがありました。 そうだったのね、確かに最初おかしいなとは思ったんだけど。
まあ、登場人物が魅力的で物語が面白かったので私はOKでした。 このシリーズの他のミステリも読んでみようかな、と思ってしまいました。


2007年4月10日

ホイチョイ・プロダクションズの気まぐれコンセプトクロニクルを読みました。
広告業界をネタにした、シモネタ満載のマンガでした。 分厚い辞書のような本でカバンにも入らないので、通勤電車で読むにのはちょっと大変でしたが、読み始めると面白いので電車を乗り過ごしそうになってしまいました。 こういうベタなジョークは大好きなのです。
1984年から2006年までの23年間の気まぐれコンセプトが収録されていて、20年以上前からの時事ネタを読んでいると懐かしいなあ、と感じてしまいました。 それぞれの時期ごとにいろんなことが流行ったんですよね。
これかのら20年間でどんなことが流行って、日本はどんな風に変わっていくのでしょうか。 楽しみでもあり、不安でもあり。


2007年3月30日

貫井徳郎の慟哭を読みました。
mixiでどんでん返しの結末の本として紹介されていたので、読んでみました。 帯には、読み終えてみれば「仰天」、と書かれていたので、どんな結末だろう、と読んでいました。 最後のどんでん返しは確かにありましたが、「ふうん。どんでん返しだねえ、それで?」という感想でした。
結局、登場人物に感情移入できなかったので、はっきり言って面白くなかったですね。


2007年3月23日

桐野夏生の魂萌え!を読みました。
59歳になるまでつつがなく生きてきた平凡な主婦が、突然夫に先立たれて、夫の愛人の出現、子供たちとの対立などをへて自立していくという物語でした。
従来の常識では、女の人は夫に仕えて貞淑に老いていくのが正しい姿のように思われていますが、それは違うんじゃないの、と桐野夏生は主張しています。 いろいろな事件がおきますが、最後には主人公が自立できて、はつらつとしていたので読後感はよかったですね。 主人公がちょっと魅力的に感じてしまいました。


2007年3月17日

今日は朝からちょっと体調がすぐれなかったので、出歩くのはやめて寮で静かにしていました。
日記に東野圭吾の白夜行の感想を書いたところ、コメントをもらったので、それをきっかけにして、konnokのホームページおすすめの本のページにスローターハウス5ジャンプを追加しました。 おすすめの本もだんだん増えて71冊になってしまいました。
いろいろなジャンルの本が集まったと思います。 重複している作家はJ.D.サリンジャー、アーシュラ・K・ル・グイン、カート・ボネガット、村上春樹、東野圭吾というところです。宮部みゆきが重複していなかったので、みつくろって追加する必要がありますね。
最終的には「konnokのおすすめの本100冊」くらいまでにしたいところですが、できるでしょうか。


2007年3月16日

カート・ボネガットのスローターハウス5を読みました。
30年前に読んで、とても感動したSF小説です。 今回、このSF小説に関する話題を日記に書いたことから、仙台に戻ったついでに文庫本を持ち帰ってきて読み直しました。 筆致は軽いのですが、戦争は互いに殺しあうものだ、という当然のことが重く物語の底に流れています。
この小説は私の人生観を変えた小説で、トラルファマドール星人の時間についての考え方は今でも私の人生に対する考え方の基本です。 うるさいくらいに出てくる「そういうものだ(So it goes.)」という言葉も忘れられなくなります。
ぜひ、一度は読んでみていただきたい小説です。


2007年3月13日

東野圭吾の白夜行を読みました。
分厚い文庫本を買ってしまって、読み終えられるんだろうか、と読み始めたのですが、これが面白かった。 主人公たちの残酷な犯罪、そして彼らにかかわる人たちが次々と不幸に巻き込まれていく。 この描写がうまく、どんどん引き込まれていきます。
ところが、エンディングでその主人公たちが、私たちは太陽の無い荒野を歩いている、と言っている真実の意味がわかると、物語がまた違った色合いになります。
この物語は19年間にわたって語られていくのですが、それぞれの時期の流行が描写されていて懐かしいと思ってしまうところも、引き込まれてしまう理由の一つだと思います。


2007年3月12日

桐野夏生の冒険の国を読みました。
桐野夏生の初期の作品だそうです。 ディズニーランドができた頃の浦安が舞台の青春小説でした。 確かに昨今の作品に比べるとストーリーなどは荒削りですが、桐野夏生らしい女性の感性が描かれていて、面白く読みました。 表題の冒険の国はディズニーランドのことでしょうかね。


2007年3月7日

遠藤寛子の算法少女を読みました。
江戸時代に存在したという算数の得意な少女のお話でした。 医者の父親の手伝いをしながら算数の勉強をしているうちに、和算の心得のある大名の目に止まって、と物語は進んでいきます。 ジュブナイルですが、大人でも楽しめます。
江戸時代の日本は欧米に負けないくらい数学の研究も盛んだったのですが、派閥などにこだわってしまい、また他の学問との交流をしなかったため、それ以上の発展はなかった、ということが主張されています。


2007年3月5日

三崎亜記のとなり町戦争を読みました。
法律で定められたとおりに、町の政策としてとなり町との戦争が始まる。 そして、戦争に巻き込まれてしまう主人公には戦争の実態が見えてこない。
戦争を経験していない私たちには、戦争というものは、指輪物語のサウロンのように、戦隊ものの悪の帝王のように、はっきり悪いということが見える形でやってくるものだ、という感覚がありました。 しかし、この小説では日常の延長として戦争が存在するものだ、という前提で描かれています。 戦前の日本人も、こんな感じで戦争に巻き込まれたのではないかと、いろいろ考えさせられてしまいました。 例えば、いま日本は膨大な借金を抱えていますが、この国が借金するということを誰によってどのように決められて、どのようなことが行われた結果このような事態になったのか、ということが私にはよくわかっていません。 政治とはそのようなものなのでしょうか。
とはいえ、物語の中ではヒロインの香西さんというお姉さんがとても気に入ってしまいました。


2007年2月22日

ロナルド・シャパイロとマーク・ジャンコウスキーのどんなときでも「YES」と言わせる交渉術を読みました。
The power of Nice(いい人の力)という副題がついていました。 「私の勝ち−あなたの負け」交渉ではなく、「大勝ち−小勝ち」交渉に持ち込む交渉術について記述されていました。 こわもてでの強硬な交渉ではなく、しぶとく妥協点を探していく交渉を行っていきましょう、という主張です。 もちろん、「弱虫」戦略は問題外です。 交渉には準備・調査の段階が重要である、ということが書かれていて、それは当然ではあるのですがなかなか実行できないですね。
この本に書いてあるいろいろなアドバイスは、仕事よりはゲームに活かしてみようという気になりました。


2007年2月19日

ジェフリー・アーチャーのゴッホは欺くを読みました。
ジェフリー・アーチャーは私の好きな作家の一人なのですが、最近投獄されたりしていたためか、物語の面白さがちょっと落ちてきているかな、と思っていました。
この物語は世界貿易センタビルへの9.11のテロ攻撃を舞台にして、高級美術品詐欺を行おうとする悪役と、その悪役からゴッホの自画像を守ろうとする美人美術コンサルタントの活躍を描いたものでした。 この人の物語らしく、虚虚実実の駆け引きが展開します。 読んだ感想としては、物語としては面白かったけど、一人一人の描きこみがちょっと粗いのが不満でした。 キャラクターが生きている人間として感じられず、それぞれの登場人物が駒になっているボードゲームのリプレーを見ているような感じがしました。


2007年2月16日

滝本竜彦のネガティブハッピー・チェーンソーエッヂを読みました。
NHKにようこそ!を読んで面白いなあ、と思ったので、デビュー作である、ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂを読んでみました。
この作品も荒唐無稽な設定で、敵が何であるか、どうして戦うのか、などが説明されておらず、論理的でない部分があります。 しかし、高校生の登場人物たちの行動の描写の中に、閉塞感へのいらだちや若い想いは伝わってきました。


2007年2月13日

フジテレビ出版の大言壮語 たほいやを読みました。
Yahoo!オークションに出ていたので、落札して読んでみました。 昔懐かしい深夜番組「たほいや」のお題と出演者の回答をまとめたものでした。 そうそう、そういう問題があったよなあ、と当時の番組を思い出しながら読みました。
ボードウォークコミュニティというサークルの活動の中で、ディクショナリーというゲームからたほいやというゲームが生まれて育ったのでした。 このサークルは私のゲーム生活の原点なのですが、最近ちょっと月例会の参加者が少なめで、活気がないのがさびしいところですね。


2007年2月9日

佐藤正午のジャンプを読みました。
人生の岐路になる出来事というのは存在するのか。 5分で戻ってくる、と言ってりんごを買いに出たガールフレンドは結局戻ってこなかった。
「僕」が失踪したガールフレンドの足取りを追っていく経過が描かれて、「僕」がガールフレンドをどれだけ大切に思っているか、が物語られていきます。 人間には誰でも心の中に鬱積してしてくるものがあり、それが閾値を超えるとカタストロフがやってくる、という物語なのだと思って読みすすめていました。
ところが、ほんとうに最後にどんでん返しがあります。 そのとたんに、ここまで描かれてきた物語が全く違う色の物語に変わってしまうのでした。
久しぶりに面白い小説を読みました。


2007年2月7日

恩田陸のねじの回転を読みました。
恩田陸の2・26事件を題材としたSFでした。 恩田陸のSFは読むまい、と心に決めていたのですが、古本屋で買った本がSFだったのでした。
FEBRUARY MOMENTという副題がついています。 これは曲の名前だそうで、ちょっと聴いてみましたがこの物語とどう関連するのかkonnokにはわかりませんでした。
未来から2・26事件をやり直して歴史を変えようとする人たちがやってきて、事件に介入するのですが、時間の再生を行う「シンデレラの靴」と呼ばれる機械がうまく動かないため、歴史の改竄が失敗するのでした。 登場人物の描写や行動はそれなりに面白かったのですが、それで結局結果はどうなったの?、というところが、あいまいになっていて、読後のすっきり感がありませんでした。


2007年2月5日

手塚治虫の人間ども集まれ!を読みました。
mixiの黒手塚というコミュニティ(手塚治虫の暗黒面を語りあう)で話題になっていたので、以前読んだことがあったはずなのですが、再度注文して読みなおしてみました。
働き蜂のように、命令されて集団で行動する人間が製造できるようになったらどうなるか、というテーマのコミックでした。 これらの働き蜂タイプの人間は中性で生殖能力を持たない代わりに、自分の意思で男になったり女になったりすることができます。 ただし、支配者からの命令には逆らえないという性質も持っています。 これを悪用して、悪役が働き蜂タイプの人間を集めて見世物の戦争を計画するのですが...
とにかく、物語の最初から最後まで人間がたくさん殺されます。 手塚治虫のヒューマニズムの裏返しなのでしょうか。


2007年1月30日

角田光代のあしたはうんと遠くへいこうを読みました。
女の人が心ならずも恋に落ちてしまう、そして自分を見失っていくという哀しい小説でした。 若い女性がどのような気持ちで男の子を好きになるのか、そしてその結末がどうなるのか。 この小説の主人公は心の中に不安を抱えているようで、相手に求めるものも多く、急に別の男性を好きになったりしてしまうのでした。 いろいろな男を好きになり、自分から振り、相手から見捨てられ、それでも明日に向かって生きていこうとする姿勢が哀しくなってきます。
読み続けるのがつらくなるような小説でした。


2007年1月23日

室井佑月のぷちすとを読みました。
人生のある断面を切り取って描いた、88編のショートショート集でした。 男と女のお話が大部分でしたが、まあ、物語として書くなら男と女のお話が一番面白いんでしょう。
確かにいろいろな人生があって、いろいろな断面があるんだなよなあ、でもこのおばさんは、何でこんなにいろいろな人生を書けるんだろうか、と思ってしまいました。
一番気に入ったのは、23番目の「この女、殴りたい、殴ってやりたい」でしょうかね。


2007年1月17日

アーシュラ・K・ル=グインの言の葉の樹を読みました。
闇の左手と同じ世界設定の中で語られる、原題はTELLING(語り)というSF物語でした。 アカと呼ばれる世界では伝統的な文化を捨て去り、継承者を迫害し本や記録を破壊する圧政がしかれていた。 そこに地球から派遣された文化人類学者の女性サティは地方にはまだその伝統を継承している人たちが残っているはずと考えて、風前の灯火である伝統的な文化を守ろうとするのだが... ちなみにサティはインドの女神でシヴァの妃です。 これも、この物語の隠し味になっています。
この物語を読みながら、つらつら考えたのは、文化というのはその担い手がその文化の中で生活していくからこその文化であり、絶滅した動物の剥製のようなものは文化ではないということでした。 例えば方言なども一つの文化ですが、その言葉を使って生活している人たちがいるからこその文化なのであって、その基盤が壊れてしまえば後は衰退するだけだと思います。 そして、いったん壊れてしまった文化は元に戻すことはできないんだろうなあ、ということです。 ヨーロッパの人たちがネイティブアメリカンや南米の文明を破壊してしまった後では、その文化を復元することはもうできないのだから。


2007年1月15日

村上龍のeメールの達人になるを読みました。
現在、ビジネスでもプライベートでも連絡方法の主流となっている、eメールの文章の書き方のノウハウ本でした。 日本語の文章による文字のコミュニケーションを効率的に円滑に行うためにはどうすべきか、が実例をふんだんに用いて解説されていました。
eメールに限らずコミュニケーションは正確に簡潔に伝わることが最優先ですが、その上に相手に不快感を与えずに、よけいな摩擦を起こしたりせずにできることが理想です。 私はeメールで送った文章や掲示板に書いた文章で、結果的に相手に不快感を与えてしまったりすることがあるので、参考にしたいところです。


2007年1月11日

しげの秀一の頭文字〈イニシャル〉D 34を読みました。
峠の走り屋が主人公の物語の最新刊でした。 とうとうプロジェクトDもレベルの高い神奈川エリアに殴り込みをかけていきます。 チーム246とのバトルのヒルクライムは啓介の作戦勝ちで、1本目で勝負が決まってしまいました。 ダウンヒルが始まりましたが、しげのさん、前回のようなおかしな結末にはしないでくださいね、と思ってしまいます。


2007年1月9日

滝本竜彦のNHKにようこそ!を読みました。
NHKとは日本ひきこもり協会の略です。 青春期特有の自意識過剰な性格の主人公がひきこもりだけでなく、エロゲーム製作、ロリコン、薬、宗教、自殺願望とどんどん堕ちていくというストーリーでした。 主人公の社会に適合できていないというジレンマが、妄想を垂れ流すように、とことん明るく物語られていきます。 私の若いころを思い出すと描写に当てはまるところもあり、読んでいて恥ずかしくなってくるような表現がいっぱいでした。


2007年1月1日

畠中恵のねこのばばを読みました。
しゃばけシリーズの3冊目でした。 登場人物の設定でそこそこ面白く読ませるのですが、謎解きがいまいちでちょっとパワー不足でした。 続編に期待というところでしょうか。


2007年1月1日

今年も、面白そうな本を探して読んでいきたいと思います。 そしてなるべく本を選ぶときに参考になるようなコメントを記録していきたいと思います。




2006年に読んだ本の感想